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020_竹弓ができるまで

工場見学に行ったことはありますか?
ビールでも、お菓子でも、自動車でも、なんでもいいです。
完成までの工程を見るとワクワクしませんか?愛着が湧くようになりませんか?
竹弓ができる工程の一部をテレビでやることはありますが、全部はやりません。楔を打って、曲げるところがほとんどです。
そう、もっと他のところにも着目してほしい!
そんな思いを込めて、まずは竹弓ができるまでの流れを少しでも知ってもらえたら嬉しいです。




パーツの準備

真竹の切り出し

弓竹は周囲18cm~21cm、芯竹は30cm以上の2種類を切り出して小割り(4等分して芯を削ります)にした後、3~4か月自然乾燥させます。
内竹は4~5年生の竹を使い、外竹は3年生くらいの竹を使います。
若い竹のほうが柔らかく粘りがあるため外竹に適しています。
水の吸上げが止まる11月前後に切り出しを行います。

弓竹の油抜き・乾燥

弓竹を木炭であぶり、油を拭き取ります。
弓の内側になる竹は復元力をつけるために室で燻し、煤竹にします。
白木や前焦がしのまま使用することもあります。
白木は竹の表面が自然の色そのままで、一定の需要があります。
前焦がしは若干の色が着いていますが、焦がし具合によって度合いが変わります。前焦がしのほうが燻よりも矢飛びがいい、という方もいますが、真実は如何に!?

竹の表面から油が滲み出てくる、ということは細かな穴が空いてるということです。
このことからも湿気や水分が天敵ということが分かりますね。

竹合わせ

自然素材の弓竹は節の長さがそれぞれ違いますので、同じ節の長さの弓竹を揃えます。
外竹と内竹の硬さのバランスも取る必要があります。どちらかが極端に硬い(または柔らかい)と矢飛びが悪くなることもあります。
並寸や伸寸といった長さに適した竹を選ぶ必要もあります。

弓竹の削り

火入れした弓竹は握りの部分を中心にして削り、弓の両端になる程少しずつ薄くなるように、むらなく仕上げ削りを行います。
節の部分をしっかりと削らないと、隙間が出来てそこから浮いてきます。
逆に節の部分を削りすぎると、接着がうまくいきません。


弓芯の切り出し

10年以上自然乾燥した櫨材の側木の製材をします。
中ヒゴに使用する竹は5年くらいの堅い竹を使用します。握り部分ほど太くしていきます。

弓芯の火入れ

炭素化のための焼き焦がしを行います。(弓の反発力を高めるためです。)
火を入れるほど堅くなっていきます。

弓芯の貼り合わせ

製材した側木を厚みを揃えて薄く削り、焼きこがしたヒゴを接着します。
藤蔓で巻いて、楔を打ち込みます。弓を打つときによく見る場面と似ています。
複数の竹をヒゴにする時は上下を逆にして挟み、強さにムラがでないようにします。

芯材作り 側木+ヒゴ(竹+木+竹)

弓芯の削り

外竹と同じ削りの工程です。
貼り合わせた弓芯を握りの部分を中心にして削り、弓の両端にいくほど少しずつ薄くなるように、むらなく仕上げ削りを行います。
削りが均一でないとデコボコして、接着が浮いてしまいます。

弓の打ち込み

弓竹で弓芯を挟み、額木、関板を付けて接着します。100本近いクサビを打ち込みを絞めつけながら、半円状に反りをつけ、さらに打ち込みます。

側木・ヒゴの竹と木・あて竹・藤蔓・クサビ・膠(ニベ)などを用意します。
ヒゴの厚さ広さを適当に工作を加えて、
おのおのに膠を塗り、側木とひご竹の表皮を接するように重ね、両方面からあて竹を添え藤蔓(またはロープ)で下から1寸くらい間を置いて巻き終わり、更に反対のほうからあて竹のほうで十文字になるように巻き終わり、この交叉点にクサビを打ち込みます。火または蒸気で熱を加え、膠の溶解したときにクサビを打ち締めてひごの接着を終えます。

藤蔓(またはロープ)を等間隔に巻くときは同じ強さで巻くようにします。ムラができると捻れてきます。

弓の型づくり(新張)

接着剤が乾燥した後にクサビをはずし、先端にむけて弓の幅を落としていきます。その後、張り台で弓の型にします。クサビをはずした状態を藤放しと呼び、この時は弓とはいいません。
初めて弦(シナイ弦:太い弦)をかけることを新張(あらばり)といい、これを経て初めて弓と呼ぶことができます。

弓の張り込み

弦を付けて上下の形など出来具合を見ながら、弓型を整えていきます。この新張で弓の良否が決まります。

弓型の調整

張り込んだ後、弓型を整えます。

弓の仕上げ(村仕上げ)

荒張した弓を10日くらい張り込んで、型の落ち着いたところで、握り、額木、関板の部分を鉋や小刀でその弓にあった削り方をします。
ここまでの仕上げを「荒村」といいます。
特に外竹の両角を削ることを「メンを取る」といいます。

握束

仕上がった弓をさらに張り込んで調整した後、籐巻を行います。
この後、射込んだ後に修正し、仕上げることを「中村・小村」といいます。(射手が自身にあうように削るのを射手村といいます。)
※籐巻を行わない弓師もいるので、工程表からは外しています。

以上、竹弓ができるまでの流れでした。
この後は弓の発送があって、お店でも様子を見て、ようやく射手のもとに届きます。

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