【コラム】おい矯正器!!★

先日、おいハンサム!!の映画を観てきました。
タイトルはそのオマージュです。
この記事が出るころには先日っていう表現が適切ではないくらいに月日が流れてると思います。

今回は矯正器のお話になります。矯正器は読んで字のごとく、竹弓の矯正をする器具です。矯正器では主に弦通りの矯正を行うことができます。

矯正器の形も様々で、お店によって扱ってる形が違いますね。
この形で大きな違いがあるかというと、あります。
竹弓に捻る力を加えて弦通りを変えています。そういう形状がほとんどです。
でもですよ。
捻じれ具合は変えずに弦通りだけ変えたい!
弦通りは変えずに、捻じれ具合だけを変えたい!
弦が返らないように矯正器だけをかけたい!
という需要も当然あると思うのです。そんな需要に対応できていない矯正器、課題は山積みです。(このような需要は少数だとは思います。)

軽く解説しておきましょう。
矯正器の窪みは内竹に斜めにいれますよね。それで弦をひっかけるので、竹弓には捻じれる力が加わっています。
竹弓が左に捻じれれば弦は相対的に右に動きます。
竹弓が右に捻じれれば弦は相対的に左に動きます。
これで弦通りを修正します。

握り付近の捻じれ具合が手の内で力のかける方向に捻じれている場合、これって反対側に捻じれていてほしいです。(そのほうが角見の効きも良いです。)
これで弦通りは入木になってるとしましょう。
入木の弦通りの矯正をするには、手の内をかける方向に弓を捻じります。しかし、弓本体の捻じれがすでにあるのに、さらに悪化させる方向に捻じれを加えることになります。これ、市販の矯正器ではどうしようもないです。
理想は捻じれ具合を悪化させずに、弦通りだけの矯正することです。
これを実現するには、矯正器そのものの形を変える必要があります。
弓に対して真横から入れる形の窪みにしないといけませんね。これで捻じれを加えずに弦通りだけ変えることができると思います。

反対に、弦通りは良いけれど、角見を効かせた方向に捻じれすぎてる場合もあります。
(個人的には手持ちの弓はもう少し反対方向に捻じれていてほしい弓が多いです。普通に売られてる弓が悪いというわけではなくて、好みの問題です。たしか、斜面の流派では捻じれ方も変えてるんでしたっけ?)
市販の矯正器をかけると弦通りも変わってしまいます。これを解決するためには矯正器の弓側の窪みを深くすればいいです。窪みに深くはめて、弦をかけると弦通りへの影響を少なくして捻じれ具合だけを変えることができます。
このやり方でネックなのは、窪みが大きいと隙間ができ、効果が弱くなるということです。隙間なくがっちり固定すると弓にかかる力は大きくなりますね。
ただし、弦通りのように極端には変わりません。竹弓は引いてくうちにちょっとずつ変わっていくように、捻じれもちょっとずつ、微々たる変化があるくらいです。

成りを整える形も需要があると思います。
上成りの膨らみを弱めるには弦と内竹の距離が18㎝あるとしたら、それを17㎝になるようにします。この時、その部分を縛って、10㎝くらいになるようにすれば、自然と18㎝から短くなっていきます。想定的に下成りは膨らんできます。
反対に、弱めたい箇所は内竹側から押してあげないといけません。矯正器の窪みから末端までの距離が20㎝くらい必要になります。
例えば、上成りの膨らみを抑えつつ、下成りの膨らませたい、となると、上下の両方で力を加える必要があります。
下成りを弱めるなら、一気にやればいいかと思うかもしれません。個人的に失敗したことがあります。上成りは弱い力で膨らみを抑えている途中なのに、下成りは一気に力を加えたら、上成りの膨らみを抑える力が弱くなってしまい、結果的にベストな形になりませんでした。
上下にちょっとずつ時間をかけて力を加えることで、その形を覚えてくれるようになりました。
あとは胴を弱めたい場合です。上下の膨らみを弱めつつ、握りや目付を弱めたい場合にも長い矯正器は有効になります。


もう矯正器という名前がふさわしくないですが、弦がひっくりかえらないようにするためだけの用途もあると嬉しいですね。
これは弦通りも良し、張り顔もよし、の弓に対して、万が一を考えて弦が返らないようにするものです。弓と弦に対して一切の横方向の力をかけないタイプが必要なのです。
窪みの形としては最初と同じものです。横方向の力がないので、弓の厚みにピッタリで作るか、節に引っかかるように作るか、布で隙間がないようにするか、どれかです。
一番需要がない形ですね。

以上、矯正器のあれこれでした。

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