特許から教わる日本酒豆腐アイス【特許レシピによる料理⑧】
※ 本記事はパテントサロン「知財系ライトニングトーク#14 拡張オンライン版 2021 秋」向けに執筆したものです。
パテサロLT、4連続4回目の参加です。今回は「日本酒豆腐アイス」を作ってみました。
(1回目は炊き込みご飯)
(2回目はチャーハン)
(3回目は塩クッキー)
今回はお酒を使ったアイスに挑戦です。
特許レシピ:日本酒入りアイスクリーム状冷凍菓子(特許第6541985号)
参考にするのはこちらのレシピ(特許)。従来の日本酒アイスには牛乳や卵等が用いられていたが、本発明は豆腐を用いることが特徴とのこと。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、日本酒と豆腐とを含有するアイスクリーム状の日本酒入り冷凍菓子を提供することができる。日本酒の含有量を多くしつつ、アイスクリーム状の外観・保形性を有し、日本酒の風味を生かした冷凍菓子を提供することができる。また、アイスクリームのようななめらかさ、こく、まろやかさを付与できる。
特許の権利範囲を示す【特許請求の範囲】は以下のとおり。
特許第6541985号より J-PlatPat リンク, Google Patents リンク
(請求項6~8は省略)
これはシンプルな内容....!(まぁそういう案件を選んでいるのですが)
とにかく日本酒3~35質量%+豆腐15~47質量%の配分でアイス状の冷凍菓子を作成すれば、請求項1の内容を実施することができるということ。そして植物由来の材料を加えると、請求項2の内容に。
でも日本酒とお豆腐だけでは美味しくなさそう・・・そもそも自分はお酒に弱いので、日本酒の量はなるべく抑えたいところ。
そこで【請求項4】のライスドリンクも混ぜようと考え、近所のスーパーへ!
・・がしかし、豆乳やオーツミルク(麦ミルク)しか売ってませんでした。まぁ同じ植物性ドリンクだし、オーツミルクでもいいでしょう。
使用材料
・豆腐:絹ごし豆腐 200g
・日本酒「池亀」:そこそこ
・オーツミルク:200g程
・砂糖:そこそこ
・塩:サッ
アイスクリームメーカー
・貝印社:品番DL5929(貝印HP)
配分は以下表1を参考に。日本酒はそんなに入れたくないけど、香りも少し欲しい・・ということで、実施例2を目安としてみました。
特許第6541985号より
では作っていきます!
洗い物を減らすべくアイスクリームメーカーのボウルにて直接混ぜます。(アイスクリームメーカーは事前に冷凍庫保管12h要)
お豆腐とお酒とオーツミルクを投入
塩や砂糖を入れつつ少しかき混ぜ
蓋をしてスイッチをON
あとは30分待つだけです。楽勝すぎました。
~30分経過~
あれ?あまり固まっていない・・・
仕方が無いので、冷凍庫で一晩寝かせておきました。
あぁ今度はカッチカチのシャーベット状に。。
ガリガリ削って、やっとこれだけの量
頑張って削って食べたものの、これはとても「なめらか」とは言えません。
今回は残念ながら想像していた物を作れませんでしたが、
「お酒の香りがする凍ったお豆腐」を楽しむことは出来ました。お豆腐は好きなので、美味しくなくはなかったです。
皆様も是非お試しください。
おまけ:ライスドリンク≒オーツミルク?均等侵害?
以上、本特許の請求項1及び2の内容を実施してみました。
特許第6541985号より J-PlatPat リンク, Google Patents リンク
(請求項6~8は省略)
ここでふと、今回の調理はもしかして請求項4の「均等侵害」にも該当するかも?と感じました。(家庭内の実施なのでそもそも侵害ではないですが)
均等侵害とは、請求項の文言そのものの実施(=文言侵害)ではないものの、似た内容だし侵害だよね、というものです。
勿論、権利者が「似てる」と判断したら何でもかんでも均等侵害に該当するわけではなく、均等侵害を構成するためには「5要件」を全て満たす必要があります。(最判H10.2.24「ボールスプライン軸受事件」)
詳細は以下の「判例4コマ」をご覧ください。(4コマ×3の計12コマで完結)
「パテントまるわかり塾(HP)」では、重要判例について、弁理士まるさんが分かりやすく素敵に描いてくださっています。
なお、私の推しメンは「まさお」さんです。
【判例4コマ】ボールスプライン軸受事件(パテントまるわかり塾)より
Uchida l 知財ライター Twitter:https://twitter.com/estoppel88
記事をご覧いただき有難うございました!