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社長芸人式ビジネス術

やっかいな上司への対応方法

1.責任回避型上司

仕事でミスが発生した時に、部下に責任を押し付ける上司というのはよく見かけます。むしろ、自分で責任を被る上司の方が珍しいでしょう。

一般的に、このような上司に当たってしまった場合、どのような対策をとるでしょうか?

「報告をマメに入れる」「都度確認をしながら進める」「やりとりを文書で残す」などの対策する人も多いのではないでしょうか。

しかし、それで責任が回避できましたか?対外的に責任は問われていなくても、上司の気持ちの中に「あいつのせいだ」という思いが残ってしまっていたらどうでしょう。

つまり、事前の報告なんてどれだけしようとも責任の回避などできないのです。

ここで社長芸人は発想を変えます。あなたと上司の本来の目的は「責任を回避すること」なのでしょうか?

仕事ですから、失敗したことを想定するのはとても大切です。上手くことが進まなかった場合、不測の事態が起きた場合の対応は考えておかなければなりません。

しかし、本来の目的は「仕事を成功させること」なはずです。とするなら、成功させられなかった場合は「どうして失敗してしまったのか」が追求されるわけです。

いかに失敗した場合の善後策が用意されていたとしても、失敗の事実は消えません。あくまで失敗したことの要因が何であったかは追求されるし、明らかにされなければならないのです。

結局、前述した「進捗報告主義」による責任の回避など、責任回避で出世した上司の前では無力であり、なんの意味もない行為なのです。

いや、むしろ責任回避の達人である上司は、あなたのそういった報告を「お前、責任回避の準備しやがって」と見抜いていることでしょう。

しかし、部下に責任を持っていったところで上司の「管理者責任」までは回避できません。どれほど細かく頻繁に報告をしようとも、上司の責任は逃れられないし、そこで追求された恨み辛みは部下に向けられることになります。

ではどうすればいいのか。

常に上司と一緒に「失敗した場合の責任追求先」を検討すればいいのです。その際に、なるべく責任は大きく遠い存在にするべきです。

自然災害、急激な社会環境の変化、政治や監督省庁などが理想です。これらを要因にして持ち出せば、「じゃあ、そこまで予見できました?」という方向に誘導出来ます。

あなたの上司にも、さらに上司がいます。その上司にも上司がいたり、社長であっても株主がその上にいたりします。

ですので、自分の上位にある全ての指揮命令系統に対して「今回の失敗は高度な政治的判断がなければ避けられなかった」という方向でしっかりロジックを固めてしまえば良いのです。

露骨にやるとバレますから、それとなく相談を持ちかけます。

「もし失敗するとしたら、どんなケースが考えられますか?」というスタンスです。この時点で「お前が失敗しなければな」などと言う上司はさすがにいないでしょう。もしいたとしても、「そんなことしたら、上司さんが管理責任取らさせちゃうじゃないですか」としれっと言えば良いのです。

稀に「失敗した時のこと考えて仕事する馬鹿いるかよっ」という、猪木式のビジネスをされる上司もいます。そういう時も慌てず騒がずに「ですよねえ。失敗するとしたら私がミスした場合ですもんね」とでも言ってみましょう。

猪木式の上司は自己顕示欲だけで生きているので、あなたの発言に食い付きます。「お前如きが成功の鍵を握っているわけないだろ。あくまで俺がキーマンなんだよ」と思っています。

なので、結果として俺に任せろ的な方向に向かいます。そうすればしめたものです。そのノリに乗っかって「一応、リスクについても私が調べて提出しますんで、あとでアドバイスもらえますか?」と言えば、上司はニコニコして承諾するでしょう。

いずれにしても、「失敗に関する責任については自分と上司は一蓮托生なのだから、どちらの責任とかではなく一緒にリスク管理しましょう。最悪、失敗の責任は社会のせいにしましょう」というスタンスでいれば良いのです。

利害が一致しなければチームワークは生まれません。結果的に、責任追求してくる相手を仮想敵として一致団結すれば良いのです。

利害が一致した当事者として上司と同志として取り組む姿勢があれば、問題が起きても皆で対処する方向に進みますし、何より成功する確率が飛躍的に上がるでしょう。

ちなみに、このような責任追求は、お笑いの現場でもよく起きます。トークライブを例に説明します。

【出演者】

MC 先輩芸人(上司)

トーク担当 複数名(あなた)

トークテーマ「最近あった話」

MCがそれぞれのトーク担当の芸人に話題を振ります。

MC「最近なんか変わったことあった?」

芸人A「ちょっと聞いてくださいよ。すごいムカつくことがあったんですよ。〇〇があって〜(トークが続く)」

ここで、Aのトークがウケればなんの問題もありません。これが滑った場合です。

責任回避型MC「なんだよそれ、全然面白くねえな」

A「ちょっと待ってくださいよぉ」

これでは笑いは生まれません。ライブ後もギスギスです。MCは楽屋に戻ったあとでAに「あの話全然おもろないわあ」と文句を言うでしょう。

しかし、ライブ前にこのような会話をしておけばどうでしょう。

A「MCさん、今日のエピソードトーク、ちょっと弱いかもしれないんですよ」

MC「そうなん?ちょっと聞かせてみて」

A「〇〇っていう内容なんですけど」

MC「ああ、それは厳しいな」

A「ですよね。なので、話を振るときに『お前楽屋でめちゃくちゃ怖い顔でスマホ睨んでたけど、何があったん?』って振ってもらえませんか?」

MC「ええよ。じゃあ、最近どころかついさっき何かあったみたいなんでって振るよ」

A「ありがとうございます。で、ウケが弱かった後のフォローも頼んでいいですか?」

MC「ああ、わかった。どう振ればいい?」

こういうやりとりがあれば、自然とやり取りも円滑になり、相互にフォローし合う関係として一体感が出てきます。

この一体感というのはとても大切で、チームワークよく楽しそうに話していれば、内容がイマイチでもまあまあウケるものです。聞いていると面白いのに、書き起こすと全然ネタが面白くない漫才などはよくあります。

上記のような楽屋でのやりとりがあれば、最悪このライブでウケがイマイチでも、次はきっと上手くいくでしょう。チームワークも生まれるし、お互いにアドバイスしたり相談したりする関係になれば、次からもっと上手く笑いを作れるようになるでしょう。

仮に仕事で失敗したとして、その責任があなたや上司に直接的にあったとしても、そんなことどうでもいいんです。

次に向けて、また一緒に頑張ろう。次こそは成功させようという一体感が続けば、誰に責任があるかなんてどうでもいいでしょ?

失敗がどうこうではなく、次のスタートを気持ちよく切れることが何より重要なのです。

そのために、責任回避型上司に対しては、「仲間・同志」として一緒に仕事している感を認識させることを第一にして取り組んで行きましょう。

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ジョニー小野
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