[ライヴ評] Buffalo Daughter x Boris with TOKIE (2022/11/21 東京・リキッドルーム)
[ライヴ評] Buffalo Daughter x Boris with TOKIE (2022/11/21 東京・リキッドルーム) 『しんぶん赤旗』2022年12月6日付けに掲載
「時流に左右されず表現」
来年キャリア30年を迎えるロック・バンド、バッファロー・ドーターが、盟友関係にあるボリスを迎えた共演ライヴを見た。両者共に大手資本に頼らず自主独立での活動を貫き、時流に左右されず自分独自の表現を確立してきた。この日のライヴはそれぞれの個性が非常によく表れていた。
まずはボリスが、ロックが高度化・細分化する以前の原始的でヒリヒリするような衝動を爆音のヘヴィ・ロックで叩きつけ会場を沸かせる。ロックの古典的なかっこよさを極端に強調したような演奏は痛快だ。続いて登場したバッファローは、シンセサイザーやコンピューターを導入しヒップホップやテクノ等も取り入れたモダンで先鋭的なサウンドが強烈に刺激的だった。
両者は一見対照的なようだが、最終的に拠り所とするのが演者の生身の肉体から発するエネルギーであることは共通している。とりわけテクノロジーの恩恵/制約から逃れられない都市生活者にとっては、機械を積極的に導入しながらも振り回されず、道具として使いこなして新鮮で躍動感のあるロックを作り出すバッファローの方法論はリアルに感じるのではないか。とがった音なのに人懐っこくてポップ。メンバー同士ののんびりしたお喋りで客を和ませながら、いざ演奏すれば、ここではない別世界にいざなうような強い磁力がある。
かなりの大音量なのに耳障りでなく聴きやすい音響の見事さも含め、キャリアならではの実力を存分に見せたライヴだった。
(小野島大・音楽評論家)
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