【猫の目ロック】全曲解説・後篇
小野瀬雅生と須藤祐によるニュウアルバム『猫の目ロック』の全曲解説の後篇です。
このアルバムの詳細は全曲解説・前篇の方をご覧くださいませ。
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6.かわうそ
かわうそ ひとりで
あてもなく たびする
かわうそ ちょうちん
そのてに にぎりしめて
はまぐり ふたりで
いつのひか ひらこう
はまぐり ふくらむ
そのみを ゆめみながら
ねぶそく かさねて
はるのひを むかえた
ねぶそく しんごん
となえて べんてんさま
小野瀬雅生解説
これ昔の妖怪画にあります破れ傘をかぶって提灯を持っているかわうそからインスパイヤされました。歌詞2番のはまぐりはゲゲゲの鬼太郎「妖花」で大きなはまぐりの貝船を舵取りしているのがかわうそだったのを思い出してはまぐりにしました。歌詞3番の寝不足はコロナ自粛前は日常的だったのが自粛期間中にすっかり睡眠不足を解消してしまいましてどう云うことかと思いましたが自粛解除後はやはりまた寝不足に見舞われたわけで御座いますああ眠い。
キーはEmで始まりますが転調しまくりです。Em-D Gm-F Am-G Bm-A でまたEmに戻る、です。
この曲のリードギター、毎度お馴染みのアコースティックPRSを使っておりますが、これがまた自分史上最高に良い湯加減で弾けましたことをご報告致します。前作『猫町旅情』収録の「ヒトガタ」に於けるリードギターと並んで自分のキャリアハイをたたき出せたかと存じます。一試合3ホーマー8打点くらい。
須藤祐解説
のっさんから出る「マイナーキーでの転調がつづく曲構成」どことなくヤマタケサウンドを彷彿とさせる。2コーラス目から入る「しゃっしゃっ」という音はチャフチャスというパーカッション。 使ったのは木の実のタイプですが、動物の蹄などを使ったタイプもあり形状も様々。発祥は南米アルゼンチンやペルーの方らしいですが(諸説あります)、ピアニカと併せ、どことなく曲にアンデス風の雰囲気が漂ってるのはそのせいかも。イントロのピアニカのフレーズは前作「猫町旅情」のあの曲からのオマージュ、探してみてください。
PIANICA : YAMAHA P-37EBK
Piano : Studiologic SL88 with Modartt Pianoteq
Electric Bass : Fender Jazz Bass Aerodyne
Percussion : Chajchas Claves, Shaker, Cabasa, Triangle
7.ダブルファンタジー温泉
湯煙の向こうには あの人がきっといる
伝説のあの人が 語りかけてくれたんだ
よう、にいちゃん そんな姿勢じゃ
ダメになるぜ ニンゲンいつでも
背筋をのばさなくてはいかん
三度大きく深呼吸
それから十分に背筋をのばすんだ
小野瀬雅生解説
自分が洋楽に目覚めた中学生の頃(小学生だったかも知れない)、ラジオで流れてきたジョン・レノンの「夢の夢(Dream#9)」を聴いて何と良い湯加減の大浴場的なリバーブがかかっている曲なのだろうと感激して、今でもこの曲がスキスキスーです。それに昭和の大投手金田正一さんの著作「さよならギッチョ やったるで!20年」の中のエピソードで、サウナ風呂で見知らぬ男性に姿勢の悪さを咎められてそれを意識して直したところあれもこれもヒジョーに元気になったと云うチョー大好きなエピソードをマリアージュさせて作った誰のためにもならない誰の心も動かさない本当にどうでもいい曲が出来上がりました本当にすみませんでも幸せです。
どうでもよい割にはこれも転調多し。C-A-C-Dです。
須藤祐解説
のっさんの書いている「良い湯加減の大浴場的なリバーブ」はArturiaというメーカーの「Rev PLATE-140」を使用。プレートリバーブではありますが、ドライブの歪み感も心地よく、大浴場の濁った響きをそれなりにシミュレートできているのではないかと思っています。当初、イントロのフレーズは、テルミンや口笛等、音程変化が滑らかなものを考えていましたが、なかなかうまくはまらず、原点回帰でピアニカに。この曲に限らず、自分自身の演奏したギターだと、自分のベースがうまくのらない(一般的にはベースを先に録音しますが)事も多いのですが、人の弾いたギターにはすっと収まる、そんな勝手な思い込みです。
PIANICA : YAMAHA P-37EBK
Electric Bass : Fender Jazz Bass Aerodyne
Drums(Programing) : TOONTRACK SUPERIOR DRUMMER 3
Percussion : Tambourine, Shaker, Cabasa, djembe
8.おやつ饅頭
おやつ饅頭
おやつ饅頭
おやつ饅頭
おやつ饅頭
小野瀬雅生解説
今年(2020年)出逢った名古屋の「おやつ饅頭」と云うお店が大好きになったので曲が出来ました。こちらのお雑煮を心からアイシテイマス。キーはD。分数コード大会。
須藤祐解説
当初はパーカッションしかダビングしていませんでしたが、後に他のパートと差し替えでピアニカのオブリを追加。いったい何を差し替えたのかは、そのうちライブのMCででもお話します。メインはジャンベ。知人より借りたものですが、革が一部破けてしまっているため、チューニングも低く、ゆるい音しか出せておりませんが、テンションはMAXで叩いています。Facebookでレコーディング風景をライブ配信していたのは、この曲でした。
PIANICA : YAMAHA P-37EBK
Percussion : Tambourine, Shaker, Cabasa, Djembe
9.ネコドリ
ネコドリって知ってますか
ネコババなんかじゃありません
ネコに似た声出すんです
羽毛は緑のネコドリです
ネコドリって知ってますか
ヨコドリなんかじゃありません
大きな声で鳴くんです
オーストラリアに住んでます
ネコと云っても
ニャーと鳴くわけでなし
春の夜更けの
悩ましい恋の歌
発情期
発情期
あの声だ
ネコドリって知ってますか
猫撫で声ではありません
大きな森の奥深く
あなたを求めて泣いてます
小野瀬雅生解説
鳥類の世界も広く深いのです。スズドリと云う鳥の鳴き声は125デシベルで削岩機とか杭打ち機並の大音量を出します。ネコドリと云うのは、広義には鳥綱スズメ目ニワシドリ科ネコドリ属に含まれる鳥の総称で、狭義にはそのうちのオーストラリア産の1種を指すとのことです。このネコドリの声はまあ発情期と云うかすんげー年取ったどら猫が愛想がないように見えて実は甘え上手だったのが判明したような声をしております。楽曲的にはネコドリの存在意義よりも、発情期と云う言葉をメロディーに乗せて歌えたことと、自分でも思いもよらなかったキレイで哀しいオチが付いたことで、自分がここまで生きて来た甲斐があったと深く感動しております。キーはEm。ちなみにイヌドリやブタドリはいませんが、ネズミドリやリスドリはいます。
須藤祐解説
前作「猫町旅情」収録の「ヒトガタ」にも似た世界観がありますが、こちらのがより現世感があるような。印象的に使えたクラベス、どちらかというと拍子木のイメージ。アウトロのフレーズ は、のっさんのボーカルレコーディング時からずっと頭に流れていたものをピアニカで再現。「小野瀬雅生と須藤祐」で曲を作る工程として、まずのっさんのギターに始まり、ボーカルを録りきってから自分のダビング&アレンジ作業に入るのですが、大体はボーカルを録った時点で、世界感やある程度の楽器構成&フレーズができている事が多いです。この曲もそのパターンでした。演歌っぽいといえば演歌っぽい。いったいどこからやって来るのか、こんなフレーズ。今思えばマンドリ ンでユニゾンしてもよかったかな...と、膨らむイメージは無限大。
PIANICA : YAMAHA P-37EBK
Percussion : Claves
10.犬の歌も作れ
どうして猫ばかり
歌になるのだろう
犬の歌も作れ
それが犬の願い
大きな犬から
小さな犬まで
色んな犬がいるんだよ
シェパードにコリー
スピッツマルチーズ
柴犬ポメラニアン
セントバーナード
雑種の良い子が
近所にいたんだ
いつもキャンキャン吠えてたよ
救急車や消防車が来ると
遠吠えの大合唱
遠ざかるサイレンに
何を思うのだろう
大きな犬から
小さな犬まで
色んな犬が吠えてたよ
犬の歌も作れ
それが犬の願い
小野瀬雅生解説
タイトル通り犬の歌です。「ネコドリ」と「犬の歌も作れ」の2曲がワタシの今年の大収穫です。一生歌うであろう曲が2曲も出来るなんて本当に嬉しいです。歌わなかったらごめんなさい。心残り的にはペキニーズと云う犬を後から思い出してほぞをかみました。わんわん。
キーはこれもEm。アレンジ的には先日他界されたエンニオ・モリコーネ氏へのオマージュも含みます。ウーゴ・モンテネグロ楽団のアレンジの方です。きゃんきゃん。
須藤祐解説
猫系の歌ばかりだったので、犬の歌も出てきました。各犬種、取り揃っています。のっさんが持ってきた謎の小さな太鼓を手で叩いてボンゴ風に。ライブでは一緒に「わんわん」とつぶやきたいのですが、口が足りず。なんとかピアニカ吹きながら口ずさめる様、がんばります。先日の生配信では片手間にビブラスラップも叩いてみましたが、今後も小物が増えていく予感。 この曲だけピアニカは別なモデルを使って弾いています(P-37D)。某所でのライブ時のMC中に会場に荷物が届き、早速この楽器に持ち変えるなんて事もありました。そのうちライブのMCででもお伝えしますが、この曲で個人的に致命的なミスを犯しております(誰も知らない、知られちゃい けない)
PIANICA : YAMAHA P-37D
Vibraslap : Pearl PB-VSW
Percussion : Triangle, Djembe, Mini Drum from Nossan
Soprano Recorder YAMAHA YRS(?)
11.パート
燃え尽きるまで 燃えていたい
食べ尽くすまで 食べていたい
読み尽くすまで 読んでいたい
聴き尽くすまで 聴いていたい
やり尽くすまで やっていたい
飲み尽くすまで 飲んでいたい
書き尽くすまで 書いていたい
弾き尽くすまで 弾いていたい
出し尽くすまで 出していたい
打ち尽くすまで 打っていたい
取り尽くすまで 取っていたい
愛し尽くすまで 愛していたい
小野瀬雅生解説
タイトルは2曲目の項をご参照ください。この曲ももしかしたら長く歌うのかも知れません。作った時はぼんやりしていましたが録音して聴いてみると自分でも印象が変わるのです。この曲をキーAと考えるのかEと考えるのかどちらかと云うと後者なのかなるほどね。そんなわけで11曲どうぞお楽しみください。
須藤祐解説
「欲望の歌」自分の中で勝手にそんな副題がついていました。2曲目に収録の「ニール」と対になって、こちらも7拍子。パターンは違いますが7拍子にクラベスがクセになります。レコーディング時、たまたま手元にあったRolandのアナログシンセ「SYSTEM-100」でアコギのベースラインを支えてみました。アコギと絡み、低音のピッチのうねりが気持ち良い。最後になりますが、のっさんのギター録音には通常のマイクとは別に、IK Multimediaの「iRig Acoustic Stage」を使ってミックスしています。これを使うことでエアー感ものこしつつ芯のあるダイレクトな音が録れるので、ミックス時にサウンドの選択肢もでき、ひじょーに便利に使っています。ボーカル録音のプリアンプはUniversal AudioのApollo 8pを使い、UADプラグインのNEVE 1073、もしくはAPI Vision Channel とコンプに1176LNをインサート。主にこのパターンで録音する事が多いです。
PIANICA : YAMAHA P-37EBK
Electric Mandrin : Aria AM200EBS
Percussion : Claves, Djembe, Triangle, Cabasa, Shaker
全曲解説、以上となります。ありがとうございました。
『猫の目ロック』裏ジャケにある写真のオリジナル。伊勢佐木町の路上にて2020年1月撮影。
前作『猫町旅情』もほんの少しだけ在庫があります。ご興味がありましたらオフィシャルウェブショップにてお求めください。
ライブ再開の目処がなかなか立ちませんが、心置きなく歌って演奏出来るその時を楽しみにこれからもがんばります。
配信ライブなどもありますので、小野瀬雅生ショウのページなどをチェックよろしくお願い致します。