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【祝交流戦優勝→連覇!】ヤクルト髙津監督は言葉の解像度が高いと思う (「一軍監督の仕事」「二軍監督の仕事」)


 小学校のときに初めて買ってハマった「実況パワフルプロ野球’98開幕版」がきっかけで、東京ヤクルトスワローズのファンです。


 1997年にスワローズが日本一になっています。
 確か、ゲームでは、先発が石井一、田畑、川崎とかでリリーフエースが伊藤智、高津になってた記憶です(伊藤智がルーキーのときは先発だったのを最初知らなかった)。バッターは飯田、土橋、稲葉、ホージーとかがいました(稲葉が内外野両方だった気がする)。

 それから、野球自体を見るのが好きになり、自然とヤクルトスワローズファンになった感じです。
 なので、92、93、95、97のヤクルト優勝は、リアルタイムでは知らず、後から遡ってインプットした感じです。

 92年、93年の話は、最近読んだこの本が面白かったです。
 なにせいきなり「キツネとタヌキの化かし合い」から始まりますからね(笑)

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「野村ID野球」というのも、後から遡ってインプットした概念です。
 IDなんて、データを駆使して、なんか頭が良さそうな感じがしたので、そういうのが好みでした(笑)(実際には、もっと深い意味があることに気づきますが)。

 2001年に若松元監督が優勝したときに「ファンの皆さんおめでとうございます」といったのも、人が良さそうでやはり好みでした(笑)。

 なお、若松元監督が現役のときに優勝した1978年のこともよく知らず、詳しいことは最近以下の番組で知りました。これも遡ってインプットした感じです。


 つい、前置きが長くなってしまった。。。
 以下、本題です。


髙津監督は「言葉の解像度」が高いと思う


 最近のヤクルトスワローズは、2021年に20年ぶり日本一となり、チーム状態がとてもいいです。
 今年も好調で首位、交流戦も見事全パチームに勝ち越して、交流戦優勝を飾りました。
 ということで、にわかヤクルトファンは最近気分が良いです。

 交流戦も優勝したしということで、こちらの2冊を読んで見ました。

 ヤクルトスワローズを率いる髙津監督の本です。

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 この本を読んだ感想ですが、髙津監督は「言葉の解像度」がめちゃ高いなということでした(野球理論とか試合の裏話とかももちろん面白かったです)。

 きっと、この方は野球じゃない仕事でも成功するんだろうなと感じさせる「言葉の解像度の高さ」です。

 今回は、そんな超高性能の「解像度」が炸裂している記載を何個か上げてみたいと思います。

育てるためなら負けてもいい

 「二軍監督の仕事」で、誤解を恐れずにと断った上で、「二軍では負けてもいい」との記述があります。
 その理由について、以下のように書かれます。 

 誤解を生むのを承知で書くが、二軍は育成が最優先されると思っているので、極端な話、場合によっては試合では負けてもいい

高津臣吾.二軍監督の仕事~育てるためなら負けてもいい~(光文社新書)

 髙津監督は、二軍において、「育成」を「勝利」より上位の目標に据えています。

 よって、「育成」のためなら「負けてもよい」という帰結はとてもシンプルです。

 しかし、書かれていることはこれで終わらず、このあと、もっと「解像度」が高い展開になっていると思います。

 以下、続き

 たとえば、実際にこんなことがあった。試合の勝敗を考えるならば、先発の高橋、寺島を引っ張らずに、スパッとブルペンと交代した方が勝つチャンスは高くなる、と思った場面があった。
 打撃でも、相手投手との相性・確率を考えたら、廣岡にはここで代打を出した方がいいな、と思ったことがあった。
 しかし、どのような場面になっても、僕は彼らを替えることはなかった。
 それが球団を背負って立つ選手の育て方であり、選手のモチベーションを上げることにつながると思っている。
 では、彼らに何を求めるのか?
 先発投手であれば、緊張する場面を切り抜ける方法を見つけてほしい。若いリリーフ投手がいたとしたら、あえて緊迫した場面で投げさせ、思い切ったボールを投げ込んでほしい。
 打者であれば、チャンスの場面でいいところを見せてほしい。どうせ替えるのだったら、打席に立たせてから守備の時に交代させればいい。ノーサインで打者に任せ、思い切ってバットを振って、結果を出してくれればいい。
 僕が思っているのは、そういうことだ。二軍ではワイルドに、どんどん思い切って野球をやってくれればいい。
 そこでたとえ失敗しても構わない。結果が出なかった時のリスクは承知している。それでも思い切りプレーしたことで、「自分にはこれが足りないんだな」と気づいてくれれば十分だ。そこで練習に前向きになってくれれば、僕とコーチ陣がいろいろなアイデアを提供することができる

高津 臣吾. 二軍監督の仕事~育てるためなら負けてもいい~ (光文社新書) 

 ここでは、「勝つために選手を交代する選択」より「負けのリスクを承知でそのままプレーさせる選択」をする意図について語られています。
 それは、後者を選択することが、球団を背負って立つ選手を育て、モチベーションを上げることに繋がると言います。
 そのうえで、さらに、「負けのリスクを承知でそのままプレーさせる」ことに何を求めているのか、さらに問いを立て、深掘りします。
 それは、思い切りプレーしたことで、選手に「自分にはこれが足りないんだな」と気づかせることと述べ、練習に前向きになってくれれば、自分やコーチ陣がいろいろなアイデアを提供することができると結びます。

 「勝つことより育成のほうが大事だから」だけで思考停止しない、カリスマ経営者(?)はたまた人気コンサルタント(?)のような「問い」と「答え」の深掘りです。
 さらにいえば、これは「一軍で勝つ」ための伏線になっているようにすら見えます。
 「勝利より育成を優先する」結論は変わらないかもしれませんが、その言葉の「解像度」の高さ、深掘感がめちゃ高いと思います。



「古田敦也臨時コーチがもたらしたもの」に対する返し

 これは、本ではなくネット記事の連載ですが、2021年に春期キャンプで臨時コーチとして古田敦也氏を招聘し、バッテリー指導が話題になった事がありました。

 その意味についての質問に対する返しが「解像度高め」です。

――どのような内容だったのですか?

高津 基本にあるのは野村克也監督の教えです。でも、そこに古田さんなりの肉付けをしたり、自分の考えをつけ加えたりしていました。僕としても、野村監督をダブらせたり、現役時代に古田さんと話し合ったりしたことを思い出して、「あぁ、懐かしいな」という思いでした。

――かつてヤクルトに受け継がれていた「野村の教え」が薄れつつある今、改めてそれをよみがえらせる、そんな狙いがあったのでしょうか?

高津 「薄れつつある」というか、野球自体が進化したり、退化したり、いろいろと変わっていく中で、必要に応じて野村さんの教えの解釈も変わってきたということだと思います。古田さんの言葉を聞きながら、そんなことを僕は感じました。そして、実際に古田さんの教えを受けて、ピッチャー、キャッチャー、それぞれ変化が見られましたよ。

2021東京ヤクルトスワローズ 高津流 燕マネジメント 第1回

 古田敦也氏の基本にあるのは、野村克也監督の教え、そこに懐かしさを感じたと答えた後、
 インタビュアーが「「野村の教え」が薄れつつある今、改めてそれをよみがえらせる狙いがあったのか?」と聞きます。
 それに対して、
 「薄れつつある」というか、「必要に応じて野村さんの教えの解釈も変わってきた」と答えています。

 これはハンパない返し(私が言うのも失礼)ではないでしょうか。



 普通「野村の教えが薄れつつありそれをよみがえらせる狙いか?」という問いに対しては、

「はい、そうです」

「いいえ、そういうことではない」


 というのがシンプルな「答え」です。


 しかし、この「はい」と「いいえ」の間には無数のグラデーションがあると思います。
 例えば、「どちらともいえない」「まあ、どちらともいえる」「どちらかといえばそうだ」というように様々なグラデーションの答えがあり得ます。 

 そして、言葉の解像度が上がると、グラデーションだけでなく、「問い」と「答え」が立体化することがあり得ます

 それは、「問い」または「問いと答えのリンク」をより正確に言語化することといえるかもしれません。

 つまり、「薄れつつあるのか」という質問に対し、髙津監督は「必要に応じ解釈がかわってきた」と返すことで、「薄れてるか、薄れていないか」に対する「問い」と「答え」を立体化して、より解像度を上げてより正確に言語化し回答をしているのだと思います。

 これは、「昔は良かった、今は薄れつつある、だからそれを復活させる」という回答をインタビュアーが想定(期待)しているのに対して、「必要に応じて解釈がかわってきた、野球自体がかわっていく中、それに肉付けをした」と正確に言語化しているといえるのではないでしょうか。

 この返しは、めちゃハイレベルな言葉の解像度爆上げ回答(私が言うのも大変失礼ですが!)だと思いました。


「絶対大丈夫」が生まれた“発想”

 昨年、話題となった「絶対大丈夫」というキーワードですが、この発想も超高解像度の言葉のチョイスだと思います(だからこれだけ話題になった)。

 その発想の経緯について「一軍監督の仕事」に以下のようにあります。

 お盆の時期にシーズンが再開してから、連勝とはいかずとも、同一カードで負け越すようなことはなかった。ところが、この前の週は思うような試合運びが出来ず、このままではムードが悪くなりかねないと感じていた。
 そこで僕は、「選手たちのやる気を引き出せる前向きな言葉」を探しはじめた。
 単純に「さあ、行こう!」とか、「頑張ってこい」とか、いつも使っている言葉でも良かった。しかし、選手としては中学、高校時代から何度も聞いてきた言葉だろうから、インパクトに欠ける。聞き慣れている分、刺激にならないのだ。もっと心に響くような言葉が欲しい。
 そこでたどり着いたのが「絶対大丈夫」だった。
 どんな言葉がいいだろうと考えていくなかで、いろいろな気づきがあった
 本来、「絶対大丈夫」という言葉は自分自身にかけるものであって、人に言ったり言われたりする性質のものではない。
 野球選手の場合、「絶対大丈夫」という言葉は、試合前、あるいは打席に立つ前などに、自分に言い聞かせるワードなのだ。つまりは、自分の内面に語りかける場合に用いる
 だとしたら発想を変え、「外からこの言葉を投げかけたら、かえって響くんじゃないか?」と気づいた。おそらく、他人から言われたことがない言葉なのではないか。
 短い漢字5文字にすぎないが、僕の気持ちが集約されていると思ったので、みんなを前に「絶対大丈夫」をキーワードにして話をした。

高津臣吾.一軍監督の仕事~育った彼らを勝たせたい~(光文社新書)

 この思考過程は、もう説明せずとも「超高解像度」の言語化ではないでしょうか。

 本書を読むと分かりますが、髙津監督は、監督の仕事として「選手のモチベーションを上げること、環境を整えること」を重視しています。
 そのために、「選手たちのやる気を引き出せる前向きな言葉」を探しはじめます。
 その中で、いろいろ気づきがあったと述べたうえで、内面に語りかける言葉は、外からかけられることがないから、かえって響くのではないかという発想の転換をし、「絶対大丈夫」という決め手ワードを導き出しています。

 目的を達成するために最善な言葉を、極めて理にかなったかたちで深掘りして導き出しています。

 すげえな、プロ野球の監督ってここまで深堀りして考えるのか・・・


「野球人・高津臣吾」の大半は言葉でできている

 なぜ、こんなに言葉の解像度が高いのか、その答えはこの記事の中にあると思います。
 (あまり軽々しくいうのもはばかられますが、最近見つけたこの連載は、自分の中では神連載)

 このインタビューは、2021年のペナントリーグ残り30試合で、首位争いをしているときのインタビューですが(その時期に語ることもすごいですが)、「言葉」について語っています。

高津 僕は、プロ野球の世界に入って以来、言葉で育てられたと思っていますから、言葉の重要性はもちろん強く感じているし、身体も心も動かすことができるのは「言葉」だと思っています。

――つまり、入団時の監督であり、「言葉の人」でもあった野村克也さんの影響を強く受けているということですね。

高津 そうです。もちろん、野村監督以外にもチームメイトだったり、歴代の指導者だったり、いろいろな人たちとの言葉のやりとりの影響を受けているけど、野村監督の影響はとても大きいし、「野球人・高津臣吾」の大半は言葉でできていると言ってもいいと思います。

2021東京ヤクルトスワローズ 高津流 燕マネジメント 第13回

 つまり、「言葉」を重視する野村監督の野球が原点であるということ、そして、その「言葉」を自らの解釈で、血肉化し、自分の言葉にしているのが、超高解像度の秘密ではないかと思います。

 自分の頭で考える「問い」と「答え」の繰り返しを、野球において、常に当てはめ続けているということができるかもしれません。

 一般のにわかファンからしたら、野村監督はボヤキ(?)のイメージですが、やっぱり野村監督ってすごいんですね(笑)。結構、書籍あるけどちゃんと読んでみようかな。

 私としては、後半戦の東京ヤクルトスワローズの活躍を期待しつつ、高津監督の超高解像度語録にも、注目していきたいと思います。


 追加 交流戦終了後の言葉のチョイスも、「超高解像度」です。


そして、見事連覇達成!!日本一も期待!

 

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