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エコロジー・リーディング実践編~「きつねの窓」①~
エコロジー・リーディング「きつねの窓」の実践記録である。「海の命」の反省を踏まえつつ、改良を図っていきたい。
なおこの授業、岐阜聖徳学園大学の神永先生の協力のもと、実践している。「きつねの窓」は本校が使用している教科書には載っていないので、ありがたい機会をいただいた。感謝しながら実践を進めたい。
※海の命の実践記録はこちら!
1時間目は、題名読みをして、初発の感想をまとめた。
2時間目から作品のエコロジーを読んでいる。
「海の命」のときは時間、空間、人物で担当を分けたが、結局子供たちはそれをどんどん越境して考えていた。ではそうやって視点をもって作品を読むことに意味がないのかというと、そんなことはないと思っている。これらの視点から作品のエコロジーを考えることは、子供たちの作品世界への解像度を高めるはずだ。そこで今回は、全体指導で時間、空間、人物を読んで、その後それぞれの問いを解決していく単元構成にした。
2時間目は時間の視点から読んだ。
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「ぼく」年表として、ぼくが0歳から、この物語を語っている現在までを時間軸に沿って整理した。物語は緑の線で囲った、山で道に迷った部分が中心となっている。しかし、それだけではない。「ぼく」は小さいときに、長靴を出しっぱなしで家の中で遊んでいた、またその家は今は焼けてなくなってしまった、さらに恋心を抱く子がいた、ということも年表に書き込む必要がある。「海の命」は、時間軸に沿って展開するが、「きつねの窓」は時間が行き来する。そのことも年表を書くことで理解できたと思う。
さて、「海の命」のときは子供たちに任せてしまったので、今回は全員下のようなワークシートに年表を書かせた。
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年齢は子供たちの想像である。だからそこに正しさを求めることはしないが、「ぼく」は何歳の頃にきつねに出会ったのか、何歳のときに家が焼けたのか、そうした省略を補いながら読んでいくことは、省略された世界を埋めていく楽しさがあると思う。そしてそうやって省略を埋めていくことは、次第に子供たちの中に「ぼく」の人物像を形成し、深い読みを連れてくると考えている。
年表の下は、年表をつくりながら思ったことをメモする欄。左は、思いついた問いを書き留めるスペースである。
3時間目は、空間の視点から読んだ。
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この地図を書く作業も、「海の命」と比べると複雑になった。
その理由は2つだ。
・ききょう畑をどこにかくか
・窓の中の場所をどこにかくか
という問題があるからだ。
しかし逆に言えば、こうした問題をどのように地図として形づくるか、というところに、子供たちが現在形成している解釈図式が現れてくると思う。
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上の写真の子は、ききょうの意味について、既に自覚的に思考を始めている。
昨日の段階では、「きつねの窓」には失ったものが映る、という解釈が出されていたが、ききょうの花言葉が「永遠の愛」だと調べた子が、「窓に映るものには「愛」が関係しているんじゃないか」と発言していた。その発言を聞いた別の子は、振り返りを下のように書いていた。
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窓の仕組みについて、解釈がつくられてきているなと感じる。
こういう子供たちの姿を見ると、子供たちは子供たちなりに、物語という異世界を理解しようとしているのだと改めて感じる。エコロジー・リーディングの実践を始めて、こういう風に、現実とは違う世界の成り立ちを理解していくことに、文学を読む意味や価値があるのではないか、と考えるようになった。そして、世界の成り立ちを理解していく過程で、子供たちは結構興味深い問いに出会っている。
明日は「人物」に視点をあてつつ、後半は、問いづくりをしていく。どんな展開になるか楽しみだ。