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小野瀬雅生の2024年ベストミュージック10選+α
2024年も沢山の音楽を楽しんだ。現在のものも昔のものもある。そして例年以上に「現在」の音楽に心を動かされた年でもあった。現在って何だろう。どんな現在なのであろうか。現在は現在じゃん。他に何の現在があるの。いやそうなんだけど、そう云うことじゃなくての現在。何だかまたわけのわからんこと云ってんな。やれやれだ。
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昨年末、何十年かぶりにNHK紅白歌合戦をほぼフルに視聴した。途中観逃してしまった箇所が幾つかあるが、チャンネルを変えずにずっと紅白を観た。THE ALFEEもB'zも藤井風も米津玄師も素晴らしかった(心に響いたのは白組ばかりであったが)。その中で僕の中にスッと飛び込んで来てポンと弾けて全てを変えてしまった曲があった。それがMrs. GREEN APPLEの「ライラック」と云う曲だった。イントロのギターが面白いので耳が覚えていたが、それがこの「ライラック」と云う曲のイントロであったとはこの時に初めて知った。62歳のジジイがこの曲に何を感じ得たかと思われましょうが、ときめいたのです。そうとしか云いようがない。テロップに出ていた歌詞が、その文字と歌われている歌詞と同時に飛び込んで来て、それが本を読んでいるようで、または映画を観ているようで、もちろん音楽そのものの中にいるようで、素直に好きになった。2024年の最後に僕がこの曲を好きになるなんてまったく思いもよらなかったことだが、なったんだからしょうがない。何度も何度も繰り返し聴いて、この曲こそが2024年の空気を最も濃厚にキャプチュアしていると確信して、僕の2024年ベストソングとすることにした。テンポはBPM150。このスピードでこの情報量で、更に良い曲であるなんて奇跡的だと思う。歌詞だけ見ると結構暗い内容。だけどそれが時代の匂いだと思った。最後にちょっと救いがあるのもとても良いと思った。愛せてる。
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大晦日の紅白歌合戦を観るまでは、HYDE『HYDE [INSIDE]』の3曲目、「PANDORA」が僕の2024年ベストソングであった。2024年11月3日『MONGOL800 ga FESTIVAL What a Wonderful World!!24』@宜野湾マリーナ・トロピカルビーチ特設会場(沖縄県宜野湾市)にクレイジーケンバンドも出演して、その数時間後にHYDEのステージも初めて拝見した。セットリストの1曲目がその「PANDORA」。この1曲目で僕はぶっ飛ばされたような感覚を得た。物騒な暴力衝動と静謐な繊細さが渾然一体となり、ライブでは肝となる重低音もギターサウンドのエッジも完全にコントロールされていて、圧倒された。楽しかったし、嬉しかったし、満たされた。他の曲も素晴らしかったが、この曲の攻撃的な姿勢がやはり一番好きだ。それ以来このアルバムを何度も聴いて、あの高揚感を思い出している。
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2024年に一番耳に残ったのは、ROSÉ & Bruno Marsの 「APT.」である。「アパトゥ」とカタカナ表記されているが、僕には「あーぱつあぱつ」と聞こえる。これが好きとか嫌いとかそう云うのを抜きにして、耳に残って仕方がなかった。後にちゃんと曲全体を聴けばなかなかの佳曲と理解したが、とにかくまずは「あーぱつあぱつ」だけが脳内リフレイン。僕はその「あー」の発音が底意地悪く聞こえてとても嫌いなのだ。僕は子供の頃に他の子供(特に女の子)の意地悪さをこれでもかと受けて育ったので、今でもそれを想起させるようなものを見たり聞いたりすると防衛本能的に身構えたり緊張したりしてしまう。そのスイッチとしての「あー」なのである。嫌い嫌いも好きのうちと云うけれど、無視出来ないと云うことではそれも云い得て妙なのかも知れない。大サビの Cm - B♭ - E♭ - C のコード進行はなかなか気が利いていて良いなと思った。そしてこうしてコード進行を全部覚えてしまうと「あー」の嫌味も薄れるのだった。今では大好きな曲である。
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ニュージーランド出身のデスメタルバンド、Ulcerate(アルセレイト)の通算7枚目のアルバム『Cutting the Throat of God』が出た。1曲目から物凄い。絶望的に陰鬱な曲調もそうであるが、ドラムの高速連打(特にベードラ)が常軌を逸して凄い。今でこそこの位のスピードのドラムは多数存在するが、どこまでこのテクニック追求は続くのであろうか。その内人間の耳では追い付かない速度の域に突入するのではないかと思うくらいだ。それにしても複雑怪奇な曲構成と各曲7分以上のボリューム感での全7曲。近接した音程を使用した情感を排除した無機質な響きの連続が、何故か妙に日本的にも思えるオリエンタルなものに思える瞬間もあって非情に面白い。聴き込んでいるとそこに空虚で奇妙な異空間のデザインめいたものも感じ得る。そしてサウンドがとても良い。これでもかと良い。
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アメリカはニューヨークのデスメタルバンド、PYRRHON(ピーロン)のニューアルバム『Exhaust』も素晴らしい。不協和音と云うか調子外れにも感じるギターの響きが何とも面白い。そして絶妙にクレイジーなギターソロも聴ける。ベースも極悪なサウンド。ドラムも高速で更に複雑なビートを操る。時折聴き慣れたアンサンブルの感じに戻ってきてくれるのも嬉しい。デスメタルとは云うが、こんなに生への渇望を感じるサウンドは他にそうそうない。宇宙の彼方にいるであろう未知なる生物の雄叫びのようにも聞こえる。特にギター。虚空に轟け。地獄に墜ちたPrimus(プライマス)のようだとも感じた。Rush(ラッシュ)風味もある。
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Kylie Minogue(カイリー・ミノーグ)のニューアルバム『Tension Ⅱ』もリリースされた。2023年リリースの『Tension』は今年に入ってから聴いた。どちらのアルバムも全曲大当たり満足必至のナイストラックばかりである。4曲目の「Good As Gone」などは僕の大好物である。ベースがイイ。10曲目「Edge Of Saturday Night(The Blessed Madonna & Kylie Minogue)」ではカウベルが鳴り響く。カウベルやられたなー。コンコンコンコンとやって最高である。どうにも変なところに愛を見つけてその愛が溢れてしまう僕である。いつものことか。
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Underworld(アンダーワールド)の新譜なんてのも出た。何と云う2024年であったことか。それも『Strawberry Hotel』ですってさ。サウンドももちろんであるがこれは歌モノのアルバムである。声、歌、ヴォイス、そうしたものがサウンドに新しい光をもたらしているように思える。それにしても3曲目は「Techno Shinkansen」ですってさ。これはきっと東京発、新大阪止まりだと思う。途中停車駅は品川、新横浜、名古屋、京都です。あれ、静岡とか浜松にも停車している感じがちょっとする。そうしたら、ひかりかな。
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そして何と何とDavid Gilmour(デヴィッド・ギルモア)のニューアルバムなんてもの出た2024年だったのだ。その名も『LUCK and STRANGE』。紛うことなきデヴィッド・ギルモアがそこに居る。もうじき79歳。でもちゃんとデヴィッド・ギルモアで居続けてくれている。50年以上最上の音楽を届け続けてくれている。僕がどれだけデヴィッド・ギルモアのギターに影響を受けたか。そしてその歌声。どれだけ僕を救ってくれたことか。このアルバムでも「Luck and Strange」「Scattered」で未だに透明感のある歌声を聴かせてくれる。この人のギターだけ全然違うところに響くのは何でだろう。僕にとっては50年以上前の鶴見とか、川崎とか。すみませんまた変なこと云ってるね。
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Blue Öysteer Cult(ブルー・オイスター・カルト)の2022年のデビュー50周年記念ライブの第2弾と第3弾が出た。第2弾は1973年のセカンド・アルバム『Tyranny and Mutation』の完全再現。第3弾は1974年のサード・アルバム『Secret Treaties』の完全再現が収録されている。オリジナルメンバーのEric Bloom(エリック・ブルーム)は80歳。Donald Roeser(ドナルド・ローザー)は77歳だ。独特のオカルト風味は健在。こうなったら1976年の『Agents of Fortune』再現もやってー。楽しみにしてます。
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米津玄師のニューアルバム『LOST CORNER』も随分と聴いた。僕の2022年ベストソング「M87」も収録されている。「KICK BACK」なんて最高にイカれているし、「死神」「さよーならまたいつか」「POST HUMAN」などみんな素晴らしい。でも僕にはやっぱり「とまれみよ」が来た。踏切の音、クライベイビー、ロキソニン、ディズニーシー、そしてとまれみよ。判りますかとまれみよ。時々踏切の横に書いてある。Stop Look Both Ways、止まれ、そして見よ、目視確認せよ、である。見ろでも見てでも見なでもなく、見よ、なのですよ。それにしてもやっぱり「M87」は素晴らしい。そして米津玄師は濃い。その濃さに対峙しているとサウンドの遊びや崩し方は必須なのだなとも思う。これからもずっと濃くあり続けて欲しい。そしてずっと澄み切っていて欲しい。ずっと笑っていて欲しい。こんな風に笑って歌える人は少ない。ジミヘンか植木等か。オハイオ・プレイヤーズも笑ってる。
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手前味噌かもしれないが、クレイジーケンバンド『火星』である。クレイジーケンバンドは2025年3月まで火星ツアーが続く。収録曲を演奏しながら各曲に深くコンタクトしている最中だ。もっとこのアルバムを多くの方に聴いて戴きたいと思う。よろしくお願いします。自分的には「Trans Solar System Express」と云う曲を作って録音して演奏していることが大変に嬉しく光栄に思うのだが、タイトルトラック「火星」の8小節の間奏のギターソロが自分の集大成のようにも思える。そしてここからまだまだ人生の観光は続くのだ。
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最後に手前味噌の味噌漬けか味噌汁か味噌ラーメンか判らないが、小野瀬雅生ショウ『6116』を挙げておく。クレイジーケンバンドのライブ会場か小野瀬雅生ショウのライブ会場でしか販売していないので、もうちょっと広く聴いてもらえるようにこれから算段したいと思う。新曲4曲とここ10年のベストトラック12曲を収録した。まだまだやりたいことがいっぱいあるので、もっともっと張り切ってやるようにする。さあ2025年もグッドミュージックと共に歩いて行こう。世の中妙ちきりんなことになってしまうかも知れないけど、本質をしっかり見据えて、浮石沈木に屈せず、バッチリ生きよう。2025年も小野瀬雅生をどうぞどうぞよろしくお願い致します。
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