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011_竹弓の部位の概要

【変更履歴】
2024.03.21 ▲1.00 関板の項目を加筆

遠目から見れば1本の棒。
布で覆ってしばえば、曲がった棒。
あまつさえ電車に乗ると、手すりと間違われることもしばしば。
そんな弓には無駄なものがありません。
技術の結晶ですよね。
そんな弓にも部位ごとに名前と役割があります。
覚えておくと損はありません。ぜひとも指導で使ってくださいませ。



パーツごとの特徴を細かく知ろう

今回は竹弓を構成する各部の説明になります。
(a).外竹
(b).内竹・前竹
(c).関板
(d).弓弭
(e).側木
(f).ヒゴ
(g).接着剤

(a).外竹

弓の外側を構成している竹になります。弓の全長=外竹の長さになります。
外竹には真竹が使われることが多いです。
反発力を高めるために火をいれて水分を飛ばします。
しかし、焦がしすぎると外竹の繊維が切れてしまい、笄のリスクが高くなります。

竹の刈取りは乾燥している時期の秋〜冬に行われます。
芽が出てから2年〜3年目の竹から選ばれます。
節の高さ、節と節の間隔、竹の直径、曲がり具合、などが条件に合うものだけが弓に使われます。
刈り取った竹は、1年以上寝かし、油抜きをしてから、弓の材料となっていきます。

(b).内竹・前竹

弓の内側を構成している竹になります。
内竹には反発力のある真竹を使用します。内竹は弓の反発力に大きく影響します。
様々な加工方法があり、弓に使われます。
・白竹のままのもの
・内側に火を入れて焦がしたもの
・室で燻した煤竹にしたもの
・紋竹・胡麻竹等(鑑賞目的)

(c).関板

関板の役割・・・内竹が弓から外れないないためのストッパーになります。

弓は引いた時に内竹が縮みます。縮んだ竹は復元する力が強くため、その時に内竹が外れる可能性があるためです。
弦音にも影響をするようで、弦と関板が近い・離れていること、大きい・小さい、など要因があります。
内竹のズレるのを防いで、せき止める、という意味からこの名称がついたとされてます。▲1.00

(d).弓弭

弦をかける役割があります。

(e).側木

側木に適した木材は”黄櫨”とされています。
堅くて弾性に優れており、古くから使用されています。
黄櫨には稀に木肌に杢(もく)が出ることがあります。縄目杢・縮み杢・鳥眼杢・鶉杢等ありますが、模様をイメージしてください。
杢があると値段があがる弓もあります。
黄櫨が減少しており、入手が難しくなってきているという話を聞きます。
また、黃櫨以外には黒檀・紫檀・鉄刀木といった唐木や、カエデ・桜・ウルシなども木材が使用されることがあります。

(f).弓胎・ヒゴ

側木に挟まれた弓の芯をヒゴといいます。側木を除いた中の3枚を三本芯や三本ヒゴといいます。数に決まりはなく、2本の弓もあれば、5本の弓もあります。普通の弓では竹をそのまま使用しますが、上等の弓はヒゴ竹を1枚1枚片面から火で焼きます。両面から焼く火度を「両火焦がし」といい、最上等のヒゴになります。火をいれるほど水分が抜けて軽くなります。火入れされたヒゴが炭化して黒く見えます。炭化したヒゴほど反発力がでます。
火入れ具合の判断基準の1つとして、弭側から重なりを見ます。
何本の芯なのか、どれくらい火入れされているのか、がわかります。
また、ヒゴは全て竹であったり、竹と木を組み合わせたり、工夫がされています。


(g).接着剤

これらを接着するため接着剤が使われています。
竹弓の素材の中で、張り合わせに使う接着剤も弓の性格を決める重要な要因です。現在の主流は合成接着剤でありますが、伝統的には弓独自に使われる膠(ニカワ)と呼ばれる鹿皮原料が使われておりニベといいます。ニベを使用しているものをニベ弓といいます。ニベ弓は非常にデリケートで、温度や湿度に影響されやすいため、梅雨から夏にかけての時期にはあまり適していません。
合成接着剤を使用した弓よりも手入れは難しいが引き味が柔らかい・寿命が長い、冴えが良いとされています。(詳細は別ページにて)
ニベとは別の接着材として合成接着剤を使用した竹弓があります。ニベ弓と比べると扱いは楽ですが、それなりに手入れは必要になります。(ニベについては後ページに記載してあります)

以上、竹弓はこれらの組み合わせで構成されています。
しかし、そこにはとんでもない技術が使われています。
さすが、伝統工芸であり、人類誕生から使われてきた弓、それが廃れることがありませんように。

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