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チバユウスケ追悼行脚の記録⑤前編2024/8/17ライジングサン〜WEEKEND LOVERS'24"with you"
フジロックの後は、9月のオハラブレイクに行ってみようと思っていた。存在はもともと知っていた、なかなかイカしたメンツがそろう猪苗代湖の秋フェスだ。主催はアラバキと一緒で、アラバキより商業的に小規模と言えるオハラブレイクは今年、チバに全振りした。なんせフェスのタイトルが「オハラ☆ブレイク24 愛でぬりつぶせ」である。出演者も「あーハイハイその路線ね」という人から「この方も出るんか!!!」「へ?この子はなにするん??」といろんな興味をそそってくる。これは行かねばならんなと7月頭に発表された情報を見て思った。
夏の私はというと、7月に苗場に行くのとセットで、8月には幕張に行く。邦楽ロックガチ勢の様相で語っているように思われるかもしれないが、現状の私は「楽しい音楽とかっこいい音楽と美しい音楽はぜんぶ聞きたい。生で聞きたい。踊りたい。」という荒い音楽感を持っている超雑食人間で、サマソニにもだいたい毎年行く。ソニマニでボーンスリッピーでも聞いておきますかね、ベルセバからマネスキンはダッシュかな~、アパホテルとってるし夜中の星野源も拝んでおこうか、みたいな通常運転のテンションで今年もチケットを押さえてあったのだが、一緒に泊まる予定の連れが行けなくなったあたりから、宿ないし…暑いし…どうしてもっていう目当てがいるわけじゃないし…と行く気がそがれつつあった。
そんな中、全く想定外だったプランをふと思いつく。あれ、サマソニに行かないのであれば、ライジングに行けるじゃない。ライジングに行けば、またWEEKEND LOVERSが見れるじゃない。しかも今度はフジの倍の時間なんだぜ…。と、マリーアントワネットかタッチのたっちゃんか神のお告げがあったものの最初はそれなりに迷うそぶりを見せた。私が、私自身に対して。フジであれで満たされたなら欲張らないほうがいいのでは。北海道となると、チケット以外にもだいぶお金がかかるし、しかもサマソニが追加券を発売しはじめたからチケットがさばけそうにない!とどめに発令された南海トラフ注意報。何を注意したらいいのかはわからないが遠出している事態ではないのでは…と、どんどん弱気になり、歳のせいなのか謎に欲に素直になれない。ムダにウジウジしていた私は、オタクの友人をお盆休みに入りたての土曜の昼下がりに串カツ田中に呼び出し、例によって「推しは推せるときに推せ」的な発言を誘発して背中をおさせ、メガハイボールを数杯決めた頃には「推しは推せるときに推せもなにも推しはもういないが推しのためのイベントはもう今年しかないかもしれないから行く!!!」と2軒目の晩杯屋を経た最後のカラオケで宣言することになる。
腹を決めるまでも無意味に長かったが、ここから実際にライジングに辿り着くまでもかなり長い。台風の影響で予約していた当日早朝便が欠航。必死の形相で別の便を押さえたはいいが費用は倍以上に増額。到着予定時間も大幅に遅くなる。それでも目当てが出だす夕方16時以降に辿り着けば十分だなと、憧れの現地トリトンくらいは行けるスケジュールをたてていたものの、新千歳空港でまさかのハサミ紛失事件が勃発し着陸後2時間機内に缶詰。現地でショーを控えていて焦ってその場で歌合わせを始めるドラァグクイーンのクルーに囲まれて外に出るのを待つ。さらに最短移動と思われていた空港からのリムジンバスは高速の事故渋滞で詰んでる。などなどざっとこんな流れで辿り着いたのは18時近く、6年ぶりくらいのライジングサン。同じルートで行く手を阻まれて出演キャンセルとなったアーティストもいたことを考えれば、私のお目当ては深夜0時だ。全然平気だ。
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クッタクタでヘロヘロでボロボロの体に、とりあえずサッポロクラシックを駆けつけ2杯。スピッツがハチミツとかスパイダーとか名曲を炸裂させているのを遠目に見ながら、お目当ての深夜の界隈の人たちがウォーミングアップとばかりに出演するPROVOという小さなステージにて、達っつぁんとハルキとReiちゃんのセッションを見たりしてあっという間にご機嫌になった私は、財布を落としていた。いろんな葛藤やハプニングがありつつも、やっと辿り着いたこの地で!大事なライブを見る前に!(酔っ払って!)財布落としてるバカ!バカがいたのです。
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豚丼と花火
激しい自己嫌悪と焦燥感にかられながらも、冷静になればここは同志たちのいこいのフェスティバル。フジロックでも大抵の落とし物は戻ってくるという神話がリアルであるように、しっかりと忘れ物ブースに届いていた。ライジング特有の砂地に落としてどろどろに汚れていたけど身分証明書もカードも現金もそのままで戻ってきて、ちょっと泣いた。この出来事があったせいで見ようと思っていた民生は見逃したが、一度いい感じに酔いが覚めた状態で0時を迎える。宴がはじまる。ライジング編はまさかの本編に辿り着かぬまま、続く。