リメイク版『サスペリア』サントラ盤（担当・トム・ヨーク）の試聴会に行ってきた。
ホラー映画の古典的名作『サスペリア』のリメイク版のサントラの試聴会に行ってきました。音楽担当はトム・ヨークです。
場所は初台にある廃屋みたいな病院跡のビル。映画やドラマの撮影にも使われているらしいですが、照明を落とした暗い階段を降りて、ロウソクの灯りだけが灯る、ゾンビが出てきそうな不気味な地下部屋で聴きました。ホラー映画のサントラの試聴会ですからね。この演出は楽しい。
約90分にわたって繰り広げられるトム・ヨークのホラー世界。オーケストラや聖歌隊も交え、エレクトロニカからポスト・ロックからポスト・クラシカルから、とにかく世界中の暗くて怖い音や音楽が大集合したような趣で、この人らしい鬱っぽい（しかし美しい）ヴォーカル曲も聴けます。
Thom Yorke - Suspirium
https://www.youtube.com/watch?time_continue=4&v=BTZl9KMjbrU
とにかく音楽的な引き出しの多さと音のクオリティの高さは驚くし、今となってはいろいろ制約も多そうなレディオヘッドよりも楽しんで作った感じが伝わってきて、ファンなら絶対楽しめるんじゃないでしょうか。2枚組90分という長さですが、そのほとんどが映画本編で使われているらしく、明らかに映画の一シーンに当てたような短い曲（というか効果音）も収録されているけど、最後まで全く飽きませんでした。まああまりに格調高く立派すぎて、オリジナル版の音楽のゴブリンみたいな猥雑さ、毒々しさ、いい意味での下世話さ、B級感はないけど、もちろんトム・ヨークを使った時点で、映画の製作者がそんなもの求めてないことは明らかでしょう。
暗い部屋での試聴で、眠くなりそうと危惧していていましたが、最後までしっかり聴けたのは、音楽的な充実度もさることながら、音がびっくりするほど良かったから。なんでも田口音響研究所というメーカーのスピーカーを鳴らしていたらしく、バランスと分離が良く、クリアで歪みのない中高域は抜群でした。もちろんソースの録音が抜群に良いのは当然として、そのポテンシャルを見事に引き出したスピーカーも凄い。
http://taguchi-onken.com/product.html
https://100dreams-club.jimdo.com/平面スピーカー/
幅180×高さ292×奥行266という小さめのブックシェルフスピーカーを片チャン2台スタックして鳴らしていたけど（かなり大きな部屋だったのでたぶん1台では不足）、現代風な電子音から伝統的な生楽器、生々しい声まで見事に再生していました。天井が低くコンクリートに覆われた、再生環境としては決してベストとは言えない部屋であの音は見事というしかありません。惜しむらくは低域が少し不足気味でしたが、これはスピーカーのサイズからして仕方ないです。おそらくはソースにはたっぷり入っているであろう重低音を再生するにはスーパーウーファーを加えればベストだったはずですが、反射の多そうな部屋の音響特性を考えても、ちょっと無理だったかもしれません。それだけに映画本編で、あの音楽がどう鳴っているか、非常に興味がありますね。なるべく音の良い劇場で見たいですね。かなり凄そうです。
それにしても、レコ社主催の試聴会でこんなに凝っているのは珍しい。主催のbeatinkは過去にも音の良いクラブやバーを貸し切って爆音で聴かせたり（ハドソン・モホークとかyaryelとか）、dommuneのスタジオで聴かせたり（エイフェックス・ツイン）、ポータブルプレイヤーを渡して歌舞伎町を歩かせて聴かせたり(OPN)、単なる試聴会でもいろいろ工夫を凝らしていて面白いです。言っちゃ悪いですが、どんなアーティストだろうが、何の変哲もない会議室で、蚊の鳴くような小音量で、しかもミニコンポに毛の生えたような貧弱な装置で投げやりに流してるだけの大半のメジャーメーカーは爪の垢でも煎じて飲めばいいと思う。
最後になりましたが、映画はあの名作『君の名前で僕を呼んで』の監督らしい。
http://cmbyn-movie.jp/
https://note.mu/onojima/n/ne10f92006386?magazine_key=meb0d6088b501
もちろんまだ映画本編は見られてませんが、なんであんな叙情的でロマンティックで美しい映画を撮る監督が『サスペリア』のリメイクなんて撮ってるのか。とにかく今日の試聴会で、俄然映画への興味が高まってきました。果たしてオリジナルを超えられるのか？
映画予告編
https://www.youtube.com/watch?v=BY6QKRl56Ok
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