[オーディオ] Qobuzがプレオープン(追記あり:ROONと連携しない件について)(追記2:無事連携・統合しました)
[2024年10月25日:追記]
この記事に書いた「QobuzがROONと連携しない件」ですが、2024年10月25日未明、無事連携・統合した模様。各所から開通の報告がなされており、私の環境でもROON経由での再生を確認しました。音質はかなり良いようです。使い勝手等は改めて検証しますが、ローンチの翌日に無事解決したことはめでたい。よって以下に書いたことはほぼ無意味になりましたが、「こういうことがあった」という記録のため残しておきます。
オーディオ・ファン、とりわけネットワーク・オーディオをやっている人にとっては期待大だったハイレゾ・ストリーミング・サービスのQobuz(コバズ)が10月23日にプレオープンしました。現状でハイレゾに対応したストーミング・サービスにはTIDAL、Amazon Music、Apple Musicなどがありますが、日本で正式にサービスインしていなかったり、既存のネットワーク・オーディオのシステムに組み込むのが面倒だったり、対応するネットワーク・プレイヤー等が限られていたり、それぞれに問題点を抱えており、それらを一気に解決してくれそうなQobuzに期待が集まっていたのです。
Qobuzは2007年にフランスで設立され、ハイレゾストリーミングとダウンロードの両方に対応するユニークなサービスとして世界展開していましたが、昨年日本のダウンロード配信ショップe-onkyoを買収し本格的に日本参入に向け動き始め、昨日やっとプレオープンにこぎつけたわけです。私も早速会員手続きをして試してみました。Phile Webでは早くも試用レビューが掲載されています。
UI、アプリの使い勝手や扱い楽曲の得手不得手などは、おそらく使う人の嗜好によって意見が分かれると思います。音質は、個人的にはこの記事に書いてある意見に近いですが、これも聴く人の好みで異なるでしょう。ですからここでは触れません。
ですが、この記事で全く触れていないが、極めて重大な欠陥(主たるユーザーの使い方を考えれば「欠陥」と言って差し替えないと思います)を、Qobuz日本版は抱えています。ROONと連携できないことです。つまり音楽再生/管理ソフトとしてオーディオファンの間では事実上のデファクトスタンダードといえる愛用者の多いROONと連携できないことが、一部で大きな失望を呼んでいるのです。ROONはストリーミング音源とローカルデータ音源を統合しシームレスに管理・再生でき、既存のネットワーク・オーディオ・システムとの相性もよいのが強みで(というか、ほとんどのネットワーク・オーディオ機器はROON Readyと称しROON独自のデータ転送方式に対応しているのを売りにしている)、使い勝手の良さには定評があります。その連携パートナーがTIDALとQobuzなのです(台湾発のKK-BOXも連携可能ですが、ここでは触れません)。TIDALは優れたストリーミングサービスですが日本では正式にサービスインしておらず、日本の楽曲が少し弱く、加入契約するにもVPNを使う必要があるなど、ちょっとした裏技が必要になる。だから普通に使うことができるQobuzの日本でのローンチが熱望されていたわけです。
私がネット上で見る限り、ROONとの連携に完全に成功したという事例はまだ見当たりません。アメリカやヨーロッパのアカウントでは、もちろん何の問題もなく連携できているわけで、日本のQobuzアカウントのみダメなのです。私の環境下ではこんな感じ。
もちろんQobuz専用アプリから再生はできますし、Qobuzと連携したネットワーク・オーディオ機器からも再生はできるようです。しかし肝心のROONには何も反映されず、もちろん再生もできません。
とはいえQobuzは現段階ではあくまでもプレオープンであり、本番はグランドオープン後、という考えもあるでしょう。ITでは最初から100%でなくても、アップデートで更新/改良/進化が可能だからです。つまり現在は「バグ出し」の段階で、ROONと連携できないとか、その他いろいろ散見される問題は、グランドオープン後にほぼ解決するはず、という見立てというか期待ですね。しかしいくら「お試し」「バグ出し」の段階とは言っても、これほど大きな問題を放置したまま何故プレオープンしたの?という疑問は残ります。それともQobuz Japanの中の人の環境では問題なく作動してるんでしょうか。
問題はそのグランドオープンがいつになるかということです。お試し期間の終了は1ヶ月後だから、それ以前にバグ出しがあらかた済んで問題が解決すればいいが、2ヶ月も3ヶ月も先になったらどうするか。しびれを切らしてQobuzを見切る人も増えるはず。ROONと連携できるかどうかはAmazon、Appleなど先発が既にローンチしたあとの後発の、オーディオマニア向けのサブスクサービスとしてはかなりクリティカルな問題なので、ここが解決されないと話になりません。ROONと連携できないとなるとAmazon、Appleという巨大サービスと変わりなくなり、それらと真っ向対峙することになる。スマホにイヤフォンで聴いてるようなライトな層にQobuzがアピールできるか、というと、私はかなり悲観的です。
私は現在ROONにTIDALを紐付けて使っていて、邦楽が少し弱い部分はApple Musicと契約して補っています。Qobuzの使い勝手次第ではその両方とも必要なくなるかも、という期待を持っていましたが、どうやらしばらく様子見が続くことになりそうです。早いこと問題が解決し無事グランドオープンになることを願っています。
(追記)
なんともうグランドオープンしちゃったらしい。えええ?
なんでもQobuzというよりROON側の問題である、という指摘もあり。Qobuzの問題でないなら、ROONの対処待ちなら、早めに発表してほしいですね。
(追記2)
コメント欄にて、『月刊ステレオ』『オーディオアクセサリー』等で執筆されているオーディオライターの炭山アキラさんから以下のようなご指摘がありました。
どういうことかと言うと、ROONのサイトに以下のような記述がある、ということでした。
つまりQobuzの無料トライアル期間が終わり、本契約に以降して支払いが始まる1ヶ月後には連携しROONで使えるようになる、ということのようです。
なるほど。なぜROONがそんな制限をかけているのか理由は不明ながら、それなら安心……なんですが、実は私のQobuzアカウントはトライアルではなく本契約なのです。なぜかというと、e-onkyoからの移行手順を間違え新規アカウントを作成してしまったので、Qobuz Japanの指示に従い作成したアカウントを削除し、改めてe-onkyoからの移行手続きをしたところ、おそらくは使用しているメールアドレスが同じだったので、トライアルを中断し削除したアカウントと同一と見なされて、いきなり有料の本契約になってしまったんですね。これはまあ私のミスなので仕方ないんですが、にもかかわらずROONとは連携してくれません。
ROONのほうで日本からのQobuzアカウントはすべてトライアルと見なし機械的に弾いているから、でしょうか? いずれにしろQobuz Japanのローンチから1ヶ月後には連携してくれる可能性が高い、ということのようです。
しかしROONと連携できるとこんなに便利で快適なんだよ、とアピールできてこそのトライアルなのに、有料にならないと試すこともできないとは理不尽な気もしますね。
いずれにしろQobus Japanからこの件に関して何のアナウンスもないので、以上もあくまでも推測に過ぎません。サイトでROON対応を謳っているのに実際はできず、ここまで混乱し不満が噴出している現状があるわけですから、一刻も早い対応が望まれます。