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市川沙央さんの『ハンチバック』を読む。芥川賞のイメージだけで暗い話なのかとおもったがキレキレ表現満載で声出して笑っちゃった。
以前市川さんのインタビュー記事を読んで、自然体の言葉で語る人であったり、公募に出し続けた人であったり、勝手ながら親近感を得ていたせいか、小説もその延長線上に存在しているようで。これから、またいろんな人に薦めたい。
ハンチバック=せむしの意をもつ。せむしというとディズニー映画(ひいてはヴィクトル・ユゴーの)『ノートルダムの鐘』でカジモドはラストで惚れた女性の幸せを願い、身を引くが、はたしてそれが諦めなのか何なのか言葉にできなさがあることを思い出す。(おそらくまともな教育も受けてない)せむし男は、普通の幸せを手にできないと突きつけられるというか。アニメ映画ながら、何もかも素晴らしい作品だったけども2023年の今、カジモドは幸せを手にすることができるのか考えてしまう。そういう社会を作りたいわけでなく。作品世界以上にカジモドはふたたび悲しいつらい思いをしそうだと想像してしまう。あれだけ体を酷使する仕事だが、ノートルダムの鐘付きの役を奪われていないといいと願う。なんとなく。フランスならきっと、大丈夫なのだろうか。
ネタバレにならないところでいえば、とくに面白かったのは”弱者男性”をめぐる記述と、”中絶”に関する尊厳的葛藤。
しかもこの「弱者男性」というのもまた面白い単語で、彼に関するうすら寒い恐怖は実感として理解できてしまい、そしてそれは主人公のような守られ続けた女性でさえ、社会にいる以上避けられないのかよ、っていうアリの巣地獄を見てしまったようでもあった。
バリバラで読書のバリアフリー特集も組まれるそうで気になる。予告のスピワゴ小沢さんの老眼度数も気になる。
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