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「SAY YES」はジャンプ漫画で読み解け!!歌詞徹底解析後編
「SAY YES」はHUNTER×HUNTERの概念で読み解くと意味が分かるという趣旨を前編で述べました。 では2番も読み進めていきましょう。
言葉は心を越えない
とても伝えたがるけど 心に勝てない
これこそ、まさしく週刊少年ジャンプのバトル漫画の根本でしょう。どれだけ肉体を鍛えても、精神を鍛えないと奥義は習得できないというのは、バトル漫画あるあるの筆頭です。
そして、どれだけ言葉を都合よく用いても、心と一致していなければどこかに綻びが生じて逆転負けをしてしまうケースは必ずどの漫画にもあります。さらに言えば、バトル漫画においては、どれだけ強くなりたいと願っても、強さを自分のためにしか使えないような人間は頂点に立つことはできません。自分以外のために、仲間であったり家族であったり、場合によっては地球のためや宇宙のためであっても、自分以外のために求める強さこそが至上のものであるとされているのです。
結局最後は心の強さなのです。試合に負けようとも、心さえ負けなければそれは勝利への第一歩にすぎないのです。
君に逢いたくて 逢えなくて寂しい夜
星の屋根に守られて 恋人の切なさ知った
修業とはえてして孤独なものです。大切な仲間と別れて、自分自身の孤独と向き合うことで真の強さは得られます。スポーツ漫画においても、どれだけチームワークの重要性が語られようとも、個人練習無くして魔球は習得できません。
そして、どのような修行であっても、かならず途中で夜空を見上げます。星と月を見上げるのは修業中には欠かすことのできない儀式なのです。夜空には、仲間や恋人、家族の姿が浮かびます。会えなくて寂しい気持ちもありながら、離れていても精神的な繋がりを感じることで更に修業に打ち込めるのです。
このままふたりで 朝を迎えて
いつまでも暮らさないか
強さとは、ライバルが存在して初めて成立する概念です。たった一人しかいなければ、「強さ」は存在できません。強さとはあくまで相対的な概念なので、「弱さ」の存在が必須です。
ここで疑問で生じます。「逢えない夜」なのに、なぜ「このままふたりで」なのでしょうか。いつ恋人(と書いてライバルと読みます)は現れたのでしょうか。
そこで2番冒頭の「言葉は心を超えない・心に勝てない」が利いてくるのです。物理的に会えない二人であっても、精神世界ではいつでも会うことができる。つまり永遠のライバル関係を誓うことで、その強さをも英会陰のものにしようとしているのです。2番のサビに突入します。
愛には愛で感じ合おうよ
恋の手触り消えないように
何度も言うよ 君は確かに
僕を愛してる
迷わずに SAY YES 迷わずに
1番で硝子ケースに並ぶなと言っていた部分が、今度は恋の手触りを消すなと言っています。つまり、恋の手触りを感じているのです。
ここで、ライバル二人が実際に相まみえたことが分かります。拳を交わすことで、厳しい修行の成果を実感し、生のリアルを感じた二人は、その戦いが永遠に続くことを願いました。だから「何度も」言うのです。
そして、君が僕を確かに愛しているという確信を得ます。ライバルも、自分と同じく、対戦相手の存在でしか強さを実感できないでいるということが判明したのです。
「迷わずにSAY YES」というのは、相手へのメッセージだと思いがちですが、違います。英語の命令形の文章もあり、「I say yes.」のIが省略された文章でもあります。自分にも相手にも念を押す、ダメ押しの「迷わずにハイと言え」なのです。
そしてついに大サビです。
愛には愛で感じ合おうよ
恋の手触り消えないように
何度も言うよ 君は確かに
僕を愛してる
SAY YES SAY YES・・・・・・
2番のサビと同一の歌詞です。これはお笑い界での基本ルールでもある「大切なことは2回言う」です。これが最も筆者が言いたいことだから、もう一度言うのです。
歌によっては、1番のサビが大サビで歌われるものもありますが、それは筆者が最も言いたいことが1番のサビに込められているからです。
歌の最後は「SAY YES」の繰り返しです。ライバルとお互いに永遠を誓い合うのです。
ただ、疑問がまた生じるのです。なぜそんなにも執拗に誓い合うのでしょうか。ここから、お互いの信頼関係がそこまで硬固ではないことがうかがえます。結局ライバルというものは「馴れ合い」ではならないのです。いつ破綻する関係か分からないから大切にする、お互いの絆を確認し合う、感謝し合うなど、常に心を尽くさなければならないのです。
一般的には、プロポーズの歌のように思われているこの曲ですが、込められているのは、自分が自分らしく存在するため欠かせない存在に対しての継続的な思いやりの必要性なのです。
結婚はゴールではなくスタートであるという意味が込められていました。一生を終えるときに、誰かに感謝できる生き方をしていこう。「SAY YES」に込められているのは深い人間ドラマだったのです。
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