[北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2024] ドラフト、第2次戦力外通告、コーチ人事

 シーズンオフは人事の季節。いろいろ動きがあります。まずはドラフト。

  支配下6人の指名のうち5名が投手。育成の2人も投手なので、8名中7名が投手です。「投手ばかりの指名でバランスが悪い」というメディアの評価もありましたが、こういうのはその年だけ見ても仕方ない。2023年ドラフトは指名8人中6名が野手だったわけで、2年単位で見ればバランスはとれている。

 内訳を見ると支配下6名のうち高校生が3名、大学生が3名、育成はふたりとも高校生。1位と2位,4位が高身長の高校生投手、未完の大型選手ということで話題になってますが、3位の明治大の浅利も、6位の法政大の山城も、さまざまな情報を総合すると、どちらかと言えば素材の良さと伸びしろの大きさを期待されているようで、、大学生といえど即戦力期待というわけでもなさそうです。つまり8人の指名選手のうち、来年すぐに一軍の戦力になりそうなのは5位指名の早稲田大のショート山縣秀しか見当たりません。つまり今年のドラフトは数年後の戦力となることを期待した、完全な「素材型」の選手を指名したということのようです。1位指名は鳥谷以上の大物と言われる明治大のショート宗山でしたが、これは「その年のNO.1に行く」というハムの方針に従って指名しただけで、競合してクジを外すのは織り込み済、外れ1位で大学生の野手に行くのではなく、素材型の高校生投手を獲りに行くことは最初から決めていたようです。ここで書いたように宗山を獲得していたら水野を動かさねばならなかった。私は水野の成長のためにも、宗山を外してむしろ良かったと思っていますが、しかしいずれにしろ現時点でこのドラフトの成否を決めることは難しい。

 山縣は打撃というよりは守備に特徴があるタイプで、小技にも長けているよう。うまく育てば、かつて野村克也監督に「お前は守りだけちゃんとやってればいい。専守防衛の自衛隊や」と言われながらも2000本安打を打って大成した宮本慎也みたいになれるかもしれませんね。早稲田の小宮山監督から「ロッテの小坂みたい」と絶賛された守備名人。二遊間は数だけはいるのでそんなに緊急性はないと思っていましたが、もしかしたら早稲田の先輩・石井一成のFA流出の可能性を考え、球団はバックアップ要員の必要性を感じていたのかもしれません。大学生投手2人はどちらかといえばリリーフタイプのようで、来年の後半か再来年ぐらいに出てきてブルペンを担ってくれれば、という感じでしょうか。

 私は今年のドラフトは即戦力先発投手、1番センターを担える俊足巧打の外野手、高校生の捕手がテーマになると書きましたが、全部外れてしまいましたね(苦笑)。特に先発投手の拡充は喫緊の課題と思っていましたが、球団フロントは現行のローテ陣の充実や若手の底上げに手応えを感じているのかもしれません。打つ方は伸び盛りの若手が多くそんなに心配してないですが、やはり投手が課題です。

 ところがその投手陣を統括していたはずの建山コーチがまさかの退団。契約切れということですが、真相はわかりません。建山コーチのSNSでの発言を見ると、必ずしも辞めることが本意ではないようにもとれる内容でした。そう言えばシーズン中にそれまでベンチにいた建山コーチが突然ブルペンにまわされたことがありました。今年の投手起用に関しては監督がすべてやっているという監督の発言もありました。表面上はうまく行って結果も出ているのに契約が切れたからと言って辞めさせる必要はないわけで、監督とのコミュニケーションがうまく行ってなかったのかもしれません。私はむかし、投手起用について再三栗山監督と衝突し、結局監督から疎ましがられて追い出された(のか、自分から辞めたのか)吉井コーチの例を思いだしました。在野で評論家生活に戻るのか、あるいは別の球団に招かれるのか。後釜の投手コーチは……といっても、すでに加藤コーチ、武田久コーチと1軍に2人もいるんですよね。これからコーチ陣の入れ替えがあるかもしれませんが、本当に監督が投手起用まで全部決めてるなら3人も必要ないわけで、後釜の補充はないかもしれません。

 そして建山コーチと共に退団が報じられたのが飯山裕志プロスカウト。もしかしたら指名あるかも、と思っていた飯山ジュニアの指名がなかったことと関係あるのかな、と思っていたら、なんと中日の1軍野手総合コーチへの就任が発表されました。なぜ中日?

  現役時代も引退してからもハム一筋で、セリーグとは縁がない。ハムはイースタンリーグだからファームでも接点もない。確かに郡司とかマルチネスとか山本とか宇佐見とか中田とか、中日とハムの選手の行き来はあるがそれはコーチ人事とは関係ないだろう。ちなみに中日のコーチは中村豊とか片岡とか大野とか、元ハムはそれなりにいるが、中村も片岡も飯山とは在籍期間はかぶってないはずで、大野以外は飯山と接点があったとは考えにくい。中日一筋の井上一樹監督と飯山は年齢も8歳ぐらい違うし出身高も球歴も重なるところがない。飯山は地味な性格で社交的って感じは全くないから、そんなに人脈が広いとも思えない。自分から営業かけて売り込んだとは思えない。

 そう考えていくと、飯山が呼ばれた理由は、「井上監督と同じ鹿児島出身」ということ以外見当たらないんですよね。同郷のよしみってことで交流があり、井上が飯山の実直さを気に入り、ハムコーチ時代の評判を聞いて、プロスカウトをやっていた飯山をスカウトした……これぐらいしか繋がりが思い当たらない。飯山のコーチとしての力量も評判も一介のファンにはまったく耳に入ってこないですが、こうして乞われてのコーチ就任なら素直に喜びたいですね。しかも「内野守備コーチ」ならまだしも、「野手総合コーチ」って、野手全体を統括する立場ってことでしょ。しかも一軍の。現役時代の飯山はほんと守るだけの選手だったけど、ずいぶん買われてるんですね。

 さて今日は戦力外通告もありました。投手中心ドラフトの直後だけに4人全員が投手です。

 育成のためにはファームの試合で出場機会を与え、実戦経験を積まなければならない。もちろん高校生は投げずに体作りからスタートする場合も多いでしょうが、試合数が限られている以上、既存の選手にチャンスを与えるか新人の育成を重視するか決めるのは球団フロントです。その結果、この4選手が構想外になった。

ここまで退団決定は7人(既に退団済のスティーヴンソンを除く)
引退:鍵谷
戦力外:宮内(育成打診)、北浦(育成打診)、安西(育成打診)、江越、黒木、福田

マーフィー、ロドリゲスも退団の見込みという報も出ましたが、たぶんまだ正式の発表はないはず。これに加えて育成の戦力外で柿木と斉藤。北浦は育成契約を拒否しトライアウトで勝負するようです。新庄監督に褒められて、1軍登板もあって、ようやく芽が出ると思ったんですけどね。宮内は入団した時すでに20代半ばで、1年を棒に振るようなケガをしたのが致命的でした。

新入団はドラフト指名の6人
柴田、藤田、浅利、清水、山縣、山城

これに加え育成の2人が入団します。

 外国人選手の去就がはっきりしないのでなんとも言えませんが、選手枠を考えても、あと2〜3人は戦力外があるような気もします。
 
 これから現役ドラフト、FA、トレード、新外人など、オフも見逃せないイベントが続きます。

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小野島 大
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