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アレキサンダー大王はワインかき氷でペルシアを破った?【7月25日はかき氷の日】
7月25日はかき氷の日
本日(7/25)は「かき氷の日」です。
これは日本かき氷協会が制定したもので、「夏氷」と7月25日の語呂合わせから制定されたそうです。
夏氷…7(な)2(つ)5(ご)おり
という訳ですね。
「夏氷」とは、氷を削って甘露水を加えたもの。こおりみず(氷水)などとも呼ばれ、当時は貴重品であった氷に、蜜やシロップなどの素朴な甘味を加えたものだったようです。
また、もう一つこの日がかき氷の日とされる由来があります。
イチゴ味のかき氷に酢醤油をかけて食べる「すだまり氷」も名物の、かき氷先進県の山形ですが、山形市にて1933年の7月25日に、フェーン現象(気流が山越えをして降下する風下側のふもとでは、乾燥して気温が高くなる現象)の影響で、当時の日本としては過去最高気温であった40.8℃が記録された日でもあります。
かき氷を食べるのに相応しいとても暑い日だとして、これもかき氷の日を制定する理由の一つになったそうです。
これに因んで、かき氷を食べるのに相応しいとても暑い日だとして、かき氷の日を制定する理由の一つになったそうです。
ちなみに2022年7月25日時点での日本の過去最高気温は2回あり、静岡県浜松市にて2020年8月17日に、埼玉県熊谷市で2018年7月23日に記録された41.1℃です。
また1933年から2022年までの89年間で7回、40.8℃以上の気温が記録され、3回最高気温が更新されています。
地球温暖化の影響が問題視されるようになって久しいですが、皆さんはこの89年間での変化を「急激」と捉えますか?それとも「あまり変わってない」と捉えますか?
感じ方は人それぞれだと思います。
かき氷に関する歴史の小話
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さて、かき氷とは一体いつから人々と共にある文化なのでしょうか?
まず、わざわざ冷たい氷を食べようという気持ちになるのは暑い地域に暮らす人々か、日本のように特定の時期暑くなる地域の人々だけで、一年のほとんどを氷雪で閉ざされた極地の人々の間ではあまりこうした文化は発展しにくいと言えるでしょう。
しかし、冷蔵庫で氷を保存しておく技術がない時代では、極地の人々しか氷にありつくことができないようにも思えます。
実際はどうだったのでしょうか?
実は、かなり暑い地域も含めて、社会的身分の高い人々の間では紀元前から氷を利用することはあったようで、かき氷のような利用法もかなり古代から存在しました。
例えば、ギリシャからインド北西にまたがる大帝国を築き、今もエジプトに
あるとされる彼の墓を多くの考古学者が追い求めている古代の覇王、アレクサンドロス三世(アレキサンダー大王)の有名なエピソードの中にも、かき氷に近いものが登場することがありました。
「食卓の賢人たち」の代表作で知られるギリシアのグルメな作家、アテナイオスの著者に繰り返し引用される逸話に、以下のようなものがあります。
アレキサンダー大王は圧倒的な兵力を持つペルシア帝国(アケメネス朝)に挑む中での紀元前327年、難攻不落の城塞都市ペトラに対して包囲戦を展開していました。
この都市を墜とすのには相当な長期戦を覚悟しなければならず、暑い地域での長きにわたる戦いで兵士が疲弊していくことが予想されました。
そこで兵士の士気を保つためにアレキサンダー大王はよく冷えた飲み物を活用することを考えました。
周囲に30個以上もの縦穴を掘り、そこでワインに氷雪を入れたものを、上から樫の小枝で覆って保存しました。
ワインに糖蜜を混ぜた冷たい飲み物で、戦闘の疲労をリフレッシュした兵士たちは長期戦を攻略し、これを打ち破ったとされます。
一昔前は、ワインに氷を入れるのは、氷が融けて味が薄まってしまうためマナー違反とされてきましたが、最近はワイン×かき氷というメニューも登場しています。
しかし、今から遥か古代の時代からこうしたものはあったのですね。
アレキサンダー大王自身も氷の冷たい飲み物が大好物であったことが伝えられており、「ドルチェ・ビータ」と呼ばれる、何種類ものブドウ酒をベースにした甘い氷水や、シルクロードや西アジア一帯で豊富に取れる果物入りの氷菓を何種類も作らせたのではと言われています。
北から南まで、広大な支配地域を治めた彼ならではのエピソードといえそうです。
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Wikipediaより:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:20110102_Ice_House_(exterior)_Meybod_Iran.jpg https://commons.wikimedia.org/wiki/File:20110102_Ice_House_(interior)_Meybod_Iran.jpg 作者:User:Ggia様 ライセンス:CC 表示-継承 3.0
現在でもペルシア(イラン)ではヤフ・チャールという伝統的な氷室が存在し、近くの山から持ち込まれた氷が保存されており、食品の保存や冷却、氷菓づくりなどに年間を通して活用されています。
枕草子にも登場したかき氷(夏氷)
また日本でも古来からかき氷は親しまれており、枕草子の中に「あてなるもの(上品なもの)」として「削り氷にあまづら入れて新しき金まりに入れたる」という記述が存在します。
この記述は、冬の間に氷室に保存しておいた氷を削って、それに蜜をかけて金属の器に入れたもの、つまり前述の「夏氷」のことを示していると思われます。
この頃の蜜は、ハチミツやサトウキビなどを原料とする糖蜜ではなく、「あまずら(甘蔦)」と呼ばれるツタ植物の樹液を原料にして造られた甘味料が使われており、おそらく現代の甘味ほどくどくない、「あてなる(上品な)」味わいだったことでしょう。
古くから人々の歴史と共にあったかき氷、時代の変化に想いを馳せながらこの日に氷の冷たさを味わうのも風流なのではないでしょうか?
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参考文献
:田口哲也.氷の文化史「人と氷とのふれあいの歴史」.冷凍食品新聞社.1994.
:ヤフ・チャール(Wikipedia)