映画『雨に叫べば』松本まりかさん主演。女性の映画監督が悪戦苦闘するというので面白がってみる。舞台は1988年東映東京撮影所。みんな岡崎京子さんの漫画から飛び出したような、独特のスタイルとヘアメイクで、キャストは見知った脇役俳優オールスター。最初はぎょっとしたけどすぐに慣れる。メガホンが監督の証しとして登場するのも、新鮮だった。
女のくせにカメラ撮れるかよ!ってなじられたり、女同士っていうだけで、撮影所のすみっこでなんか親近感湧かないといけなかったり、撮影所のスタッフが全員そういうことではなかったと思うけど、今の時代、徒弟制度なくなって助かったんじゃないのかな……あんまり人とつるめないタイプのわたしは、目を細めてみる。しかも撮影所だしなあ。作品おわっても、また次の作品、っていうのがなかなか。たぶん。
私がいるのは”良くも悪くも”の自主映画周りだから、普段の意識としては弱いんだけども、映画の本当の面白さは興行でもあるよなあってしみじみ感じるところ。
商業主義的な姿勢が「悪」という描かれ方もしていたけど、そうでもないのではと。観る人がいなきゃと、「映検」なるレーティング&スポンサー的なソフト化の話がコメディになりきれなさがあり、実際にあった話なのかなというリアリティを感じる。まあ、ただ、お金で人を動かそうとする人っていうのは、見ていて気持ちの良いものではないというのは理解する。お金じゃないハートでみんな撮ってるよね、とも思うし。ゆえに作品がヒットして、富や名声やあとから得られたらなおよい。
俳優陣はじめ、この映画に賭けてるんです、ってつぶやいてみせたり。脚本家も、監督も、プロデューサーも、みんな「自分の映画」だと思っているところが、一番興味深いところだった。
すこし前『RRR』のダンスシーンをバラエティー番組の『イッテQ』で再現しようとインドに向かった企画を見たんだけど。
エキストラからスタッフまで本当に予算におさまるのか、っていうくらい撮影当日は予想外に人が集まって、どんどん本格的に撮影がはじまってしまう一幕があった。番組では交渉の意味がないなかで半ば押し売り的被害にあったんだ、みたいな笑いのVTRにもとらえられたんだけど、さすがボリウッドで、今思い返せば映画作るのに、みんな本気でやったらいいよねっていう一体感もあったんだろうと推測する。(実際は予算内だったのか、ちゃんとオーバーしてたのかは分からないけど)
映画撮るの楽しいよね、っていうそれだけが確か。