D80/2-2024 | 台北 故宮博物院と士林夜市
2024年3月20日、第80日目 • 其の二。
迪化街を後にし、この日訪れようと思っていた台北最大の夜市である「士林夜市」が催される士林地区へ。屋台街が開くまでまだだいぶ時間があったため、暇つぶしがてら公共バスに乗って国立故宮博物院へ向かった。
が、ここで選択を誤ったことに気がついたのは、脚がちぎれそうなほど疲れ果ててしまった後だった。
と言うのも、故宮博物院はその所蔵品の点数や貴重さといい英国の大英博物館と比べても引けを取らず、アジアを代表する博物館と言っても差し支えのない巨大な建造物なのである。オーディオガイドを借りてじっくり鑑賞しようともなれば丸三日はかかっても可笑しくないという規模で、駆け足で眺めていったものの館内のあまりの広さに脚が悲鳴をあげた。
午前中から歩き回っていたこともあり、カフェでお茶をする程度では回復する見込みがないと判断し、一度ホテルに戻り昼寝して過ごすことに決めた。
また士林までとんぼ帰りすることを思うとやや癪だったが、松江南京駅の構内で買ったミスドのドーナツの美味しさが帳消しにしてくれた。一〇八抹茶茶廊コラボの生抹茶ポンデリング、これは美味しい。糖分を摂って血糖値の高まる感覚を覚えながらしばしの眠りへ。
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士林夜市
二時間ほどして目が覚めたところ自分でも驚くほど快復した実感があったので、いま、再びの士林へ。
(ちなみに士林夜市は、実のところ士林駅ではなくその手前の剣潭駅からの方がアクセスが良い。)
市場内は朝から営業を開始し、夜市に入ってからは業態を変更して営業する店もあれば閉店する店もあるが、ピンボールや金魚掬い & 海老釣り、射的などのゲーム会場となる。
日本の縁日ではゲームの屋台も飲食の屋台も混在した形で催されることがほとんどであると思うが、台北の夜市では飲食は飲食でまとまっているケースが多いようだ。士林夜市の場合には屋台は市場を囲むようにして毎晩店が現れる。
射的に使う銃はもちろん玩具だが、形状が猟銃ではなく自動小銃型なのが必要以上に物騒な雰囲気を醸しており可笑しかったポイント。実際に連射も可能のようだ。
糖葫蘆は日本で言う林檎飴に相当するお菓子で、サンザシに飴を絡めたものが基本だが苺やトマト、プラムなどバリエーションに富む。古くからあり目新しいものではないが、見た目に鮮やかで可愛く、そして食べやすいことから一定の人気がありかなり繁盛していた印象。韓国では今なぜか大流行のスイーツとなっているらしい。
フレッシュジュース/魷魚焼き/エリンギ焼き/海鮮バーベキュー/ビーフン/たこ焼きならぬ海老焼き/魯肉飯 • 鶏肉飯/台湾式のお好み焼き/愛玉子/豆花/臭豆腐/麺線/すべてを超越したもの etc…
市場の外はありとあらゆるB級グルメの坩堝と化しており、目には楽しく舌も愉しく、気になる物を手当たりしだい胃へ放り込んでいった。臭豆腐のようにクセの強いものはあるが、自分は何を食っても不味いものがなくパラダイスのようだった。
テーマに掲げていた「夜市で食いまくる」を初日から堪能できた夜である。
結局のところ士林夜市でしか見かけることがなかった御当地グルメ?のエリンギ焼きは大人気のようで、長蛇の列を作っていたが回転は早くそれほど待たされない。
市場近くに位置している寺の境内は人々が集まり、即席の食事会場となっていた。ポリ袋を持ったごみ回収の係員が夜市内を定期的に巡回していることもあってか、ポイ捨ては多くはない。
最後に価格について言えば、どの屋台も一品30〜150元程度が相場のようで1元=5円のためモノによってはそこまでの割安感はない。
13年前に訪れた際には1元=3円だったので、 仮に屋台が13年前と同じ価格を維持していたとしても、対日本円では元の価値が1.5倍以上高騰しており貧乏になった日本を切実に感じた。
しかし(何処かの受け売り文句のようで恥ずかしいが)それを補って余りある夜市の楽しさはプライスレスと言える。