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野生への誘い
裸足で山を歩くことを夢見てから早2ヶ月。
着々とその夢は実現に向かっている。
先日、家から片道30kmある皿ヶ嶺へ愛車(クロスバイク)と共に向かった。
登山口近くに自転車を止め、山頂に向けて歩き始めた。
初めは農道をひたすら進み、小石が転がる山道を登っていった。途中、車道に出るや否や靴下と靴を脱ぎ捨て裸足になった。
嗚呼、なんという開放感だろうか。
アスファルトの凹凸、
日陰と日向のアスファルトの温度の差、
指の先の神経まで研ぎ澄まされているように感じた。
山道に戻る手前で靴を履こうと足を止めた。
しかし、このまま靴を履いてはなんだか勿体無いような気持ちになり、裸足のまま靴に足を突っ込んだ。
途中、すれ違う登山客に「あの人靴下履いてないよね?」とひそひそ話すのが聞こえてきた。
そもそも山を歩くのに半ズボンのように肌が見えている人は少なく、足首までしっかりとカバーされた登山靴を履いていない人は少なくとも今回の山行では見かけなかった。
虫除け、日除け、人によって様々な理由があるのだろうが、蚊に刺されてもマラリアにはならない此処では私にとってそれほど大きな懸念ではなかった。他の生物に対してもそうだ。数年前まではその羽音が聞こえてくるだけで怯えていたが、ハチに対する知識を得ることができ必要以上の恐怖感を得ることは無くなった。
肌を晒すことによって、危険への感知も格段に早くなった。
山を裸足で歩き大地を感じ、ポケットにナイフを忍ばせ常に動物たちと戦うという心持ちが出来ている時、私は動物人間だ。
今日も動物人間になるため山へと向かう。