[北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2021] 10/2 斎藤祐樹が今季限りでの引退を発表
斎藤祐樹投手が引退を発表しました。
今回の引退が、彼が自分から決意したのか、それとも球団から戦力外を言い渡された結果決意したのかわかりませんが、もう斎藤祐樹はプロで通用しない、ということは何年も前から明らかでした。試合で彼の投球を見ていれば一目瞭然ですが、どんな球を投げても相手打者にことごとくジャストミートされ、目の覚めるような当たりのヒットを次々と連打される。ストレートの球速が遅いから変化球との緩急で打者のタイミングを外すことができず、といってピンポイントでコーナーをつくようなコントロールがあるわけでもない。もちろん相手を圧倒するような球威もない。結局は相手の打ち損じか、打球が野手の正面をつくことを期待するしかない。結果として抑えても、それはたまたまにしか過ぎなかった。1軍の打者相手ではなくファームの打者相手にもそうでしたから、プロのレベルに達していないのは素人の私でもわかりました。プロ2年目、つまり栗山新監督にいきなり開幕投手に抜擢され5勝を挙げた2012年を最後に長い低迷期に入り、2013年以降は4勝しかあげられず、投球回も2015年の42イニングが最高、ここ2年は1軍に上がることもできない、という状態だったのです。
並みの大卒投手なら数年前に戦力外になっていたはず。でもそんな状況でも球団が契約を続けたのは、彼が斎藤祐樹であるからにほかならないでしょう。大学3年の時に大きなケガをして以来、彼の野球人生は度重なる故障との戦いでした。もしケガがなければ……という思いは本人も周囲の人もあると思いますが、そんな状態で曲がりなりにも10年以上プロ野球選手でいられたのは、彼が単なる野球選手の域を超えた特別な存在だったからです。それをマスコミが作り上げた虚像……と言い切ってしまうのは酷ですが、良くも悪くも彼程度のプロ実績で彼ほどマスコミを賑わせ続けた選手はほかにいない。自分の身の丈に似合わない騒がれ方や、ハム球団の度を過ぎた特別扱いはプレッシャーだったろうし、ほとんどいじめのような批判に腹が立つこともあったでしょうが、それはスターとしての彼の逃れられない宿命だったのかもしれない。それでも激したり感情的になることなく、いつも淡々と野球に打ち込んでいた姿は、ファンならよく知っているはずです。興味本位の扱われ方とわかっていても、取材を拒否することもなく誠実に答えていた姿も印象に残っています。私は斎藤の処遇について球団や栗山監督のやり方を批判したことは何度もありますが、斎藤自身について不快な思いをしたことはほとんどありません。
引退後の彼がどういう道を選ぶのか、現時点では不明ですが、これまでのハム球団の斎藤への接し方を見ても、このままハムを離れてしまうのはちょっと考えにくい。なんらかの形で球団に残るんじゃないでしょうか。この人の経験はほかの誰にも味わえないようなものだったろうし、それを生かせるような道があるといい。
それにしても中田と斎藤が同じ年にチームを去るなんて、シーズン前は想像もできませんでした。チームにとってひとつの大きな時代が終わりつつある。そう実感します。
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