イスカイア博物誌の大規模戦闘ルールで遊んだよ
先日、ひっさしぶりにリアルセッションをする機会があったのでイスカイア博物誌の大規模戦闘ルールを使って遊んだ。せっかくなので、所感などをつらつら残しておきたいと思ふ。ルールを具体的に書くとあんまりよくないので、手元に本がある人向け。
まず実際に運用してみて思ったのは、「これ攻撃防御の計算おおざっぱすぎね?」ってこと。まあこれは良し悪しあると思う。今回イスカイア所持者0の卓にいきなり持ち込んだにも関わらずかんたんな説明から10分後には激烈な軍議が展開されていた。戦闘に面倒くさい計算が絡んでいたら理解にもっと時間が要ったろうし、実際始まってからの進行も遅くなっていただろう。SW2.0の本領はあくまで冒険と個人戦なので、サブルールとしてはこのくらい軽いほうがいいのかもしれない。
しかしそれにしても部隊が一瞬で溶けすぎる!HPと攻撃力が兼ねられてるので、先に仕掛けたほうが圧倒的に有利。今回は初運用ということもあり、ルルブに載ってた移動の制限とか伏兵は用いないただの会戦だったからということもあるだろうが、どっちにしても布陣と展開で勝敗の8割が決まる行軍ゲーということには変わりないだろう。相手の射程外ギリギリまで展開し、自ターンまでに敵を攻撃圏内にうまいこと入れないといけないのでなんだかFEとかスパロボを連想した。部隊防御力という値も一応あるがまあ焼け石に水程度の効果もなく、そもそも騎兵突撃(攻撃力2倍!?)を許せばなにもかもが無意味だ。
なんかあんまり褒めてない感じになってるが、実際やってみると上記そのままでありつつ結構盛り上がって面白い。不用意に接近して触られたら終わりという緊張感があるし、計算がいらないので直感的にガンガン動かしていける。これに伏兵とかが加わると、後詰めを残しておいたり包囲されないよう展開したりといろいろ考えることが加わるので、もっと面白くなるかもしれない。セッションでこのルールを使っていく場合、戦闘の計算式をいじってオカシクするよりは、冒険パートで索敵や諜報を念入りに行ってもらったりPCたちのがんばりで集められる戦力の振れ幅をデカくしたりして、戦術よりは戦略に比重を傾けたセッションにしたほうが良さそうな予感がする。実際の開戦前にはほぼ全てが決まっているリアル志向なので、戦史警察の皆さんにも納得いただけるのではないだろうか。無理かな。
各兵種考察。
歩兵…唯一のコスト1部隊。最重要。単純に一番硬い兵種。戦術レベルでは、歩卒の動かし方で6割がた決まる。
弓兵…遠距離部隊は基本良くないが、まあコスト軽い分魔法よりはマシ。会戦でなければ変わるかもしれないけど。
騎馬兵…騎兵突撃はどんな部隊でも確殺できるスキルなので、これも重要な兵種。いかに損耗なしの騎兵突撃を叩き込むか?というのが戦術レベルでは4割を占める。あれ?あと3つ兵種があるのにもう10割になってしまったぞ?普通に会戦をやろうとすると遠距離ユニットは全部産廃なので、SW2.0の戦術理念は三兵戦術ならぬ二兵戦術である。歩兵で隙をうかがい、騎兵突撃で勝敗を決する。
重装兵…コスト2が重すぎる。歩兵と同じ戦力振って半分になるのだからたまらない。そこまでやって得られる部隊防御力は5。戦力30の歩兵の攻撃力は30、同戦力の騎兵突撃は攻撃力60である。なんの意味が…。
魔法兵…コスト2が重すぎる。一応防御力無視攻撃持ちなのだが、そもそも防御力自体にさして意味がない。弓のほうがマシ。遠距離ユニット、伏兵が出てきたら即応して叩いたり、複雑な地形を行軍しつつちくちく当てたり、そういう使い方じゃないと活きないと思う。
魔法戦士兵…コスト2.5の激重兵種。混戦攻撃ができるとあるけれども、敵に接近を許したらマジで終わりだと思う。普通に魔法兵使ったらいい。別に弓兵でもいい。
博物誌には現代ラクシアへの導入についての注意書きはなかったので、今回は現代ラクシアでやってたキャンペーンに使ってみたが特に問題はなかった。ゲームシステム上は問題ないと思う。ただまあ、戦闘員の人口を求めようとすると総人口とか食料生産力も決まってきちゃうので、ゲームに無意味な重さがつかないようにもう滅びた過去の話の中でやるのを推奨するよ、って話なんだと思う。魔法王ならなんでもありだし。SW2.0って全体的にそういうところがあって、街の人口とかナントカ騎士団の総人数とかもだいたい明記はされてないしね。自己責任で現代ラクシアに導入する分には全然問題ないと俺は判断した。うちはガバでも許してくれるPLしかいないので、人数とかもニュアンスでしか言ってない。戦争警察とか社会学警察とか農業警察とかがPLにいるなら魔法文明時代以外では使わないほうがいいんだろうね。魔導機文明時代は蛮族駆逐しきってるし……。人族同士の戦史についても、結構ぼかしてる部分だよね。それも自己責任で設定してくださいということなんだろう。
次回以降使うならの話。ルール読んでて個人的に付け目かなと思ったのは、部隊が壊滅しても指揮官は絶対死なないということ。これで何ができるかというと、シナリオ中で負けバトルが作れる。普通に個人戦やってたらRPGでよくある負けバトルはあんまり作れない。事故死怖いから。例えば、高レベルキャンペーンの導入で会戦から入るとか。導入の手探り感があんまりなくなるし、キャンペーン通して戦う敵に最初負けておけば逆転したくなるし。もちろん説明なしだとこじれるから「これは負けバトルです。でも、減らした敵戦力で評価変わります。奮戦することによって敗残した味方内での声望が変わって交渉の難易度増減します」とかね。んでキャンペーン自体は普通の冒険しつつ最終決戦でまた会戦、みたいな。まあ思いつきですが。
あとは、射程の長い攻撃なら指揮官をヘッドショットできるので、魔法拡大兄弟の中でも不遇をかこっている魔法拡大/距離さんが活躍できるかなあと思ったけど部隊を全滅させるほうが指揮官殺すより簡単なゲームなので、現実的じゃない気がします、かわいそう。
まとまりませんが、そんな感じです。上記しましたが結構軽いルールで盛り上がるので、PLたちが乗り気であれば安易に導入してやってみるのもいいかと思いました。以上です。