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012_弓が矢を飛ばす仕組み

小さい頃に弓矢を作った経験はないですか?
長めの木の棒とタコ糸を使って弓を作って、矢を飛ばす。
そんな子供時代を過ごしたことがある人は今では少なくなってしまったでしょう。
あれって全然飛びませんよね!!
太い木を使えるようになってることには別の遊びに夢中で、、、次第に弓矢に興味がわかなくなっていくという。。。
より遠くに飛ばす、速く飛ばす、を追求していった昔の人が射たからこそ、今の弓矢があることに感謝をします。
というわけで、今回は弓が矢をより強く飛ばす仕組みについて紹介していきます。

外竹の話

竹弓は引くことにより、中打ちを芯として外竹が引き延ばされ、内竹が圧縮されます。
この時、外竹は約3cm伸ばされます。竹の繊維の伸びが限界を超えたら切れます。これが笄です。
柔らかく粘りのある=伸ばされ耐性がある竹を使ったほうが笄リスクが少なくなります。
そのため、3年くらいの若い竹が使われます。

内竹の話

内竹は約1.5cm縮みます。上下の関板がストッパーになってくれています。
圧縮されて繊維が切れることはないですが、接着が剥がれる力は働きます。
経年劣化した弓を張ろうとすると内竹が剥がれることが多い、というのは前述の力がかかっているからです。
縮んた竹が復元する力=反発力が矢を飛ばす力に直結します。
そのため、弾力のある4〜5年の堅い竹が使われます。
デコピンをイメージしてみると、親指がストッパー、中指が内竹です。中指に力をいれるほど、反発した時の力が増していきます。似たような原理ですね。ストッパーがないと中指に鋭さはありません。

外竹と内竹のバランス

これらの外竹と内竹がスプリングのような働きをすることで弓としての反発力を得ています。
外竹が柔らかければ柔らかいほどいいのか、というとそうではありません。
外竹と内竹の反発力のバランスが取れていないと、内竹の弾力を活かすことはできず、外竹の柔らかさに吸収されてしまいます。

内竹に使われる竹は真竹が使われることがほとんどです。
真竹の反発力は竹の中ではNo.1です。
しかし、外竹にも真竹が使われるかというと、必ずしもそうではありません。孟宗竹やウサン竹が使われることがあります。粘り気があるので、真竹に比べると笄リスクは低い傾向にあります。


側木や竹の性質、中打ちのヒゴの焦がし具合やヒゴの数によって弓の性格が大きく変わってきます。このことから外竹は白色のまま、内竹は白〜色が付くほど、ヒゴは黒く焦げるほどに火を入れ、それぞれの部位に合わせた素材の性質を引き出しているのが一般的な竹弓となります。
弓力(弓の強さ)は、弓の厚みを薄く、または厚くすることで概ね調節されています。
幅を広くしても調整は可能ですが、極端に細くはできませんし、広すぎると手の内を作ることはできません。

ハゼの木が側木に最も適している理由、それはハゼの木の反発力が最適だからです。
唐木(黒檀・紫檀・鉄刀木)も重くて堅い木ではありますが、ハゼよりは反発力はありません。
なぜ唐木を使うのか、は堅いが故に強い弓は作れます。ハゼよりは細くなります。しかし、堅い=反発力ではないのです。
桜やカエデやメープルの加工がしやすい木があります。
ハゼに比べれば矢飛びが落ちるのが一般的になりますが、ヒゴと竹の組み合わせでカバーできることもあります。
カーボンを内蔵すれば、反発力をカバーもしれくれます。
どんな木を組み合わせるのか、竹との相性はどうなのか、それは完成した時にしかわかりません。

以上、弓が矢を飛ばす仕組みとちょっとした小ネタでした。

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