【コラム】資産を費やす優先順位★
社会人になると給料から税金が引かれた手取り、手取りから固定費食費などを除いた残金で弓を謳歌することになります。
お金は有限であり、弓具ばかり買っていて生活が立ち行かなくなったら本末転倒です。
弓具自体も高いですしね。弓具を買って、次の弓具を買うためにはプライベートの時間を削って残業してお金を稼いで。。時間がないからせっかくの弓具を使う機会がない。これでは悪循環です。
厳選しなくてはなりません。いつか買うから、で勢いに任せて購入すると直近が辛いです。順番にいきましょう。
では、”資産を費やす弓具の優先順位”を紹介します。
いつものように独断と偏見たっぷりです。
No.4 弦
竹弓に最も優しい弦は麻弦になります。衝撃の吸収具合は適度に切れるタイミングを加味すれば、将来的には竹弓には常用したいところです。
知っての通り、麻弦は高価です。1本あたり2000円程度でしょう。メンテナンスにはクスネを用いて、時間をかけて育てていかなければなりません。時間と労力をかけても1本目で切れることもあります。落ち込みます。
いつ切れるか分からないからストックしておこう、と考えても、古い麻弦は切れやすくなります。近年では質の良い麻の入手も難しくなってます。
高い、切れやすいとなると、太い合成弦や柔らかい合成弦を用いたほうがいいでしょう。
ただし、麻弦の素晴らしさは体験しなければ分かりません。ニベ弓には是非とも麻弦を使ってほしいところです。
No.3 竹矢
通常の仕様で作成すれば、極端に変なことにはならないでしょう。
矯め、節の間隔、重さ(目方)、箆張り、重心を揃えるのは矢師の最低限の仕事だと思っています。全部が完璧に同じというわけにはいかないですが、ある程度の範囲には収まるので、的中させることに支障はありません。
そのうえで、箆の形状を特殊なもの(角箆、さわし箆、麦粒、皮残し、節影など)にすると、プラスの料金がかかってきます。こういう矢を使ってみるのも楽しくはありますが、それが実感できる技量を身につけたからの方が、一層の楽しさがあると思います。
習熟するうちは通常仕様の箆でいいかと思います。
ジュラルミン矢やカーボン矢のほうが均一性はありますから、竹弓に移行後でも使ってもいいと考えてます。練習ではジュラ矢、試合や審査では竹矢という方もいるくらいです。
試合用の竹矢4つ矢を2組、礼射用の竹矢1手を2組、これくらいを用意しておけば困ることはないです。
羽根は趣味の世界です。突き詰めればお金が足りません。符(模様)、強度、矢飛びに拘る人ならいいでしょう。しかし、値段があがってる昨今では黒ワシや磯ワシ、白タカなどの比較的入手しやすい羽根でいいでしょう。お金をかけるなら箆にしたほうが性能の違いは実感できるかもしれません。
弱い羽根を繰り返しつけかえるか、強い羽根を長期に使うか、ランニングコストで考えるとどうなんでしょう?そこは分からないです。。
見栄のための羽根よりも見えない箆に拘るのが粋ってものです。(羽織の裏地に拘る的なチラ見せの美学です。)
No.2 ユガケ
人間、右手は1つしかありません。
自分の手にあったものが2つあればそれで十分です。使いなれたものが1つでもいいですが、修理に出すことになった時のことを考えて2つもあれば十分でしょう。
あれも使ってみたい、これをいいな~、と思って、いくつも買っていては財布が持ちません。そういう感情が湧くのって職人さんが作った上級グレードなことが多いですし、飾りをつけてしまうと使う事自体に躊躇してしまうでしょう。何個もあっても結局は常用するものは限られますから、使われなくなったユガケは観賞用になります。(実際、なってます)
1つ目のユガケが入門用の安価なものだったとして、次のユガケのグレードをあげなければいけないか、というとそんなことはありません。同じものでも問題ありません。学生用、入門用といった表現方法が良くないかもしれませんね。革の質で中唐よりも小唐のほうが馴染みはいいでしょうし、燻革のほうが長持ちはします。
手形製作のメリデメはまた別の機会に。(お金があったら、コレクションしたいな~)
No.1 握り革
弓と直接触れる唯一の箇所、それが握り革です。右手は弓(厳密には弦)との間にはユガケがあります。左手は肌が直接握り革に触れています。
握り革に妥協をしてはいけません。
自分に合ってるものが見つかったら、それが多少高かったとしても、それを継続して使い続けたいです。燻しの握り革を好んで使ってる人、印伝の握り革を使ってる人、それぞれ考えがあるでしょう。これが自分にあってる!って思って、それを使い続けてると思います。
安い握り革を使うことを否定はしません。安い握り革は大量に購入しやすいというメリットがあります。握り革のコンディションを保つために交換頻度を高くすると結果的には金額はかかるかもしれませんし、交換のための時間を消費することになります。時間は大切な資産です。交換のための10分があれば6本は引けます。体配練習であれば5人立ち1回はできるでしょう。年間の積み重ねにすれば時間の価値は大きい物です。それほどまでに時間は貴重なのです。
コンディションの悪くなった握り革を使い続けることが最もNGなことだと思います。握り革のコンディションはベストを保つ、そのためには資産の消費をしょうがないことです。
殿堂入り. 竹弓
人間の左手は1本しかありません。しかし礼射で引く矢は2本あります。1本目で竹弓が破損したら?替弓は必須ですよね。竹弓は2本欲しいです。
冬と夏で弓力が変わります。同じように引くためには夏用と冬用の竹弓があると良いですね。ここで4本になりますね。
竹弓には接着剤の寿命=耐用年数があります。20年使い続けた弓が急に壊れた、、また時間をかけて育てるよりも、10年経過したら1本増やして、同じように引いて慣らしていく。また1本追加ですね。
良い竹弓は一期一会です。良いと思った竹弓はたいていの場合は他の人から見ても良い弓です。それが弓力がピッタリだったら?次に会えないかもしれないと思ったら?決断するしかありませんよね。