2000/9 OA NHK-FM 『ポップス・アーティスト名鑑』〜日本のパンク/ニュー・ウエイヴ栄枯盛衰
なんとなくツイッターを眺めていたら、こんな書き込みを見つけました。
20年前はNHKポップスアーティスト名鑑で毎週大鷹さんや小野島さんの音楽紹介を楽しみに聴いてたのが懐かしい思い出‥
ポップスアーティスト名鑑は僕も聴いてました。小野島さん日本のパンク・ニューウェイブ特集回で最後にはメルツバウや非常階段まで流してたの未だに憶えてますね。
そう、まさに20年前。NHK-FMで日本のパンク/ニュー・ウエイヴの歴史を総括するような番組を4週にわたってやったことがあるのですよ。「ポップス・アーティスト名鑑」という、洋邦問わぬロックやポップスの大物アーティストの音源をまとめて特集するという番組。その都度違うパーソナリティが選曲・構成・MCまでひとりで担当するという形式で、私もそれまでレッド・ツェッペリンとかいろいろやってきたんですが、このときは担当のディレクターがそういう音楽が好きだったので、パンク/ニュー・ウエイヴ、それも日本ものの歴史を総まとめしようという企画が出てきて、私に白羽の矢が立ったわけです。当時でも大胆な企画でしたが、今では民放はもちろん当のNHKでも無理でしょう。選曲や構成、喋る内容などはすべて私に任されたんですが、当然ラジオ放送、それもNHKということでいろんな制約がありました。なので選曲など思うに任せぬ部分もあったんですが、こういう曲がオンエアされることもあったんだよ、という記録として、以下に選曲表を掲載します。ご笑覧ください。選曲が甘い、などというクレームや批判は今さら受け付けませんw もちろん当時の録音テープなどはないので、何を喋ったかは全然覚えてません。一応覚えている限りで、選曲の意図や制作の裏話などを書き添えておきます。もしよほど気が向いたら、あとでyoutubeリンクでも貼っておきます。
NHK-FM 『ポップス・アーティスト名鑑』
『日本のパンク/ニュー・ウエイヴ栄枯盛衰』 2000年9月オン・エア
構成・選曲・出演:小野島 大
9月4日(月)24時~25時
*確かこの日は、東京ロッカーズに始まり80年代初頭ぐらいまでの動きを紹介する、という意図だったと思う。
1)ミラーズ/衝撃X (from Gozira single「衝撃X」)
2)フリクション/クレイジー・ドリーム (from Pass single 「Crazy Dream」)
3)リザード/レクイエム (from the album 『東京ロッカーズ』)
4)S-KEN/ああ恋人/おおゆれ東京 (from the album 『東京ロッカーズ』)
5)フレッシュ/おきまりの午後 ( from Gozira single 「おきまりの午後」)
6)セックス/無力のかけら (from the album 『東京ニュー・ウエイヴ '79』)
7)アナーキー/ノット・サティスファイド (from the album 『アナーキー』)
*許されるなら「東京ズ・バーニング」をかけたかったが、もちろんCDでも発売できないものが放送でかけられるわけもなく、これを。
8)ヒカシュー/20世紀の終わりに (from the album 『ヒカシュー1978』)
9)プラスティックス/コピー (from Rough Trade single "Copy")
*ビクター版ではなく、英国ラフトレードレーベルから出たシングル・ヴァージョン。ビクター版よりはるかに荒々しくてかっこいい。
10)イヌ/つるつるの壺 (from the album 『メシ喰うな!』)
11)SS/1曲目 (from the album 『LIVE!』)
*CDには曲名表示がないので、「1曲目」としか言いようがない。曲名はあったのかもしれませんが……
12)PHEW/SIGNAL (from the album 『Phew』)
13)スタークラブ/カミソリ・ベイビー (from Club The Star single "Club Take One")
14)ロッカーズ/HEY DJ (from the album 『WHO TH eROCKERS』)
15)ルースターズ/恋をしようよ (fron the album『ザ・ルースターズ』)
16)午前4時/ト・ビ・ラ (from the album 『LIVE BOOTLEG』)
9月11日(月)24時~25時
*東京ロッカーズなどに続く新しい世代のロッカーたちの特集。
1)E.D.P.S. /All Of The Night (from the album 『Edges Of Dream』)
2)P-MODEL / Heaven (from the album 『Perspective』)
3)スターリン/主義者(イスト) (from the album『Trash』)
*当然「サル」などかけられるはずがありません。
4)暗黒大陸じゃがたら/でも・デモ・DEMO (from the album 『南蛮渡来』)
5)G.I.S.M / INCEST (from the album 『Outsider』)
6)エクスキュート/THE VOICE (from the album 『グレート・パンク・ヒッツ』)
7)あぶらだこ/米ニスト (from the album 『グレート・パンク・ヒッツ』)
8)オートモッド/フレンド (from the album 『レクイエム』)
9)リビドー/死んで生まれた( from the album 『L'ete』)
10)アレルギー/TOKYOフラストレーション (from the album『アレルギー作用』)
11)ゲルニカ/マロニエ読本 (from the album 『YEN卒業記念アルバム』)
12)ハルメンズ/昆虫軍 (from the album 『ハルメンズの近代体操』)
13)ルナパーク・アンサンブル/可愛い私のドッペルゲンガー (from the album 『虫喰いマンダラ』)
14)非常階段/CIRCLES (from the album 『雑音伝説』)
15)ハナタラシ/82年4月12日ライヴ (from the album 『ファースト・ライブ!』)
9月18日(月)午後24時~25時
*東京ロッカーズ以前の世代によるプレ・パンク/ニュー・ウエイヴ的な動きを紹介。
1)スネークマンショー/これなんですか(レコード店編)(from Promotion single "WHAT IS THIS"
*レコード店の販促用にのみ配られたシングルのヴァージョン。「これなんですか」「YMOですね」という会話が交わされる。
2)YMO / U.T (from the album "BGM")
3)坂本龍一/WAR HEAD (from the single "War Head")
4)細野晴臣/フニクリ、フニクラ (from the album 『フィルハーモニー』)
5)シーナ&ロケッツ/レイジー・クレイジー・ブルース (from the album 『真空パック』)
6)サンディー&サンセッツ/ドリーム・オブ・イミグランツ (from the album 『イミグランツ』)
7)PANTA & HAL / トゥ・シューズ (from the album 『1980X』)
8)遠藤賢司/哀愁の東京タワー (from the album 『東京ワッショイ』)
9)RCサクセション/DDはCCライダー (from the album 『プリーズ』)
10)ムーンライダーズ/M.I.J (from the album 『アマチュア・アカデミー』)
11)近田春夫&ハルヲフォン/ブルドッグ (from the album 『電撃的東京』)
12)沢田研二/晴れのちBLUE BOY (from the single 「晴れのちBLUE BOY」)
13)灰野敬二/おれのありか (from the album 『わたしだけ』)
*この曲はライヴ録音だが、始まってすぐ1分以上の沈黙がある。よく調べてみると、その間灰野さんが一旦マイクから離れてどこかに走り去り、戻ってきて改めて演奏する、ということになっているらしく、放送スタジオの大きなモニタースピーカーで大きな音で聴いて初めて判明。とはいえ放送で流してもそんな微かなノイズがわかるわけもなく、そのまま流すと放送事故扱いになってしまうので、泣く泣くその沈黙の部分を放送事故にならない範囲で短くカットしてOA。急なことだったのでご本人の了解を得ることはできなかった。20年前のことですが、すいませんでした!
*この文脈なら当然村八分を流すべきだが、「村八分」というバンド名そのものがNHKの内規にひっかかると言われ、泣く泣く断念。バンド名を言わなきゃいいんじゃないの、と粘ったんですが……。
9月25日(月)24時~25時
*この回は、いわゆるインディーズブーム以後のアーティストを特集。
1)ザ・ウィラード/Stinky Vice (from the single 「Stinky Vice」)
2)有頂天/心の旅 (from the single 「心の旅」)
3)ラフィン・ノーズ/Get The Glory (from the album 『Laughin' Nose』)
4)人生/玉の海、戦場でクリスマスを迎えるの巻 (from the album 『Substance V』)
*「オールナイトロング」をかけようとしたところ、歌詞がひっかかってNGに。どうせNHKの偉い人なんて誰も聞いてないんだからいいんじゃん、と言ったんですが……
5)筋肉少女帯 /高木ブー大伝説 (from the album 『筋少の大水銀』)
*インディーズ・ヴァージョンではなくメジャー・ヴァージョン。
6)YBO2 / WARCHILD (from the album 『LIVE BOOTLEG』)
7)イル・ボーン/ベイルート (from the album 『死者』)
8)ZOA/99 (from the album 『NG LIVE』)
9)リップ・クリーム / Top Fight (from the album 『Devil Must Be Driven Out With Devil』)
10)ガスタンク / Inter Loper (from the album 『Dead Song』)
*「ジェロニモ」をかけようとしたが、これも歌詞がひっかかりNG。
11)花電車/HEADSPINNINGDIZZYBLUES (from the album『West Psychedelia』)
12)赤痢/Gorilla (from the album 『Push Push Baby』)
*当然「夢見るオマンコ」なんてかけられるわけがない。
13)D'f / Powder Blue (from the single "Powder Blue")
14)ルインズ/ Morphine (from the album 『Early Works』)
15)メルツバウ/Armless (fade out) (from the album 『Meatalvelodrome』)
ちなみにこの時のディレクターとは折りに触れ一緒に仕事をしていて、「今日は一日パンク/ニュー・ウエイヴ三昧」「今日は一日デヴィッド・ボウイ三昧」なんかがそれですね。またこんな番組ができるといいんですが、なかなか状況は厳しい。ぜひNHKに要望のお便りを!