【イベントレポート・尾道市】12月2日(土) 「東京からせとうちへつながる! 〜ゼロから学ぶローカルプロジェクトのはじめ方〜」@東京有楽町
イルミネーションに、どこからともなく聞こえてくるクリスマスソング。ここは、クリスマスムードでにぎわう東京・有楽町。
みなさんこんにちは。当note編集担当のアンドウです。
時は2023年12月2日(土)。私はこの日、イルミネーションの前で何枚も何枚も自撮りを楽しむ恋人たちを横目に(とても幸せそうに手をつないで歩いていても本当のことは2人しか知らないって昔AYUが言ってた)、足早で東京交通会館へと向かっていました。
JR有楽町駅に到着すると、ランドマークらしく東京交通会館までイルミネーションに包まれている。思わずパチリ。
この日東京交通会館に向かった目的は、こちらのイベントです。
首都圏からだって、もっと自由に瀬戸内とつながることができる
福山市と広島県が主催となった当イベント。
共催には尾道市、三原市、府中市、世羅町、神石高原町、笠岡市、井原市、認定NPO法人ふるさと回帰支援センターらが名を連ね、さらにこれらの地域で活躍する14名のプレイヤーが会場に集結(一部オンラインで参加)しました。
尾道市からは、後藤 峻さん(コワーキングスペースコンシェルジュ・移住定住コンシェルジュ)、石山 辰也さん(百島の地域おこし協力隊)、新井 天兵さん(移住者&インバウンド事業プロデューサー)の3名の地域プレーヤーに加え、尾道市職員の奥 忠直さん(移住担当)、森本 恭弘さん(地域おこし協力隊担当)、そしてわたくし(記録係)という計6名のメンバーが有楽町に駆け付けました。
そして会場には、ローカルプロジェクトに興味がある方、移住を検討している方、首都圏から瀬戸内に関わりたい方などたくさんの参加者が訪れ、地域との関わりしろを探す2時間となりました。
「ローカルプロジェクトのはじめ方」をテーマに、セミナー(トークイベント)、座談会、交流会、移住相談会と充実のプログラムが催された当日の模様をお届けします。
1.主催・福山市職員によるオープニングトーク
福山市役所企画政策課の大塚さんと川嵜さんによる開会の挨拶、イベント趣旨、備後圏域についての説明がありました。写真からではわかりづらいのですがこの日の大塚さんと川嵜さん、ややペアルック(深緑のトップス+デニム)だし掛け合いがややコントっぽいしで、体感0.5℃ほど会場の空気があたたまった気がします。
当イベントに集った福山市、尾道市、三原市、府中市、世羅町、神石高原町、笠岡市、井原市の6市2町の自治体は、まとめて「備後圏域」と呼ばれています。備後圏域はおおざっぱに「海エリア」と「山エリア」に分けることができ、年間を通じてマリンスポーツやマウンテンスポーツ、海と山の幸が楽しめること、首都圏や主要都市からの交通アクセスが便利だよ!ということなどが紹介されました。
首都圏からのアクセスの便利さだけでなく、備後圏域内の市町同士の行き来もGOODアクセスなんですよね〜。会場では地域プレーヤー同士がつながる光景も見られ新たな関係性&行き来が始まる予感がしましたので、今回のイベントはそこもポイントのひとつでした。
2.登壇者4名によるセミナー
まずは「東京からせとうちへつながる!ゼロから学ぶローカルプロジェクトのはじめ方」と題したセミナーからイベントがスタート。
登壇者に三原市の坂江さん、府中市の小谷さん、尾道市の後藤さん、福山市の藤本さんの4名を迎え、それぞれが各地域でどのようなローカルプロジェクトに携わっているのかを紹介し、語り合いました。
福山市出身ではあるものの、現在は備後エリアに「住んでいない」という藤本さん。京都・福山・福岡の3エリアを主なフィールドとして、「食」や「旅」をテーマとしたローカルプロジェクトに関わっています。たとえば地元・福山では”くわい”をおいしく食べる提案や、鞆の浦のマップを自費で作るなどの活動もしているのだそうです。
京都出身、尾道に移住して8年になるという後藤さん。移住後はシェアオフィス・ONOMICHI SHAREでコンシェルジュを務めると同時に、尾道市の移住相談なども幅広く担当。ONOMICHI SHAREは普段コワーキングスペースとして利用できるので、尾道で何かをやりたい人・つながりを作りたい人が全国から多く訪ねて来られ、コーディネーター的につながりを生む役割を担っています。
府中市から来た小谷さん。NPO法人に所属し、学校運営にも関わるほか、WEB制作などを請け負う株式会社の社長でもあります。10年前、東京から府中市にUターン。今は府中にある個性豊かなものづくり企業と一緒に地域で面白いことを起こしています。公園×DIYなど、地域資源と意外なものをかけあわせるのが好きだと話します。
2022年12月、三原市の地域おこし協力隊に着任した坂江さんは石川県出身です。就職を機に上京し、8年間は商社のサラリーマンでした。地域おこし協力隊として現在は、地域資源の付加価値を最大化する”地域商社”を作るべく活動を広げています。三原のまちづくり会社にも関わり、空き家を活用した事業なども行っているそう。
後藤さん 実際どうです?ローカルプロジェクトを行ってみてそれぞれ感じることはありますか?
坂江さん 縁もゆかりもない三原に来て1年ですが、やりたいことに対してフォローしてくれるキーパーソンや組織がいるのはありがたいですね。やっぱりハコを持たずに座組を組むのって難しいので、ハコを通じて人とつながる環境があったのは良かったです。
小谷さん さきほど自己紹介でお話した公園作りに関しては、予算のある委託事業だったからやりきれた部分があります。委託を受けられた背景には、中心市街地が空洞化していく中で僕たちが街を活気づける活動をしていたことに起因するのかなと。拠点も市街地にあったから、市民の声を拾えたり。
藤本さん 「地域課題」っていう重たい言葉として考えずに「この人と関わりたいから会いに行こう」っていう気軽な気持ちで今もやっています。自分ができそうなことを好きな人たちにシェアしながら考えていたら、いつの間にかその延長上に商品ができていきましたね。こうして始めることにハードルが低い、始めやすいというのがローカルプロジェクトの特徴だと思います。地域の人と出会うの方法ですが、自分の場合はまず「イノベーションスクール」という福山のイベントに参加して、地域活動に感度の高い人達と出会ったことでつながりが生まれていきました。僕、「なんかしましょう」が口癖なんですよ。3回くらい「なんかしましょう」って言いあえたらだいたい実現できると思っています(笑)
テーマ「備後圏域の可能性」
坂江さん 「備後圏域の可能性」ということなんですが、備後圏域っていろんな人を巻き込んでいけるポテンシャルがあると思います。
後藤さん 三原にフォーカスしてみると、この地域(三原)の可能性ってなんだと思います?
小谷さん えー…山が、深いっすよね。(一同爆笑)
坂江さん 海側にも山側にも、プレーヤー自体は三原にたくさんいるんですが、いつも同じ人になりがちなんです。もっといろんな人を巻き込んでいけたら面白くなりそうだなと思っていますね。
小谷さん 府中に関しては、人との関係性もものづくりの現場から生まれることがあるし、ものづくりをしている人とプロセスから関わっていける余地があるのがめちゃくちゃ面白いと思っています。あと、備後圏域の面白さって”横でつながっていること”だと思うんですよ。各市町の距離が近いということもあり、たとえば府中から尾道にパスできたりとかね。車で20〜30分の距離感なんて、もはや誤差ですよ誤差。
藤本さん 自分の場合は鞆の浦に魅力を感じて足繁く通っていましたが、最近は移住者も増えてきて面白くなってきたから一旦は満足できたかな、と感じていて。今は同じ福山市でも、山野町に興味を持っているんです。たとえば山野町で藍染めをしている「藍屋テロワール」は、栽培からプロダクトまで一貫して行っています。ここの方、個性的でめっちゃ面白いですよ。ほか、山野町にはワイナリーもあるので、藍染とワインの2つでどこまで町が特化していけるかを考えるのがすごく面白い。それに、広島ってどこかの地域一強じゃないのが良いですね。どこもほどよく面白いから、圏域感が出るのかなと思います。
後藤さん 尾道はこれまで中心市街地での観光がメインで、1日で満足できてしまうというか、滞在する必要がなかった町という印象でしたが、近年は市街地エリアだけでなく他エリアや島しょ部にも強い個性が色濃くあらわれてきました。今の尾道って”面”で広がっていて、「何をするか」を選択できる町になってきています。ただ、まだまだ隙間が多いのも事実で。今あるコンテンツを組み合わせていくことで、もっと面白い町になっていくと思っています。
テーマ「地域と関わるヒントってなんだろう」
小谷さん 藤本さんが言われていましたが、足繁くその地域に通ってみたら良いんじゃないですかね。自分の頭の中だけで悶々と考えていてもなかなかGOって出ないけど、行ってみたらわりかしすぐにGOを出してもらえたり。そうして”良い意味で勘違い”をしながらいろんな挑戦を重ねていけば、いつのまにか地域にハマっているんじゃないかなと思います。僕もそうでした。とにかく、面白そうな場所にどんどん行ってみてほしいですね。
後藤さん でもいきなり行くのはハードルが高いと思われる方も多いかと思いますが、その場合どうしたらいいですかね?
藤本さん 今日っすよ今日。こういうイベントに意味がある。だって東京にいながら、今日だけで20人くらいの備後圏域プレーヤーとつながれるわけじゃないですか。
坂江さん 確かに。ほかにも観光のついでに面白そうな活動している場所に顔出してみる。まずはそれからでもいいんじゃないかと思います。
3.座談会―14人の地域プレーヤーとの大交流会!あなたができる関わり方とは?
続いては、地域プレーヤーと参加者がA~Dまでの4グループに分かれ、全員参加型の座談会を行いました。
自己紹介などを行ってアイスブレイクしたあとは、みなさんが興味を持っている活動や今後の展望について語り合ったり、地域とのつながり方について相談したり。時間が押してしまうほど、各グループで盛り上がりを見せていました。
4.交流会+移住相談会―お茶を飲みながらゆる~く地域プレーヤーとつながってみませんか?自治体の移住相談会も同時開催!
プログラムの最後は、交流会+移住相談会です。
備後圏域にある8自治体の担当者と話せる相談ブース、お茶を飲みながら語り合えるテーブルが配置され、会場を回遊しながら自由気ままに会話を楽しんだり、違うグループの参加者同士で交流を深めたりするなど、和気あいあいとした時間となりました。
あっという間に2時間が過ぎ、最後は連絡先や名刺の交換。今回のイベントをきっかけに、これからどんなつながりが生まれていくのか楽しみです。
参加者の方からは「自分1人で悶々と考えているだけは見えてこなかった視点が得られて、参加できてよかった」「まだ移住先を選んでいる段階で決め手に欠けていましたが、とりあえず一度備後圏域に訪れてみたいと思った」などうれしい声があがっていました。
がちがちに肩肘張らずに、まずは訪れてみる。その先で誰かと話してみる。ゆるくつながってみる。きっとそんなところから、まだ見ぬローカルプロジェクトの萌芽が育っていくのだと感じました。
おまけ
「東京からせとうちへつながる! 〜ゼロから学ぶローカルプロジェクトのはじめ方〜」
日時:2023年12月2日(土)17:45~20:00
会場:東京交通会館8FセミナールームC・D/zoom(オンライン)
参加費:無料
定員:リアル会場 先着40名
オンライン会場 定員なし
主催:福山市、広島県
共催:尾道市、三原市、府中市、世羅町、神石高原町、笠岡市、井原市、認定NPO法人ふるさと回帰支援センター
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●移住定住コンシェルジュ:後藤峻(@concierge_goto)
●編集・文:アンドウ(@holiday_cloudy)