鎌倉サイダー
各駅停車の電車を乗り継ぎ2時間
初めて降り立ったその街の朝は
眠らされていて静かだった
天気は快晴
小春日和
気候は私を春へと歓迎しているのに
街は私を拒んでいるように思えた
拒まれていることに気づきながらも
私はどうしても自分を正当化したく
ひたすらその街を歩く
そして目的以上のものに出会えるかもと幻想を抱く
1時間半は歩いただろうか
目的に何度も振られて憤りを感じていたとき、通りがかりにカフェがあった
そのカフェが希望の光に感じた私は
そこで朝食をとった
結論から言うとそのカフェは悪くもなかったが良くもなかった
「このカフェにくるために早起きして各駅停車で2時間かけて1時間半目的に振られ続けたわけじゃない」
と思うくらいのレベルだった
結局私を拒んでいるこの街の光などこの程度か、と悲観的になってしまった
それでもこの街に私がいた証が欲しくて
ふと瓶に入った飲み物を手に取った
未だ二酸化炭素しか含ませていないこの飲み物は鎌倉サイダーという名前らしい
これを飲めば二酸化炭素が飲み物に溶けているように私もこの街に溶け込めるだろうか
そう思いながら今日も飲まずにいる
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