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美しきロシアフィギュアスケート戦争

ようやく冬らしい寒さになった。
1.2週間前までタンクトップで寝ていたのに
今は分厚いニットで外出をしている。

さて、今年もフィギュアスケート
グランプリシリーズが始まりました。
今年の注目はなんといってもこれ。
フィギュアファンなら説明不要
ロシアの3狂のシニアデビュー。
(やばい3人=3強=狂ってるの意)
フィギュアファンでは常識のようなもの。

3種類の4回転ジャンプを飛び、ジュニア世界選手権を連覇したアレクサンドラトゥルソワ
ルッツジャンプに愛された天使、ロシア選手権女王のアンナシェルバコワ
スケーティングの美しさのみならず、ご本人も究極の美を持つアリョーナコストルナヤ

2018年ロシア選手権表彰台を独占した
ジュニア達が一斉にシニアに殴り込み。

初見の予想としては
トゥルソワ>シェルバコワ>コストルナヤ
かなぁと思っていたのです。

理由は
4回転を多く飛ぶトゥルソワはミスさえしなければ、基本的に負けないはず。PCS(表現)の弱さは一番あるが、なにせチームが彼女に合った先客を毎年している。愛だの恋だのロマンを表すものでなく、ある種機械的、非人間的な近未来のようなプログラムが多いので、情熱的な表現が出来なくてもカバー出来るから。
シェルバコワも4回転ルッツを2本飛び、儚い天使のようなプログラムをやらせたら右に出る者は居ない位の力があるが、安定力にかける。全てを完璧にこなせば間違いなく彼女がナンバーワンだが、この〝完璧に〟が難しい。
美しさならナンバーワンのコストルナヤが何故3番手かと言えば、彼女は4回転ジャンプを飛ばず、PCSなら3人中トップだとは思うがTES(技術点)では4回転を飛ぶ2人には敵わないのは目に見えている。

これだ。

だが、いざ蓋を開けてみたらそうでもなかった。コストルナヤが3アクセルという武器を身につけてきたのだ。しかもかなりの美しさを加えて。これは驚いた。昨年から練習で飛んで成功しているシーンは見た事があったが、ここまで素晴らしいとは。。力みのないランディングから全身バネのように高く遠くに飛び上がり、まるで軽く1回転しましたよ、くらいの滑らかさで着氷。コストルナヤ、、まじか。。

3人の中で私はコストルナヤ推しなので
彼女の3アクセル装備は大歓迎なのだが、
いよいよをもって、ロシアがとんでもないことになってきた。もう何年も前からロシアはとんでもないのだが、この3人の下のジュニア選手でも3アクセルや4回転を飛びプログラムに組み込み成功をさせている選手が複数いる。

かつての絶対女王、フィギュア史上間違いなく最強であったエフゲニアメドベージェワも練習を見る限り昨年の迷いは吹っ切れた様子。練習拠点をカナダに移し、より美しく正しいスケーティングを身につけた時、メドベージェワは4回転なくとも最強に返り咲くことは可能なくらい、彼女の演技は魅力的だ。
そして最後に、五輪女王でありワールドチャンピオンであるアリーナザギトワ。五輪後、勝って当然と大注目の中、彼女は素晴らしい結果を残し続けてきている。成長やプレッシャーで不調と言われることも多いが、ロシア選手権以外の大会では全て表彰台に乗っている。
主要国際大会全てで金メダルのグランドスラムを若干17歳で達成した彼女は今季どんな演技を見せてくれるのだろう。ジャパンオープンを見た限りでは昨年よりジャンプに安定感が出ていて、伸び伸びと滑っているように見えた。構成の難易度を下げているところが、若干の謎ではあるが。
五輪で小さな戦争を繰り広げたこの2人が、多回転を持つ後輩達に敵うのか。。フィギュア界の注目のトップ3に入る事案だと私は思う。

技術だけを争う競技ならば、もしかしたら敵わないかもしれないが、フィギュアスケートという競技は美しさと強さを競うものだ。
栄光と挫折、たった数年でこの究極を味わったメドベージェワとザギトワの心の強さは、他の誰にも負けないだろう。最強で在り続けたメドベージェワは五輪という最高の大会で敗北をした。だが彼女はその後すぐに「次の五輪まで、自分を諦めないと決めた」と答えた。
最強を見て育ち勢いのまま世界一を奪ったザギトワは、その後の苦悩や日々共に練習をする3狂の恐ろしさを誰よりも感じているだろう。
上を目指し、諦めず、他者に惑わされない。今の2人ならばこれが出来ると私は思っている。というよりめちゃくちゃ思いたい。

時代は変わった。だからなんだ。
昨年の世界選手権、メドベージェワもザギトワも復活の大演技で表彰台に乗った。演技後に雄叫びをあげ大きくガッツポーズをとるメドベージェワ、反対に顔を覆って安堵と喜びで涙するザギトワ。今演技を見ても、最高にエモい瞬間だ。
試合後、メドベージェワはこう答えた。
「私たちは、まだ終わっていないと証明できたと思う。」
ロシア国内で、若い3狂を推しつつある現状を、知っての発言だろう。なんてかっこいいんだ。
終わってない。まだまだ全然終わってない。
2人が表彰台の真ん中を狙って戦う瞬間こそが、最も美しく気高く、そして観るものの心を鷲掴みにし揺さぶるものだと思う。

グランプリシリーズ2戦目
元絶対女王メドベージェワと現世界ジュニア女王4回転の天才トゥルソワ。ついにこの2人が激突をする。勝負は互角。私はそう思っている。
1戦目を制したシェルバコワにトゥルソワは続きたいと思っているだろう。メドベージェワとしても、元同門の後輩に負けるわけにはいかないだろう。己との戦いと言えども他人との戦いでもあるのだ。
3戦目には私激推しのザギトワと2番推しのコストルナヤの同門対決もある。
着るものはタンクトップからニットになったが、夏より熱い冬が今年もやってきた。

がんばれ!アリーナ!(ザギトワ)

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