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KZ PRXに思うところ。。。
KZ PRX レビュー:KZ第4世代平面磁気ドライバ搭載イヤフォンに期待し過ぎました
はじめに
イヤフォン業界で革新的な製品を次々と生み出してきたKZ(Knowledge Zenith)。その中でも特に注目を集めているのが、平面磁気駆動型ドライバを採用したPRシリーズです。今回は、このシリーズの最新モデルである「KZ PRX」について、実際に使用した経験からレビューさせていただきます。
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KZ PRシリーズについて
PRシリーズは、KZが展開する平面磁気駆動型イヤフォンのライン。一般的なリングコイルと円形磁石を使ったダイナミックドライバとは異なり、フィルム上に導体がパターン形成された電流路と、その面に垂直に磁場をかけるバー状の磁石を並べて疑似平面化した磁場を組み合わせます。この仕組みが心を揺さぶります。平面磁気駆動型ドライバは薄い振動板全体を均一に駆動することで、より正確な音の再現を可能にします。このシリーズの特徴は、高価な平面磁気型イヤフォンの技術を、驚くほど手頃な価格で提供していることです。
PR2、PR3といった前モデルは、その価格帯では考えられないほどの空間表現の広がりと、繊細な高域の表現力で好奇心の旺盛なオーディオファンの耳を楽しませてきました。
一方で、十分に鳴らして空間表現やキラキラ感の素晴らしさを体感するには、駆動力が必要なのか、別途DACなどが必要であり、手軽にとは行かず、環境整備してこそ真価を得られる特殊性がありました。音が駄々洩れになり、総じて一般的な環境で使いにくさがありました。
KZ PRXの概要
PRXは、PRシリーズの第4世代モデルとして登場。前モデルからの進化として、以下のような特徴が謳われています:
新開発の第4世代平面磁気ドライバ
より洗練されたチューニング
改良された筐体デザイン
さらなる価格の低下
音質評価
期待との乖離
しかし、実際に聴いてみると、前モデルで感じられた「驚き」や「感動」が薄れてしまっていることに気づきます。具体的な違いを以下に詳しく見ていきましょう。
空間表現の狭さ
PR2やPR3の最大の魅力は、その価格帯では信じられないほどの空間的な広がりでした。音楽があたかも頭の周りに立体的に広がるような、これらのOpen-backに近いヘッドフォンでしか体験できないような空間表現力を持っていました。
しかしPRXでは、この特徴が大きく後退しています。音の定位は比較的正確ですが、音場の広がりは限定的で、より一般的な価格帯相応のイヤフォンに近い表現となっています。
音色バランス
PR2、PR3で印象的だった繊細で透明感のある高域、いわゆる「キラキラ感」も、PRXではやや物足りなさを感じます。代わりに、より一般的な「ドンシャリ」チューニングとなっており、低域と高域が強調された、いわゆるV字型の音響特性を示しています。
これは確かに多くのリスナーに受け入れられやすい音調整かもしれませんが、PRシリーズの特徴的な魅力が薄れてしまった印象は否めません。
考察:なぜこのような変化が?
この変化の背景には、以下のような要因が考えられます:
より幅広い層への対応
一般的なリスナーの好みに合わせたチューニング
より親しみやすい音質への調整
コスト削減の影響
さらなる価格低下を実現するための設計変更
製造プロセスの最適化による音質への影響
市場戦略の変更
競合製品との差別化戦略の見直し
ターゲット層の拡大
まとめ
KZ PRXは、確かに技術的には進化を遂げ、より手頃な価格で平面磁気ドライバの恩恵を受けられるようになりました。しかし、前モデルが持っていた「驚き」や「特別感」は、残念ながら薄れてしまった印象です。
特に:
空間表現の広がりの縮小
特徴的な高域表現の後退
より一般的なチューニングへの変更
これらの変化により、PRシリーズの独自性が弱まってしまった感は否めません。
購入を検討している方へ
もし予算に余裕があり、PRシリーズならではの魅力を求めるのであれば、むしろPR3を探してみることをお勧めします。一方、より一般的で親しみやすい音質を求める方には、PRXも十分な選択肢となるでしょう。
初めて平面磁気型イヤフォンを試してみたい方には、価格の安さから入門機として検討する価値はあります。ただし、「革新的な音質」や「驚きの体験」を期待するのであれば、前モデルの方がより強い印象を残せるかもしれません。
追記:イヤフォン選びのアドバイス
イヤフォン選びで大切なのは、必ずしも「最新」が「最良」とは限らないということです。特に気になるモデルがある場合は:
実際の試聴レビューをできるだけ多く読む
可能であれば実店舗での試聴を行う
自分の音の好みをしっかりと把握する
これらの点を意識することで、より満足度の高い選択ができるはずです。
比較に使用した機材:
FIIO KA17, BTR5(FIIO ControlでPEQ設定)
Windows 11(dynabook HS, TRIGKEY S5)(サウンド設定::サンプリング設定)
Kindle Fire HD8 plus