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きくらげ沖縄とゴーヤ利尻
とても忙しい。色々やらねばならぬことが全く片付いていない。時間がない。余裕なんてない。なのに。なのにである。その間隙を縫って全く無駄なことをやってしまう。行き当たりばったり。思い付きだけ。それに貴重な時間を費やしてしまう。これはもう僕の習性と云っても良い。とある作家の方が、原稿の締め切りが過ぎているのに書かないので、担当編集者にホテルの部屋に放り込まれて、絶対に書くようにと申し渡したのに、暫くして編集者がホテルの部屋を覗いてみると、その作家はホテルの部屋のユニットバスの掃除をしていたと云う伝説のような話があるが、その気持ちは良く判る。そこに深い理由なんてない。人間の奥底が噛み合っていないのだから何が何でもそれをやらない。出来ないと云っても良い。その奥底がピタッと噛み合う瞬間を気長に待っているのだ。若い頃は集中力が過分にあって、10時間でも12時間でもそのピタッと合う感じでいられたのが、年齢を重ねてきてピタッと合う時間が限られてきた。そしてその集中力を呼び覚ますために、全く関係ない無駄なことをやってピタッと合う瞬間を探らねばならない。更に困るのは無駄なことだと思ってやってみたことが、思いのほか面白くなって別の奥底が違った角度でピタッと合ってしまうことがあるからである。大変に困る。でも困ったところでピタッと合ってしまったならもう先に進むしか手立てはないのだ。長々と言い訳めいたことをダラダラと書いてしまった。まあここから後は脱力して読んでください。すみません。
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東京は有楽町に北海道と沖縄のアンテナショップがある。先日行ってみたら同じビル内になっていた(沖縄が引っ越してきた形)。どちらのショップも良く行くのだが、ふと北海道産きくらげを沖縄そばに載せたらどうなるだろうかと考えた。考えたのならやってみよう。
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博多の豚骨ラーメンにきくらげを大量に載せて食べるのがスキである。きくらげはどんな料理に入っていても嬉しくて心躍る食材の一つである。でも沖縄そばに載っているのは見たことがない。僕が初めてかも知れない。いや、きっともう誰かがやっているに違いない。そんなことを思いながら、乾燥きくらげを水で戻し、適当に切って湯通ししておいた。
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沖縄そばもこれなら作るの簡単であろうと考え、マルちゃん沖縄そばを採用した。何度も食べているがこれがなかなかウマイのである。そしてすぐに出来るのである。
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(北海道産)きくらげ(を載せた)沖縄(そば)と云うことできくらげ沖縄と命名した。本当はきくらげそばの方が良いのであろうがまあ良かろう。
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冷蔵庫に残っていた青ネギの刻んだヤツと紅ショウガをトッピングして、なかなかそれらしいルックスになった。あと沖縄そば付属の七味唐辛子、そして何となくごまもかけた。青ネギとごまのせいか、博多ラーメンっぽくも見える。外見にとらわれるなと良く云われるが、それは大変に難しいことである。やはり物事はまず外見で判断することになる。何だかまた込み入った話になりそうなので脱線は回避する。イタダキマス。
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ウマウマウー。ウマイ。ちゃんとウマイ。麺もスープもしっかりしている。さあきくらげはどうか。
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ウマウマウー。沖縄そばのスープときくらげはちゃんとマッチした。ヒジョーにウマイ。ただの思い付きだったけれど、これは作って良かった。自画自賛。これでもかこれでもかときくらげ。スゴイ満足感を得られた。
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そうするとこれの表裏と云うかネガポジと云うか逆は何になるかとまた考えた。これだけでやめておけば良いのに、そうは行かないのだ。それが僕だ。僕なんだ。還暦を過ぎてもこの有様だ。まあいいか。
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と云うわけで、この組み合わせを選んでみた。利尻昆布ラーメンにゴーヤを載せたらどうなるであろうか。沖縄では昆布の消費量が非常に多いと云うイメージはあるが、実は現在はそうでもないらしい。食生活の変容からか、沖縄県の一世帯あたりの昆布の消費量は2020年で全国31位とのことである(総務省調べ)。今ここでそんな細かいことを書くこともないと思うのだが止まらない。沖縄では昆布は獲れず、北海道などから送られてきたものが利用されている。繋がりはしっかりとあるのだ。だからこの組み合わせも必然性があるのだと自らに云い聞かせている感じか。どうなんだ。これもまあいいか。
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利尻昆布ラーメン、これは以前にも戴いて大変にウマイと知っている。スープの味がしっかりしているので、これならきっとゴーヤの風味も受け止めてくれるに違いないと思った。普通のインスタントラーメンより作る手順が多いが(麺は麺だけで茹でるなど)そこはちゃんと書いてある作り方通りに作ろう。
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ゴーヤは近所のスーパーで見つけた。鹿児島県産と沖縄県産があったので迷うことなく沖縄県産にした。
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半分に割って、中のふわふわしたヤツと種を取り除く。流水であく抜きとかはせず、軽く洗って炒めるだけにしてみた。それを載せてみよう。
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ゴーヤ(を炒めたのを)利尻(昆布ラーメンに載せたの)で、ゴーヤ利尻と名付けた。きくらげ沖縄ほどポップでもないし、意味不明だし、あまり良くないとは思うのだがどうしようもない。お許し願いたい。
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利尻昆布ラーメン付属のとろろ昆布と、炒めたゴーヤ、そしてその中間(ではないのだけれど)の栃木県の岩下の新生姜スライスを載せた。これはポップでなかなか良いアイディアだと思う。またも自画自賛。イタダキマス。
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ウマウマウー。ウマーイ。この利尻昆布ラーメンを気に入った芸能人の方がいらっしゃったはずである。マツコさんだったかな。それはそうと、昆布の旨味としっかりした塩の効いたスープがチョーウマイのである。麺も手間をかけただけあって、普通のインスタントラーメンとは一線を画した口当たりと味わいである。ふと何も載せないで食べた方が良かったかと心が揺らいだが、折角の思い付きであるからゴーヤも戴いてみよう。
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ウマウマウー。ちゃんとウマイ。ゴーヤの炒めもなかなか上手く出来たとは思うが、やはり昆布味がしっかりゴーヤの複雑な味わいを包み込んで、トッピングとしてちゃんと機能していると感じた。やっぱりちょっと苦いことは苦いけれど、苦いものを入れているんだからそれはしょうがない。でも利尻昆布ラーメンの懐の深さを思い知った。塩味が本当に綺麗である。スキスキスー。
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どちらも大して突飛なチャレンジではなかった。でも自分の奥底はしっかり満足した。これからも色々な思い付きを形にしてみたいと思う。僕は何かを作っているのが本当に好きだ。音楽も、料理も、文章も。ずっとずっと続けたいと思う。さあ、次は何に何を載せようか。そうじゃないか。まあいいか。今回はずっとまあいいかだな。まあいいか。次がんばります。
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