ライヴ覚え書き(2024/10)

2024/10/25
長谷川白紙 @ リキッドルーム

凄いの一言。映像はほぼ一新され、サウンドの速度と強度はさらに増し、情報量は爆増。ひとつひとつの音はキュートでポップなのに、過密なほど集合した結果、破壊力がハンパない。考える余裕も余韻に浸る間もなく、ひたすら過剰なほどの音を浴び続けた圧巻の1時間20分。
(詳しいライヴ評はミュージックマガジン2024年12月号に掲載予定)

2024/10/23
ジョルジャ・スミス@豊洲PIT

英国のオーガニック・ソウル。例によって、ライブ動画等は一切見ないで臨んだ。服装も含めオシャレな客筋で、女性客も多い。

最初はヴォーカルがバックの音に負けてる感じで、おやおやと思っていたら、だんだんPAのバランスが良くなって気にならなくなった。結論から言えば、大変に良かったです。

歌はもちろんうまい。でも圧倒的な歌唱力や声量やパワーや存在感でねじ伏せるというわけではなく、と言って際どい衣装で激しいダンスを見せたり派手な演出で楽しませるわけでもない。じゃあ何が良かったかというと、バンドが出す音も含めてトータルで聴かせようという姿勢。自分ひとりをシンボリックに際立たせて女王様然として振る舞うのではなく、バンドの一員としてトータルのサウンドで勝負し、気持ちのいい空間を作ろうとしていることがよく分かった。もちろんその中心にはジョルジャ本人がいるが、決してスターヴォーカリスト+バックバンドという構図ではなかった。バンドはギター、キーボード2台、ドラム、パーカッション、コーラス3人という構成で、かなり達者。人力のオーガニックなグルーヴが気持ちよい。パーカッションとドラムのみのオープニングが示すように、ただオーガニックなだけでなく、トライバルなリズムを強調し、サブベースの重低音が時折カラダを揺さぶるような今ドキのR&Bやベースミュージック、グライムみたいな現代性もあって決してレトロなソウルではない。ジョルジャのヴォーカルは力強いが繊細で、27歳の若さのわりに落ち着きもあるが、笑顔がチャーミングで好感度大。

最初の方はじっくり聴かせる曲が多く、あとの方でアップテンポのダンスっぽい曲を集める構成だが、最初のころは様子見だった客もうまくのせられた感じ。本人が促したわけでもないのに大合唱が起きたのはちょっと驚いたが、会場の盛り上がりも含め、素直に楽しめた1時間半でした。

ちょっと音数が多いと感じるところもあり、もっと小編成の方が彼女の歌の魅力が引き立つ気もしたが、たぶんそういうことがやりたいんじゃないんだろう。ただ。ビルボードとかブルーノートみたいなところで、もっと親密な感じでみたいとは思った。非常に良いライブだったけど、会場の大きさはこれが限度かな。次来るならもっと大きな会場かもしれないが、その時は演出も含め工夫が必要だろう。

2024/10/18
Overmono @ o-east

オーヴァーモノ最高!

例によって事前にライブ動画などはみないで臨んだがまず驚いたのは機材の多さ。いわゆるDJスタイルではないし、ラップトップのDAWからテキトーに音源流してるだけ、みたいな怠惰なものではない。ふたりのミュージシャンがちゃんと手を使いさまざまな機材や楽器を鳴らして音を出し演奏する肉体性の強いマッシブなサウンドで、もちろんどんな音楽かと言われればテクノ以外のなにものでもないが、もしろそのあり方は、ギターやドラムを演奏するわけじゃないが、フィジカルなロック・バンドに近いと思った。オールナイトのパーティじゃなく普通の時間のコンサート形式だっのは、そういうことなのかも。

テクノといっても。そのテクスチャーや構造は完全に2020年代のもので、マッシヴな重低音の扱いはダブステップ以降を感じさせる。ダンスフロアの盛り上げ方を完全に心得た感じの構成や音響、映像もそんなに凝ったものじゃないが場と音楽に合っていたし、フロアから掲げられるスマホの光と映像がフィットしていて、そこまで計算してるかどうかわからんが、効果的だった。

最初は後ろの方でテキトーに見るつもりがいつの間にかかなり前の方に移動して、結果的にはフロアを伝う重低音を全身で感じることになったのも良かった。あれは音源を家で聞いてるだけでは絶対わからん世界ですね。

フロアの盛り上がり方もここ最近ないぐらい激しくて、いやあ実に楽しかったです。今年度のベストライブ決定…って、ついこないだZ.O.A.でそう書いたばかりでしたか。もっと映像や音響にお金をかければ、ケミカルブラザーズの次の席ぐらい狙えるんでは? 

2024/10/14

Z.O.A. @ 高円寺HIGH

ラストライヴ2デイズの2日目。昨日は見てない。超絶難度の楽曲をこともなげに弾きこなす演奏力、一瞬も途切れぬ緊張感、森川誠一郎の色気というか妖気と、ダークなカリスマ性、時代のモードを超えた楽曲の強度、ポップさのかけらもないヒリヒリしたテンション。全てを出し尽くした壮絶なパフォーマンスでした。これで解散とはもったいないが、これで終わりだからこそ燃え尽きられたのだろう。圧巻でした。今のところ今年度のベストライヴ。



2024/10/13

odol @ 渋谷www


2024/10/11
John Carrol Kirby @ www x

フル・バンドでのライヴ。ジャズ~R&B~アンビエント~ニューエイジ~エレクトロニックといった音楽性だが、ライヴでは「ガチガチに決め込まない、ゆる〜いフュージョン」「インストのAOR」という感じ。人柄が表れた楽しいライヴで、2曲目(3曲目だったかも)にいきなり「東風」をやったのに不意を突かれて、グッと来てしまった。この曲はもう、他人がこういう形でやるしか聞く機会はないだろう。向こうでも普通にライヴに組み込んでレパートリーにしてるみたいだが、こうして異国のミュージシャンが、たとえ演歌歌手がドサ回りでご当地ソングを歌うのと同じようなファンサービスであったとしても、やり続けてくれるありがたさ。文化の継承ですね。最後近くなって「ライディーン」までやったのは笑ったけど。この動画は最近のシカゴでのライヴですが、日本とは少しバンドメンバーが違いますね。

2024/10/1
101A @ 高円寺HIGH

ダーク・ゴシック・サイケデリアだが、やってることはソニック・ユースに近い。バンドの演奏力が非常に高く、世界観の作り方もうまい。ライブバンドとして極めて優秀。素晴らしいライブでした。もっと大きな会場で見たい。


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小野島 大
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