人類史上2度目の革命を、どう生きるか
こんにちは、株式会社Algomaticの大野です。
2023年4月に、20億円の投資を原資に、Algomaticという会社を作りました。
Algomaticは、このAI革命のタイミングで様々な領域で未来の当たり前になるような事業を創るべく、カンパニー制という組織構造を取りながら、複数領域で同時に事業を立ち上げている生成AIスタートアップです。
Algomaticの中に、複数の事業会社を持を持つような形で、それぞれのカンパニーがチーム・Mission/Vision・裁量・予算を持ち、各領域で事業立ち上げをしています。
2024年10月現在、創業から約1年半、フルタイム30名、パートタイム含めて約100名の心強いメンバーと共に、4つのカンパニーで複数の事業を展開しております。
AI技術の大きな進化による後押しもあり、組織・事業共にまだまだ道半ばではありますが、確かな前進を感じています。
そして、今月、Algomatic全体のMission/Visionをアップデートしました。
AIによって不可能が可能になる時代。この革命期に、私たちは人々の人生を幸せで満たすことを決意しました。
今回は新しいMission/Visionの紹介を通して、私たちの思いや生きる物語をお伝えできればと思っています。
Mission/Visionという企業の羅針盤
企業におけるMission/Visionは単なる飾り文句ではありません。それは、組織の存在意義と目指す未来の姿を表す羅針盤であるべきだと思っています。
Mission/Visionとは
私は、下記のように、Mission/Visionを定義しています。
Mission(使命):この企業は世界にどう貢献するのか
Vision(あるべき姿):その使命を果たすために企業がどういう姿であるべきか
なお、綺麗事的な表現のみで包まれてしまい商売的な雰囲気から離れすぎることは本意ではないので、より資本主義的に自然な表現で言い換えるとすると、Mission(使命)は「なぜ世界はこの企業にお金を払うのか」と同義であり、Mission/Visionは営利企業の成長のための最上位戦略・方針だと考えています。
また、「世界に強く求められる(意義・収益)」ことに加えて、熱意は強力な原動力となるので、「自分が人生をかけるほど熱中できる(動機)」ものであることも重要だと思っています。
なぜMission/Visionを更新したか
創業時のAlgomaticのMission/Visionは、私たちの素直な熱意を表現したものでした。
これらの言葉には、「テクノロジーで世界を良くしたい」「世界に影響を与えるような企業になりたい」という私たちの素直な気持ちが込められていました。そのまっすぐな言葉が、Algomaticの最初の原動力となりました。
AI技術は凄まじいスピードで進化を続け、私たちも事業と組織の両面で着実に歩みを進めてきました。その過程で、改めて二つの本質と向き合いました。それは、人類にとってのAI技術の意義と、私自身の根源的な想いです。
その結果、私たちの使命と目指すべき姿が、かつてないほど鮮明になり、Mission/Visionを更新することにしました。それは、創業期の夢を土台としながら成長に合わせて進化し、より高い解像度で私たちの志を表現したものです。
まず「人類にとってのAI技術の意義」について、お話させてください。
言語がもたらした、認知革命
人類史が好きでして、はるか昔の話からさせてください。
我々は唯一の人類ではなかった
約10万年前の地球には、少なくとも6つの異なる人類種が暮らしていました。
私たちは、今でこそ自分たちを唯一の人類だと思いがちですが、キツネ・クマに多くの種があるのと同様、人類にも複数の種が存在しました。
彼らは皆、人間でした。私たちホモ・サピエンスに加えて、ヨーロッパやアジア西部に住んでいたネアンデルタール人、その東側に住んでいたホモ・エレクトスなど。
サピエンス同様、他の人類種も、巨大な脳を持ちながら、例えば火を扱い調理やそれを武器や光源として用いることもできたのです。
サピエンスが圧倒的に優れている、という状況ではありませんでした。
ネアンデルタール人のように、体格的に、サピエンスより強い筋肉、体格を持つ人類種もいました。
もちろん、人類種は衝突することもありました。10万年前、サピエンスの複数の集団がネアンデルタール人の縄張りであったレヴァント地方に移り住み、遭遇した際には、ネアンデルタール人が勝利し、サピエンスはそこに足場を築くことはできませんでした。
ホモ・サピエンスの一人勝ち
しかし、およそ7万年前から、流れが変わりました。
サピエンスが、他の人類種全てを地球上から一掃してしまったのです。そして現代は、サピエンスのみが繁栄しています。
何が、ホモ・サピエンスを、そこまで強くしたのか?
言語による、認知革命
その究極的な原因は定かではありませんが、最も信じられている説では、サピエンスが全く新しい"高度な言語"を使って意思疎通することが可能になったことがきっかけになったということです。
高度な言語の習得により、サピエンスは、新しい思考と意思疎通の方法を手に入れたと考えられています。「認知革命」が起きたのです。
高度な集団行動、知識の蓄積、抽象的思考
他の人類種は、20~50人程度の集団やコミュニティしか作ることができなかったと考えられています。高度な言語がなければ、物理的な接触でしか信頼関係を作れないためです。現代の猿やチンパンジーの集団のようなイメージです。
一方で、ホモ・サピエンスは、高度な言語の習得の末より大きな集団を作り、協力しあうことができるようになったのです。高度な言語によって、直接的な接触がない個体同士でも、噂や物語、共通の目標や信念を持つことで、統一感をもつことができたためです。現代、資本主義という社会システムの中で皆が分業し支え合い、ときにはオリンピックで自国を皆で応援することも、それです。
また、言語は、複雑な知識の蓄積や伝達を可能にしました。それによって、例えば、道具の製造技術や狩猟の戦略、農耕技術が発展し始めたのです。また、サイエンスを支えるのも、言語を媒介した抽象的な思考です。
言語の習得を起点に、とてつもない進化を遂げた
高度な言語の習得を起点に、人類は、様々な発明を行ってきました。そして、現代の世界のような、10万年前には想像もしえなかったところまで進化を遂げてきたのです。
さて、時を現代に戻します。
AI/LLMがもたらす、新たな革命
今、私たちは、再び言語に関する革命の最中にいます。それが、「AI/LLM(大規模言語モデル)」の登場です。
言語が扱うことの威力は、人類史が如実に物語っています。それは、「単なる文字生成」ではありません。
LLMにより、機械が思考可能になる
実は、Algomaticの創業の一つのきっかけは、約2年前に「ReAct」論文(ReAct: Synergizing Reasoning and Acting in Language Models)と出会ったことでした。
「ReAct」は、自然言語を媒介して、AIに「考えて行動する」能力を持たせる試みです。より具体的には、人間が自然言語で思考し行動するプロセスを模して、LLMを活用して自然言語を媒介しながらエージェントに推論とアクションを取らせる。それによって、人間のように「考えて行動する」ことを実現しようという試みです。
手元でスクリプトも書きながら実験し、完璧ではないものの、その精度やコンセプトに感動したのを覚えています。
LLMによって自然言語を媒介し機械が思考可能になること。これこそが、この革命の本質です。
かつての言語習得が原始的な人類に高度な思考をもたらし驚異的な進化を遂げさせたように、機械の思考能力の獲得は私たちの想像を超える進化の扉を開くと思っています。
この革命期に、何をするか?
私は、現代を人類史上二度目の大きな変化点だと思っています。AI/LLMの急速な進化により、これまで不可能だと思われていたことが次々と可能になる、奇跡の時代の幕開けです。
この革命期に、私たちは何をすべきか。
この問に答える上で、私が大事にしている哲学を、シェアさせてください。
命の時間という資源
人にとって、最も貴重な資源は何でしょうか。
私の答えは、「命の時間」です。
私は20歳の頃から10年以上、スタートアップの世界に身を置いてきました。毎日毎日、朝から晩まで、働いていました。その先に何か大きな意味のあるのものがあるはずだ、そう信じて、ただ突き進んできました。
その中で、迷いもありました。本当にこの先に何かあるのだろうか。人生は何を達成したらゴールなのかと。
亀山さんとの出会いが教えてくれたこと
25歳の時に、M&AでDMMにグループインしたことをきっかけに、DMM会長の亀山さんとよくお話するようになりました。
ある時、焚き火中、「なぜ仕事をしているんですか?その先に何を目指しているんですか?」と亀山さんに尋ねました。私にとって亀山さんは、目指す先にある景色を、すでに見ている方でした。
亀山さんの答えは、当時の自分には少し意外で、驚くほどシンプルでした。
「別に、先に何を目指すとかはないかな。毎日、楽しいからやってるだけよ」
と笑いながら答えてくださいました。
この言葉は、私の中で凄く腑に落ちるものでした。
幸せは日々の積分である
幸せとは、別にどこか遠いゴールに置いてあるものではないのだと、思いました。今この瞬間を味わうこと。それが人生そのものなのだと。
幸せは、日々の一分一秒の積分だと思うようになりました。
一緒に働くメンバーには良く話していますが、今私がAlgomaticを全身全霊でやっているのも、究極的なエゴとしては、好きな仲間と世のためとなるような事業を作る楽しい毎日を過ごしたいからです。「あーでもないこーでもない」と、仲間と真剣になり喜怒哀楽を共にする、それが世界のためにもなる。そういう毎日が好きだからやっています。
私自身もそうですし、共に働く仲間全員にとっても、毎日がそうであってほしい、喜怒哀楽全て含めて最高に味わい深い人生、一日一日、一分一秒であってほしいと思っています。
有限な命の時間を、どう過ごすか
人類は皆、私たちは皆、有限な寿命を持っています。たかだか100年、その程度の時間しか与えられていません。一人一人に砂時計が渡されているかのように、私たちはその砂を一粒一粒、日々使いながら生きています。
私は、その一分一秒を幸せに過ごすことを阻害するものは悪だと思っています。
例えば、心身の不健康はもちろん、非効率な仕事も大して面白くないと感じる遊びに使う時間も、悪です。
しかし、実際、皆さんにとって、生きている時間の何割が、心から幸せを感じられる時間でしょうか。
多くの人にとって、本当に幸せな時間はほんの一部で、多くの時間は退屈なものではないでしょうか。
私は、これは、実質、命を奪われている状態だと思っています。
未来の人類からみて、あり得ない状況
今の人類の労働生産性、文明レベルを前提とするとやむを得ない状況かも知れませんが、未来の人類からすると、全くもってありえない状況だと思います。
どれくらいありえないかというと、「切腹」くらいありえないと思っています。200年前、日本には「切腹」文化があったわけですが、現代の我らからするとありえないと思いますよね。武士道よりも、名誉よりも、命を大事に生きればいいことあるのにと、私は思います。
我ら現代人の生き方も、未来の人類からすると「実質殺されているようなものではないか」と思えるものだと思っています。
では、私たちがやりたいことはなにか?
革命期を生きる私たちの使命
それは、人の人生の時間を、全て幸せで満たすことです。
これまでの人類の労働生産性や技術では、とても難しいことです。しかし、今この革命期であれば、解決できることはたくさんあると思っています。
幸せにする方法は何でもいいのです。むしろ、かつての「認知革命」同様、様々な領域で人類を幸せにするような発明が起こるべきだと思っています。
AIを起点に、例えば、生産性を上げることで労働時間を減らし余暇を増やすことも、これまでないクリエイティブなエンタメコンテンツを生み出すことも、人を幸せにする素晴らしいものだと思っています。
AI革命で人々を幸せにする
このような思いと、AIがもたらす革命への確信が重なり、私たちの進むべき道がより明確になってきました。
その想いを正確に言語化するため、私たちは新しいMission/Visionを以下のように定めました。
Mission/Visionは、最上位戦略でもあります。「何をして/何をしないか」、「定数」として与えられるものです。その意味でも、このMission/Visionには、3つの意思を明確に込めています。
#1:「AI革命」にベットする
1つ目は、「AI革命」にベットする、ということです。
私たちは、AIを起点に突破口が生まれる領域にフォーカスします。一方で、解かれる課題や、業界、突破口をもって突破した後の事業展開は何でもありです。
#2:「群」として闘う
2つ目は、「群」として闘う、ということです。
かつての言語による革命同様、LLMによる革命によって、多くの領域で大きなチャンスが生まれると思っています。
一つでも多く、たくさんやるべく、私たちは、事業群として闘います。それぞれが自律しながら、群として共通の志を持ち、喜びを分かち合う。そして、生き物の群のように、どんどん進化・増殖していきます。
#3:「時代を代表する事業」
3つ目は、「時代を代表する事業」であるというこだわりです。
各領域を率いる事業には、新しい未来を創る権利があると思っています。
世界の情報検索の在り方はGoogleが決めてきたし、タクシー移動の仕方はUberが定義してきた、日本でもCtoCの中古品シェアの形はメルカリが決めたようにです。No.1であることは、未来を創るための必須条件です。
人類史上2度目の革命を、どう生きるか
AlgomaticのMission/Visionは、私たちの存在意義そのものであり、未来を創造するための羅針盤です。
まだ、旅のスタート地点にいます。
人類史上二度目の革命。その最前線に立ち、AIで人々の人生を、世界を幸せで満たす。
私たちは、この歴史的な挑戦に、人生を捧げる覚悟で立ち向かっていきます。
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