Only you know… 2023/02/03
Spotifyのランダム再生で久々にGod knows…が流れて、歌詞の尖り方に驚いた。めちゃくちゃ重い。アニメ版設定にはなるがENOZという女子高生ガールズバンドが学際用に準備した曲なわけで、それでこんな内容になる? Lost my musicの方に至ってはバッキバキの失恋ソングだし。学際で浮かれた人たちに冷水をぶっかけるのが目的だったのだろうか。
あとこれは昔(と言っても最早なんらおかしくないのが怖い)からぼんやり疑問だったのだが、学祭のライブ公演を代打でやってもらってそれで一応OKになるか? 絶対に本人たちで演らなきゃ意味ないものじゃないの? 本編でも、曲を死蔵するのが忍びないため苦肉の策で……といった趣だったし、ハルヒ自身もノリノリで請けたわけでもなくどうしてもと言うなら……的なノリだった。この時点のハルヒは仲間と何かを成そうとする時、「何か」より「仲間」が大事なことを理解っているんですね。しかしそれでもENOZのメンバーは代打公演を選択した。なぜだろう。
今書いてて思ったけど上記のような考えが浮かんだのは確実にこれの影響だな? そうそう、こういうバンドや仲間へのアンセムの方が普通。
「楽曲テーマが重い」「代打公演の容認」この2つの違和感を解消するために、ENOZ文化祭公演の目的について仮定を変えてみるのはどうか。
つまり「ENOZとして文化祭で公演することより、この2曲が披露されることのほうが重要だった」という仮定。
『God knows…』は激しい恋の歌だ。(上位存在たる)神のみぞ知る、という表題はつまり、余人を強く拒んだ二人だけの世界を意味する。対して『Lost my music』は疾走感ある失恋ソングだ。『また会えるよね?』という最後の一節は、その希望が最早叶わないことを知りながらの言葉のようにも思える。
この2曲をこの順番で演奏されること、それがソングライターの実体験を模しているとするならばどうだろう。そして、この2曲で歌われる「あなた」たる存在が学内にいるとすれば。
つまり、ENOZのソングライターたる誰か(これ劇中とか設定集で明かされてないですよね?)は激しい恋をして、かつ失恋した(歌詞の内容から、誰かに奪われたと考えるのが自然)。恋のさなかの激しい感情を『God knows…』に、それが失われたことへの寂寞と未来に進む希望を『Lost my music』に託して演奏することを望み、メンバーもそれを承認した。
詞に歌われている「あなた」にこの2曲を聞かせ、描かれた本人にしかわからない歌詞の内容にハッとしてもらい、何かを思わせること。そしてそれを以て恋を思い出に変えていくこと。それがENOZの目的だった。
そう仮定すると、2つの違和感に筋を通すことが出来る。テーマの重さは実体験だったから。代打を認めた理由は、楽曲が演奏されることそのものが目的だったから。ハルヒと長門の助力を得て、ENOZは確かに目的を達成して、青春に一つの区切りをつけたのだ。
「……っていうのが俺の妄想なんだが。どう思う」
「妄想と言われてなお、論理の飛躍が目に付きますが…… 男子高校生らしく恋愛トークに花を咲かせるという趣向は悪くないですね。貴方にしては珍しい」
「1人でやってろ。俺が思ったのは、谷口のアホみたいに浮かれてる奴らの影に、失恋を味わってる奴も同じだけいるんだろうってことだ。お前にも心当たりがあるんじゃないか? 俺たちと別行動してる間、1人くらいフッていてもおかしくないと見てるぜ」
「さあ、どうでしょう? 団の活動と仕事がなくならないうちは、恋愛などしている時間がないことは確かですが……」
否定しやがらない不愉快なニヤケ面から目をそらすと、もはや完全に本の虫への逆戻りを果たした天才ギタリストがいつもと変わらず座っていた。正確なリズムでページをめくる指には傷一つなく、知らない人間から見ればギター経験は三日坊主がいいところとしか思えないだろう。SOS団屈指の万能キャラに頼れば俺の妄想の真偽を確かめることも容易いだろうが、俺はそんなb
↑こういう二次創作は、放映当時の時点でどこかにあると思う。
ハルヒの二次創作、マジでなんでもあったからな……。男女ともにウケる作風、個人サイトの全盛期、原作の供給不足……いろんな要因はあったんだろうけど。当時好きだった作者で今行方が知れない人もたくさんいる……。『異世界おじさん』でハチャメチャ売れた殆ど死んでいる先生や、『響』でバカクソ売れた柳本光晴先生みたいにプロ行ってれば動向もわかるんだけど……。
風の中のすばる砂の中の銀河……。