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半径10mのクリエイティブ

世界遺産・石見銀山には、数多くの観光スポットがあります。
そのなかで見るものを唸らせる、石見左官による鳳凰の鏝絵(こてえ)。1739年に建てられた西性寺(さいしょうじ)さんの境内にある経蔵にその作品が見られます。

この精巧な絵を鏝(こて)で描いてるとは…

観光サイトの情報からは、この西性寺さんが「史跡」で無人だと思われている方もいるそうですが、現在も住職のおられる浄土真宗本願寺派の寺院。

僕も娘と石見銀山に移住してからというもの、ご近所のよしみもあって親しくさせていただきながら、宗派が同じなため小野家の法事もしてくださったり、公私共にたいへんお世話になっている、パワースポットのような場所なのです。

寺社彫刻も立派な西性寺本堂

この西性寺の坊守・龍ママこと龍文子(たつ・ふみこ)さんの書く文章がとてもいい‥という事に気づいているのは僕だけじゃないはず。
「文」子の「文」章がとてもいい…
名は体を現すとはよく言ったものだ。

移住系大森町民の代表格・三浦類さんの発行するフリーペーパー「三浦編集長」に寄稿していたコラムを読んで、そのユーモアたっぷりの文章に大いに笑わせてもらったのも記憶に新しい。

そんな龍ママが年2回、門徒さんや一部町民に届けている「坊守通信」という「個人的寺院系フリーペーパー」がある。
くすっと笑わせながら人柄の出た温かな文章で書かれ、ワープロ打ちで長年続けてこられたお寺と門徒さんを繋ぐ、西性寺のファンクラブ会報のようなものだ。

これを「よりよく届けたい!」と、小野の呼びかけで近所の佐藤愛ちゃんを巻き込み勝手に集結!

佐藤愛ちゃんは、鶏の使い手としても名高い20代女子。
先日NHK(Eテレ)で放送された『子育て まち育て 石見銀山物語〜秋の足音 みんなの運動会』でも紹介され、全国デビューを果たしたばかり。
そんな彼女の多彩さに気づいてるのは、こちらも僕だけじゃないはず。

集結と言っても2人とも西性寺さんと半径10mほどのご近所さん。
いつもこんな感じで、一歩外に出れば顔を合わす距離感と間柄。

娘の後ろが龍ママ。一番奥がニワトリ系女子・佐藤さん

石見銀山の大森町は、人口400人ほどの小さな町。
近年、全国から仕事や子育て環境を求めて多くの人がUIターンをしていて、島根県の山間にありながら、さまざまな技能を持った人がたくさん暮らし、休日をともに過ごしたり、協働したりしています。
小野の住んでいる地区だけでも、フォトグラファー、パン職人・菓子職人、フランス人フルーティスト、パタンナーやライターなど多岐にわたります。
日本一クリエイターの人口密度が高いんじゃないかと思わせるほど。

こんな、物理的に近い距離感でものづくりができるのが、ここ石見銀山大森町のすごいところかもしれません。

西性寺の龍夫妻と、同じ地区の面々(Photo:Yohei Watanabe

さてさて、本題。
今回の坊守通信のタイトルは「たまには住職のこと」。
坊守とは浄土真宗において住職の妻のことを言い、「坊を守る」と書くのがまた、住職のことを笑いながら見守る龍ママらしくてとてもいいのである。

ご興味のある方は、『坊守通信2023冬号』ぜひご一読ください。
(※公開は西性寺さん公認)

オモテ
ウラ

表紙のドローイングは、愛ちゃんが飼っているニワトリの羽で描いてくれた西性寺のご本尊・阿弥陀如来さま。
やさしく柔らかな線で描かれた阿弥陀さまが、前のめりに人々を見守っています。

彼女が趣味で描いていたパウル・クレーのドローイングの模写がインスタにあがっていたのを見つけ、「その感じで阿弥陀さま描いてみない??」と引き込んだのだ。

阿弥陀さまの後光が、なんだか来年の「タツ」年を明るいものにしてくれそうな気もしませんか。

墨池は出雲ヨーグルトの空き容器


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