邪念詩その5「イツモキミト」
邪念詩とは
音楽好き芸人ジョニー小野が提唱する、「っぽい」歌詞である。創作意欲の源泉は「邪念」であり、そこから生み出される詩は、メロディが無くてもモンスターのように生命を得るのだ。
今回の解説
タイトルは普遍的な日本語をカタカナ表記にする事で、一定の「当たり前の事を独自の視点で切り取っている感」を醸成できる。
女性視点で衣服に関する叙述をする。これは物語の背景を説明するとともに、主人公の浮かれる心情も描写する。
歌詞の基本として、走る時には「風を切る」「息を切らす」「前だけを見て」など疾走感を付加させなければならない。
サビには、直訳すると大した意味のない言葉を英語で散らしている。これはメロディに乗せた際に実に「それっぽさ」を喚起する実に有用な手法である。
2コーラス目は、1コーラスと同じ世界観のまま物語の時間を進行させる。これによって、歌詞が切り取っているのが「瞬間」ではなく「時間」であると主張する。
インスタとTikTokの違いだと理解してもらうと分かりやすいだろう。どちらが良いというのではなく、目的が異なるのである。では、作品を読んでいただこう。
イツモキミト
慣れないヒールも 背の高い
年下の君に合わせたんだよ
いつもより念入りなネイルも
鈍感な君に気付かせるため
待ち合わせには まだ早いのに
駅までの道 風を切って走る
白い雲が追いかけてくる
Sunny day 君を見つけたのは
Sunny day 私が先だったよ
でも 遠くで手を振る君が眩しかったから
気づかないふりをしていたんだ It's my Sunny day
車道側を歩くクセに
私の方は見てないんだね
足早に進む君のとなりに
ずっといたくて手を掴んだんだ
急に振り向いた君は
照れたように私を見下ろして
お腹すいたねとごまかしたんだ
Sunny day ソフトクリームが
Sunny day 溶けて指先を流れる
青い空に吹く 白い風が
2人の距離を近づけるように It's my Sunny day