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焼きそばの果てしなき旅【その53・めん亭はるもとの麺を蒸す】
焼きそばの本も出るので一安心して立ち止まれば良いのにどうにも止まらない。焼きそば熱は冷めるどころかヒートアップしたまま。そのヒートアップが思わぬ方向に進路をねじ曲げる良い例をご紹介しよう。このタイミングでまた愛知県名古屋市の麺の本丸『めん亭はるもと』から麺と麺シートとチャーシューなどが届いた。いつもありがとうございます。いつも通りに焼きそばを作って食べようと思ったが、ふと頭の中をあることが過ぎった。それを実行してみたのです。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61044634/picture_pc_59da5d66d227adae636c14320e42c493.jpg?width=1200)
生麺400gほど。いつもなら茹でて冷水で締めて使うところだが、僕の頭の中を過ぎったと云うのは「蒸す」と云うワード。焼きそばの麺は蒸し麺であることが多い。蒸す、蒸すのか。蒸し器で生麺を蒸してみれば良いのか。そうしたら蒸し麺になるのか。軽い気持ちでやってみた。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61044809/picture_pc_9e5aaa12fac35b1602e98988b6b8ad67.jpg?width=1200)
蒸し専用の蒸し器はないので、鍋底に水を張って、蒸し器目皿(と云うのか)を置いて、その上に麺を入れた容器を置いて、蒸した。どのくらい蒸したら良いのか判らないので、とにかくまずは5分。5分経ってあまり変化がないようだったのでもう5分蒸した。合計10分ほど。
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麺がほんのり茶色を帯びた。ああ蒸すことで色も変わるのか。焼きそば麺の茶色いのは蒸すことで得られた色なのか。頭の中に納得やら憶測やら色々なものが急激に流入してきて浮き足立つほどに楽しくなってしまった。これはかなりヤバイことに手を染めてしまったのだとも考えた。でもやるんだよ。それ行け小野瀬雅生。
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2021年試作№009(はるもと通算№020)。蒸しはるもと焼きそばプレーン。具ナシで作ってみた。色が濃いめなのはソースが多いからではなく、麺が元々茶色を帯びているから。さあどうだろう。
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ウマウマウー。ああ凄い。蒸すって凄い。麺の食感が全く変わった。ギギッと噛んでも強力に抵抗する麺。何たる食感。何たる快感。麺硬めを金科玉条とする僕にとってこのチャレンジは絶対的に価値あるものになるだろう。さあ行くぞ、蒸気の世界へ。
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ふと見たら麺を包んだ新聞紙にチャーリー・ワッツ逝去の記事。1960年代のロックの息遣いがどんどん弱まっている。現在のように情報と情報が繋がっていなくてもムーブメントの大きさは計り知れないものがあった。今の方がてんでバラバラで何もかもが孤立しているように思える。音楽のことはまたゆっくり考えよう。さあ焼きそばを作ろう。
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蒸し時間を大幅に増やしてみた。合計45分。途中でくっついた麺をほぐしたので連続したのではなく30分プラス15分の二度蒸しとなった。前回よりも麺の茶色は濃い。
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61047128/picture_pc_cb6f4e1245acd0698de259cdb176483b.jpg?width=1200)
この時点でかなりごわごわした麺になっている。さあ炒めよ。期待は高まるばかり。
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2021年試作№010(はるもと通算№021)。深蒸しはるもと焼きそばキャベツ入り。キャベツをしっかりと炒めて、麺を加えてソースで味付けして出来上がり。ソースは名古屋のコーミソースと神戸のばらソースをブレンド。
![画像10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61047454/picture_pc_22f01e46d516ef1feffea8a4ed985337.jpg?width=1200)
色合い的には何か本格的な中華料理の焼きそばのようにも見える。イタダキマス。
![画像11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61047794/picture_pc_09c370754ef475e463ff53ef45de37a3.jpg?width=1200)
ウマウマウー。極楽の麺だ。クッと噛んでクッと跳ね返されて、またクッと噛むとキュッと切れる。麺の凝縮された旨味や甘みを感じながらそのクッとキュッとを繰り返す。ソースの香りがその繰り返しにアクセントを与えてくれる。ああなんてウマイのだろう。至福である。でもここで立ち止まらない。もっと蒸したらどうなるのだろう。
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蒸し時間を更に増やした。30分プラス15分プラス30分。合計1時間15分。麺から水分が抜けてパリパリになっている箇所も増えた。茶色はこの色がマックスなのであろう。
![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61048602/picture_pc_204c1997dc8be870ad120b2ceab90ccf.jpg?width=1200)
2021年試作№011(はるもと通算№022)。ディープ蒸しはるもと豚肉入り。敢えてキャベツは使わずに作った。フライパンで炒めている時にも麺のごわごわした感じは箸から伝わる。期待出来そうだ。
![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61049010/picture_pc_b2fc95946a020e727c7eee6052681886.jpg?width=1200)
敢えて真っ赤な紅生姜を載せてみた。何かの植物が砂漠の過酷な環境の中で咲かせた赤い花のようにも見えなくもない。相変わらず僕はそんな余計なことばかり考えている。
![画像15](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61049360/picture_pc_25268b9e5aa54844a4309807a56c93f8.jpg?width=1200)
ウマウマウー。凝縮された麺の旨味に瞠目する。こんなにウマイのか。でもこの前の合計45分蒸しと歯応えなどはあまり変わらない。蒸しの臨界点がどこかにあるのだと思う。これは成り立ちがしっかりしているはるもとの麺だからこんな風に扱っても平気で耐えたのだし、味わいが損なわれることもなかったのだと思う。蒸しの世界はもっと大きな森林地帯のように見える。その深き森に分け入って行くのかどうか。きっと入っちゃうなー。怖いけど行っちゃうなー。新たなるミッションを与えられた2021年9月。ぼちぼちやります。
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おまけですが、麺シートを切って、それも蒸してみた。麺シートはラザニア的でもあるし餃子やラビオリの皮のようでもあるし、それを蒸してみたらどうなるのかと考えたらどうしても収まりがつかなくなってしまった。蒸し時間は30分ほど。途中一度蓋を開けて麺をほぐした。成り立ちが違うので茶色を帯びたりはせず、硬く締まることもないようだったので、手早く味付けして食べることにした。
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2021年試作№012(はるもと通算№023)。蒸しはるもと麺シート使用塩焼きそば豚肉入り。突然の白い世界。乾燥パセリも振ったらほぼパスタのように見える。
![画像18](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61050452/picture_pc_0bd6da62f660d2d01e1c06b05c48c58e.jpg?width=1200)
思惑的には富士宮やきそばの麺みたいに透明になったりしないかなと云うのもあった。その辺りの秘密にも今後また迫ってみたい。
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ウマウマウー。麺の素っ気なくぼそっとした食感。とてもイイ。好きだこれ。茶色くなった蒸し麺ほどクッと跳ね返される噛み応えはないけれど、どこか遠くの国の家庭で素朴なもてなしを受けているような妄想も湧き起こる。遠くに行きたいのメロディーも頭の中でリピートする。もう少ししたらまたあちこち出歩けるかな。頭の中の焼きそばの旅も、リアルな焼きそばの旅も、もう少ししたら再開しよう。今回どの試作もとても美味しく作れた。あらためてめん亭はるもとの麺に感謝を。焼きそばの果てしなき旅はまだまだ続きます。
焼きそばの果てしなき旅【その45・めん亭はるもとの麺2021前篇】
焼きそばの果てしなき旅【その46・めん亭はるもとの麺2021後篇】
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![小野瀬雅生](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/25726329/profile_a405f5402431b5816264e8ad26f3ffd5.jpg?width=600&crop=1:1,smart)