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ありがとう、よな水。

今日で最後の放送となる、ABCラジオの「よなよな水曜日」。番組終了が発表されてからしばらくは、寂しさともどかしさでいっぱいだった。「なんだかんだで、ふたりの番組が継続されないかな」と思っていたけれど、そんなこともなく。ついに、終わってしまう。大好きだったよな水をぼくなりのカタチで残しておくために、思い出をまとめてみた。

3月9日の出会い

よな水との出会いは、鮮明におぼえている。転職して、いつもFM802が流れている職場で仕事をしていた頃のこと。その日は残業をしていて、最寄り駅についたのは、日付が変わるすこし前だった。「家につくまでラジオでも聴こうか」「いつものFM802がいいかな」「いや、今日は違う局にしてみよう」とラジコで選んだのが、ABCラジオのよなよな水曜日だった。パーソナリティのふたりのにぎやかな声を聴いていると、日付が変わると同時にレミオロメンの「3月9日」をかけたかと思いきや、近藤さんが「いちばん早く3月9日かけたんちゃう?」などとしゃべり始めた。曲がかかっているのに、めちゃくちゃしゃべる。そんな、なんでもありな雰囲気にハマってしまい、それから毎週欠かさず聴くようになった。

ふたりのパーソナリティ

シンガーソングライターの近藤夏子さんと、ABCアナウンサーの北村真平さん。このふたりのパーソナリティ(出演者)の、真逆のパーソナリティ(個性)が、会話のスパイスになっていた。ふたりが対立する話題としてよくあげられていたのは、次の3つだったと思う。1つ目は、よな水ワードでもある「帝国軍」か「反乱軍」か(反乱軍の例としてあげられていた、休み時間を鉛筆と消しゴムで遊んでいたようなタイプという例えが的確すぎ)。2つ目は、「四大卒」か「四大卒じゃない」か。3つ目は、こどもの頃の家庭環境が「裕福だった」か「貧しかった」か。ことあるごとに、まるでプロレスのように、それぞれのポジションでトークがくり広げられた。そんな真逆に思えるふたりが、不満や悪口では息がぴったりだった。

なさすぎる、恋愛感情

おじい・おばあリスナーからは、ふたりがくっつくことを期待するメッセージが多く届いていた(最近では諦めたのか、まったく読まれなくなった)。けれど、近藤さんのタイプは元ヤン。いくら年齢が近くても、年収が高くても、恋愛感情は一切ないとお互いに切り捨てていた。それどころか、ブースの外ではろくに話さない、エレベーターは一緒に乗ることすら避ける(そこまでする?)。そんな関係性なのに、一昨年?くらいに近藤さんが「夢で北村さんと…」みたいな話がでてきたこともおもしろかった。その後の、近藤さんが北村さんの彼女を思って「彼氏の同僚に夢でどうこうとか言う女がおったら、ほんま無理」と自虐発言をするところまでセットで笑った。

痔も、鬱も、告白

併記していいものだろうか、と思いつつ。北村さんの痔、そして、近藤さんの鬱。それぞれの抱えた病を、それぞれがありのままに伝えた。北村さんの痔は、痔ラジオなんて言われながらも、痔持ちのリスナーにとにかく病院での受診を勧める、とてもためになる告白だった。近藤さんの鬱は、芸能人の自殺についてのトークを発端に、「実はすこし前まで鬱だった」との告白から始まり。鬱という病気が特別なものではなく、みんなにとって身近なものだということを教えてくれた。ふだんは元気な近藤さんだからこそ、こころに響いた人も多かったと思う。ふたりのまっすぐなトークに、たくさんのリスナーが引き込まれ、おなじ病を抱えるリスナーは勇気をもらった回だった。

全盲の男性がみている世界

夏子ステーション(リスナーの依頼で、近藤さんが歌をつくるコーナー)の依頼者として、全盲の男性が選ばれたことがあった。はじめは、近藤さん・北村さんを含む多く人がわからないことだらけだったと思う。「もしかしたら失礼かな」と思って勝手にブレーキをかけてしまいそうな質問も、近藤さんは作曲のために遠慮することなく聞いていく。その様子に、正直ぼくなんかは冷や冷やしてしまった。しかし、近藤さんのまっすぐな質問に、依頼者もしっかり答えてくれて。気づけば、すごくいい番組になっていた。当時のぼくも思わずツイートしていた。もう一度、聴きたいなぁ。


やればできる、青春ラジオ

よな水の番組終了をだれも想像していない、発表の前の週のこと。おてドキ☆クロストーク(リスナーの悩みに、他のリスナーが電話で答えるコーナー)に、ナヤミニストとして18歳の女子大生が登場した。その悩みとは「よな水を教えてくれた同回生と、もっと仲良くなりたい」というもの。こんなん公開告白やん、と思っていると、その同回生(ヘビーリスナー)からリアルタイムで「ぼくも仲良くしたい」と連絡が届く。近藤さんは「クリアファイルを2枚一緒に送るから、渡してあげてな」とおせっかいおばちゃんっぽいナイスアシスト。よな水でこんなにキュンキュンすると思わなかったくらい、青春たっぷりの回だった。

歌声がクセになる鈴木P

「よなよな」を立ち上げたプロデューサーの鈴木さん。よな水では、その歌唱力が印象的だった。異動してもなお、ジングルで残っていたその歌声。「Pretender」は鈴木Pの歌声じゃないと違和感をおぼえるくらいには、洗脳されてしまった気がする。高音を無理して歌うことをジングルでも「首しめられた鳥みたい」といじられていたが、聴いていて悪い気分にならない、むしろ心地よく思えたから不思議だった(ぼくがオンチだから?)。先日のバースデーソングでは、英語の歌詞を無謀にもちょっとだけ口ずさむところも最高だった。

ラジオブースの思い出

これはただの自慢というか、ただの個人的な思い出として。前職で大阪の広告会社で働いていたときのこと。あるクライアントの仕事で、ABCラジオで流れるラジオCMをつくったことがあった。局制作のものだったので、収録場所はABC。「今日は仕事だから」と気持ちを抑えていたものの、ラジオブースにつくとよなよなと書いたケースがあったり、たまにフェイスブックの写真に登場するホワイトボードがあったりで、静かにテンションが上がった。ちなみに、ABCラジオは局制作のラジオCMのクオリティが高いので、仕事の方でもテンションが上がった。

ありがとうございました

近藤さん・北村さんをはじめ、スタッフのみなさん、おはるさん、果敢に絡んでいたアナウンサーやパーソナリティ、プロモーター、リスナーなどなど。よな水をつくってきたすべての方々に、「ありがとうございました」と感謝を伝えたい。よな水のおかげで、たのしい時間が増えた。よな水のおかげで、ラジオが趣味になった。だから、今日でひと区切りを迎えるけれど、ふたりの共演を待っています。いつかなんてもったいぶらず、近藤さんの新曲ができるたびに、北村さんの音楽番組にゲスト出演してくれたらいいな。
ひとつだけ悔やんでいるのは、サイレントリスナーすぎてグッズを持っていないこと。ほんとうに「推しは、推せるときに推せ」ですね。これからは、好きな番組にはちゃんとメッセージを届けるようにしようと思います。
さあ、放送まで残り数時間。最終回はどんな話をしてくれるんだろう。近藤さんは、きっと泣く。北村さんは、きっと冷めている。でも、近藤さんと北村さんのことだから、きっと最後までたのしい放送にしてくれる。
今日はひさびさにリアタイしよう。今日もたのしみにしています。

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