[野球][北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2021] 4/4 対ロッテ3連戦
対ロッテ3連戦は2敗1分。これで今季成績は通算1勝5敗2分で、本拠地5試合は1勝もできず、まだ札幌ドームでは白星がありません。
初戦は、ローテ通りなら開幕投手の上沢が投げるはずですが、なぜか1日後ろにずらすことになって、吉田輝星がファームから昇格して登板。たぶんハムで唯一勝ちを計算できそうな上沢は、相手エースとの対決になるであろう金曜日の登板を避けて、確実に勝ちを狙いにきたということでしょう。しかしシーズン始まって間もないのにこんな逃げ腰で、いい結果が出るはずがない。しかもオープン戦で1回しか投げず、下でも短いイニングばかり投げて先発として順調な調整を積んできたとは言いがたい吉田では、初めから結果は見えていたと言えます。案の定2回投げて7失点であっさりKOされ、序盤で勝負ありです。野村の送球エラーもあって自責点は2で済みましたが、まだまだファームでのトレーニングが必要と思われる内容でした。一番残念だったのは、打者に向かっていく姿勢が全く見られず、終始逃げ腰の弱気投球だったこと。相手打者が怖くて仕方ないから逃げて逃げて四球を連発し甘く入った球を痛打される……という繰り返し。これが改まらない限り、吉田は1軍では通用しないでしょう。
といって栗山監督が吉田をわずか2回で交代させたのも大いに疑問です。あそこで代えてしまってはチームにも、そして吉田自身にも何も身につかない。責任回数である5回まで投げさせて、自分の尻拭いは自分ですることを覚えなきゃ、いつまでたっても成長はない。3回から投げた北浦が3回パーフェクトに抑えたものの、その後の中継ぎが全部打たれて結局16失点の大敗です。打つ方も、終盤に相手リリーフの不調につけ込んで4点とって完封を免れるのが精一杯。
そして2戦目は上沢が投げたものの、エース対決から逃げた弱腰の姿勢が投球に出て、ピリッとしません(登板日を決めたのはもちろん監督でしょうけど、そういう采配がチーム全体にもたらす悪影響を言っています)。2回に先頭打者を四球で出し、次の打者に繋がれて無死1,3塁。続く打者は平凡なサードゴロ。ホームでアウトにするにはおあつらえ向きの打球に見えましたが、なぜかサード樋口はバックホームせず2塁に投げて、5-6-3の併殺の間に1点とられて先制されてしまいます。たぶん樋口はアウトカウントを間違え一死だと思っていたのでしょう。アウトカウントの間違えは以前西川がよくやってましたが、注意力散漫としか言いようがない。その後は西川、中田のタイムリーで一時は逆転するものの、7回表二死ランナーなしの場面で、上沢が突然乱れ鳥谷、田村の下位打線に連続四球。続く藤原に逆転タイムリーを打たれ、なおも死球→四球で満塁、ここでようやくベンチは上沢を諦め長谷川にスイッチしたものの、完全にロッテに傾いた流れを止めることはできず、中村に走者一掃の3点タイムリーを打たれて勝負あり。二死ランナーなしから下位打線に連続四球で大量失点という上沢も情けないですが、藤原の逆転タイムリーはただのレフト前ヒットで、それを左翼手谷口がもたついているうちに1塁走者まで生還を許したというもの。この草野球並みの守備が上沢の足を引っ張ったことは間違いありません。8回裏に相手リリーフの不調につけこんで、追いつかない程度の反撃で3点を返すのが精一杯、前日の大敗に続き、今度は接戦を落として連敗です。
そして今日の第3戦。先発加藤は素晴らしい投球で、4回まで1人の走者も出さないパーフェクト・ピッチ。それに応え4回裏、先頭近藤が2塁打、続く中田のラッキーな内野安打で無死1,3塁という絶好のチャンス。相手先発鈴木も素晴らしい投球で、結果的にチャンスらしいチャンスはこの回だけだったわけですが、このチャンスに渡邊は2球目のストレートを強引に引っ張ってサードゴロ。昨日の樋口なら2塁に投げるところですが、さすがにロッテサードの安田は冷静に3塁走者近藤を三本間に挟んで挟殺プレー。近藤をアウトにしたあと、3塁を狙おうとした1塁走者中田もアウトにしてアッという間にダブルプレーです。この場面で右方向を狙うチームバッティング意識などゼロ、強引に引っ張ろうとした渡邊の打撃も酷いですが、挟殺プレーの場合三塁走者が粘って1塁走者を少しでも先に進めるのがセオリーなのに、簡単にアウトになった近藤の意識も低すぎます。もちろん中田の暴走も。お粗末すぎる打撃ミス、走塁ミスで一瞬でチャンスは潰れてしまった。こういう時はえてして試合の流れが相手に行きがちですが、案の定直後の5回表、加藤は一死からの連続四球でピンチを作り、田村に先制タイムリーを打たれてしまいます。野球の流れって本当に怖いと思わせた場面です。結局加藤は8回まで投げ、許した走者は5回の3人だけ。5回さえなければ、というところでしたが、結局こういう流れを作ってしまった4回裏のハムの拙攻がすべてです。
試合は完璧な投球を披露し、球数的にもまだまだ余裕があると思われた相手先発鈴木がなぜか7回で降板してしまい、代わった投手からなんとか1点をとって同点に持ち込むのが精一杯。井口監督がそのまま鈴木を続投させていればまず同点にされることはなかったはず。ロッテファンからすれば完全な井口監督の継投ミスですが、ハムとしては助かりました。しかし同点に持ち込んでも逆転まではできないのが現在のハムです。
この試合の疑問はほかにもいくつかあります。まずは野村が前日に続き欠場したこと。これに関しては、スポニチの記者がこんなツイートをしています。
昨日の欠場の際に栗山監督は口にモノが挟まったような言い方で、こんなことを言っていました。
開幕から6試合連続安打中だった高卒3年目の野村が、ベンチスタート。結局、出番なく、欠場となった。栗山監督は「どこかで引かないといけないと思っていた。体のことを含めて、最初は無理をさせちゃいけない」と、故障ではなく休養であることを強調。
冷静に考えれば、40歳近いベテランならまだしも、まだ高卒3年目、20歳の若者が、それも開幕から打ちまくって首位打者争いしてるような好調な選手が、開幕わずか7戦目で「休養」なんてありえない。それが1試合だけ欠場ならまだしも、2試合続けてスタメン落ちどころか代打にも出てこないのです。なんらかの故障であることは間違いないでしょう。さすがに登録抹消するほどの重傷ではないと信じたいですが、以前ハムは骨折した新人時代の中田を、本人の訴えを無視し放置してそのまま練習させ、2ヶ月ぐらいたって判明したとか(だから中田の翌年、同じ大阪桐蔭高から浅村をドラフト指名するはずだったのが、中田の件でハムに不信感を持った大阪桐蔭から断られ指名断念せざるをえなかった……という。あくまでも噂ですが)、故障していた選手を1軍帯同させ2週間ぐらいたってやっと登録抹消したとか(誰だったか忘れましたが)、そういう前科がある。なぜ選手の状態を明らかにしないのか。隠蔽することで何を狙っているのか。落合監督時代の中日がチーム戦略上、選手のケガや故障の状況を一切メディアに公表しなかったのは知られていますが、ハムの場合そういう確固たる信念があるわけでもなさそう。要はただでさえケガが多い野村の健康状態の管理がうまくできていない、その責任を追求されるのを嫌がっているのか。あるいは、現在のチーム状況では唯一の希望と言っていい野村のプレーを見るために球場に通っているファン(その数はかなり多いと思われます)の足が離れるのを恐れ、つまりはチケット売り上げに響くことを恐れて公表しないのか。いずれにしろ球団は、あるいは栗山監督は、野村がいまどういう状態なのか、はっきりとメディアに明らかにすべきだし、もし今後しばらくプレーできないような状況なら思い切って登録抹消も考えるべきでは。
そしてもう1つの問題は、淺間のスタメン落ちです。昨日猛打賞を記録し守備でも走塁でも貢献した淺間を、今日はなぜか使わない。昔から栗山監督は結果を残した選手を翌日なぜか使わない、という用兵をよくやります。猛打賞を記録しようやく調子を上げてきた、ここでブレイクできるかどうかという正念場なんだから、調子のいいうちにガンガン使って何かを掴んでもらいたい。普通はそう考えると思いますが、なぜか栗山監督はそうしない。シーズン前、「それまでの実績は関係ない、調子のいい選手を使う」と言っていた気がしますが、あれはウソだったんでしょうか。猛打賞の翌日にスタメン落ちじゃ、選手はどんなモチベーションをもってプレーすればいいのかわからない。こんな使い方では、いつまでも選手は成長しないでしょう。栗山政権以降、若手野手がほとんど育っていない(投手もですが)のはそれが理由だと思われます。
淺間の場合、相手先発が左であったことがスタメン落ちの理由かもしれません。しかし左だから無理と判断され起用されないようなら、いつまでたっても左を攻略できないのは明らかです。去年の清宮も左が出てくるとスタメン落ちしてましたが、既に評価の定まった、あるいは伸びしろのないベテランならまだしも、まだ成長途上で経験を積み実績を作ることが大切な清宮や淺間をそんな使い方をしているようなら、絶対に選手は成長しないと思います。おまけに淺間を外して、良くも悪くも力量がわかっている杉谷を使っているようでは、チームの将来を考えても全く意味がありません。もう1つの理由としては、中田をDHで使いたいから、かもしれません。中田の休養日と最初から決めていたので、一塁を誰かに守らせなきゃいけない。そこでなんでもできる杉谷が選ばれた。一塁なら西川も経験があるし、今の西川の守備を考えればセンターを守らせるよりも一塁を守らせたほうがよっぽどいいと思いますが、もちろん栗山監督はそんなことはしない。結果、外野しかできない(しない)淺間はスタメン落ち、というわけです。清宮がいれば清宮がファーストを守るところでしょうが……。
いずれにしろハムはここまで1勝しかできてません。今日は加藤の踏ん張りで試合になってましたが、それ以外は先発が早々に崩れゲーム前半で大量失点して勝負あり、というゲームが続いています。とにかく先発陣を整備しないと勝負にならない。もちろんあと1本が出ず残塁を重ねるオフェンスの拙攻ぶりも問題ですが、とにかく試合を作れる先発が重要。そんな中、実力的にも調整過程を見ても力不足な吉田を、無理やり投げさせる必要があったのか。外人選手がようやく全員来日し、隔離期間を経て4月終わりには出場できそうですが、べーヘイゲンやアーリンといった先発候補が揃うまでいかにやりくりするか。果たして栗山監督にそれができるでしょうか。