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051_故障の種類
竹弓を使用していると、いつかは遭遇するかもしれない故障。
故障しないことが一番ですが、自然の材料を使っているため、絶対故障しないという断言はできません。
数々の故障を経験してきたので、こんな故障もあるんだな〜と思って見てくださいませ。
故障は以下の3つに大別されると思っています。
・扱い方が悪いケース
・弓自体が悪いケース
・職人が悪いケース
万が一、故障してしまったら、原因を探って再発を防止して、次の経験に繋げたいところです。
笄
外竹が切れることです。弓が悪かったり、扱いかたが悪かったりと、確定要因はありません。
最も多い故障です。遭遇率No.1です。
![](https://assets.st-note.com/img/1700559247100-6DsDzKDKlU.jpg?width=1200)
竹弓は引く度に外竹の繊維が伸ばされます。
伸ばされた繊維が限界を超えたときに、ブチブチっと切れた状態になります。これが笄です。
横に数センチ、縦に至っては数センチ〜節間全部、と様々です。
笄は繊維の伸びが限界を超えたときに起きる、ということは、限界を超えるような形になってしまった、ということです。
つまり、極端に曲げてしまったのです。
一番曲がりやすい場所、それは上成りになります。
どんな弓が発生し易いか、の観点で考えていきましょう。
下が強い弓です。
下が強い弓は上成りが弱くなりがちです。
成りが弱い部分が膨らみやすい=曲がりやすいので、それだけ笄の確率があがります。
さて、下成りが強くない弓でも油断をしてはいけません。
射手の引き方によって成りは変わっていきます。
上押しを強くかけている人も要注意です。
中押しをしているときと、上押ししているときだと、引成りが変わっていることに気がつくと思います。
上押しが強いほうが上成りを弱くするのです。
弱くなった部分は笄の確率があがります。
次に、成りが原因ではない笄の発生要因を考えてみます。
よくこんな話を耳にしませんか?
「合成弓から移行した人は笄に遭遇しやすい。」
自分の周囲ではそんなことがありませんでしたが、実際のところはどうなのでしょうか?気になります。
理屈を聞いてみると、納得できることがありました。
弓は上下の繊維が引き伸ばされることには強いが、繊維が捻れることには弱いというのです。
角見を効かせる以上の捻じれは故障の原因になります。
合成弓のときは握りを細くしているためか、握りこむ傾向があったとします。
竹弓でのその癖が抜けずに、強く握り込んでしまいます。
すると、必要以上に捻る力をかけてしまうことになるのです。
他にも、弓を握り込む初心者も同じことがいえることがあります。
手の内の形が整ってきても、力がうまく抜けずに握り込んだ状態で角見を効かせると、
必要以上に力がかかってしまいます。
たしかに、中途半端な時期での竹弓への移行は難易度が高い、といえるかもしれませんね。
首折れ
次に紹介するのは”首折れ”になります。
姫反り〜切詰め付近から折れる故障になります。
射手の要因が大きいため、遭遇率No.2として紹介します。
![](https://assets.st-note.com/img/1700559169475-h2MYwXECgb.jpg?width=1200)
弓で一番弱い部分である”姫反り”に過剰な負担がかかった結果、姫反り〜切詰めにかけて折れてしまいます。
原因は離れの勢いのまま弦が関板を打つことにあります。
関板と弦の間隔が狭いほど関板にかかる衝撃は増大します。
弦が触れている場合には、よりいっそう衝撃が関板にかかってしまいます。
弦音を出すために間隔を狭くする。
15cmを守った結果、関板にふれるようになってしまった。(ついでに削れることもある)
考え方の1つではあるが、それで首が折れてしまったら本末転倒ではないかと思います。
対策としては、関板への衝撃を和らげることにあります。
間隔を広げる、太い弦を使う、重たい矢を使う、などがあります。
もし関板が削れているような弓をお使いの人がいましたら、
首折れを防ぐ意味を込めて、対策をオススメします。
内竹を末弭まで伸ばす、という方法で弓の構造から対策をする方法も普及しています。たいていの弓が採用していますが、一部の弓では採用していないものもあります。
故障リスクをなくす意味でも、内竹対策をしている弓を選んでもいいかもしれません。
接着剥がれ・竹浮き
暑い車内に放置する、外に放置する、経年劣化、などの人的要因・環境要因を除きます。
あくまで日常で使ってる中で発生する故障を紹介します。
![](https://assets.st-note.com/img/1700559293900-O0itNblauL.jpg?width=1200)
側木を見ると、隙間を見つけたことはありませんか?
これは接着が剥がれてきている兆候になります。
竹弓は外竹とヒゴ、内竹とヒゴがそれぞれ接着されています。
竹が浮いてきている、ということは接着が甘いということになります。
接着させるときは、素材の面を研磨して、凹凸をなくしていきます。凹凸があると接着しない部分ができるためです。
これでわかったかと思いますが、接着剥がれは研磨と接着が甘いことが原因であることが多いのです。
また、節の部分が完全に浮いてるのを見たことはありますか?
紙をいれると貫通するようなレベルのものもあります。
これは完全に削りを失敗したパターンです。
節の部分の削りを甘くならないように気合をいれて削った結果、
削りすぎてしまったパターンと、
節の部分の削りが甘かったパターンがあります。
両方とも職人の失敗パターンになりますが、これを見抜く方法はありません。
すぐに竹が浮いてくるということはなく、使っていくうちにだんだんと剥がれていくのです。浮きを見つけたら、使用を中断して、相談をおすすめします。
運が悪いと、引いてるときに弓がバラバラになってしまいます。
古い弓によくある関板剥離もここに入れていきましょう。
張ろうとしたら末弭の関板がポロって外れたことはありませんか?
内竹によって押し出された結果、接着が耐えられなかったのです。
張ろうとしてたわませたときに内竹が浮くことがあります。
上下の弭がストッパーになるので、内竹は常に圧迫されています。
接着が弱くなったときに内竹が剥がれていきます。
弓折れ
遭遇率No.3です。(個人的には上位になります。)
引いてるうちに弓が急に折れることです。張り込んでるときに折れることもありますが、お店での遭遇率が高いということなので、カウントからは外します。
笄が発生して、そのままの流れで弓が折れる
芯材が折れた状態で引いたら、そのまま折れる
内竹が浮きストッパーの役割を果たせずに、そのまま折れる
関板が外れて、内竹がズレて、そのまま折れる
など要因はたくさんあります。
張った段階や異変に気づくことができれば、引くのをやめます。
気づかずに引いてしまうと、故障に遭遇します。
ときに引尺をとった状態で故障すると、衝撃に耐えられずに折れる結果になります。
数cm引いただけで故障すれば、まだ修理できますが、折れたら修理できません。
弓右衛門は4回ほど弓が折れたことがあります。
折れた場所は様々で、原因も一緒ではありませんでした。
それほど珍しいものです。
対策は日々のメンテナンスと、負担をかける扱い方をしないこと以外にはありません。
万が一、全然使っていないのに折れたり、変なところで折れたりしたら、お店か職人に相談してみてください。
もかしたら、保証があるかもしれません。
芯材折れ
外見から判断が難しい故障で、遭遇率はNo.4としました。
要因は様々です。
打たれたときから負荷に耐えられなかった材料が使われてしまったパターン
離れの衝撃が蓄積して、ちょっとずつ故障していったパターン
などいろいろあります。
防止策はありませんので、普段とちょっとでもおかしい部分があったら、疑ってみる他はありません。
弦通り・成り・弦音など、日常の気遣いが大事だと思います。
まとめ
天然素材を使っているため、故障の発生率は高いです。
怪我の危険性もあるため、普段の扱いを丁寧にすることと、メンテナンスが大事になります。
故障してしまったら、次の記事を参考にしてください。
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