【雑談】竹弓の引き心地の違い★

弓の引き心地は千差万別で楽しいですよね。矢飛びも違います。楽しみ方といったら何通りもあって、飽きることがありません。
合成弓はおおよそ銘の数だけ違いがあります。
それが竹弓になると銘と形といった目に見える要素と、材料といった目に見えない要素が合わさって千差万別の引き心地を体感できます。
今回は独断と偏見でお送りする竹弓の引き心地のお話になります。

引き心地その1

裏反りがある弓は大三が硬い

大三がちょっとキツくて、引き分けるに従って柔らかくなります。
大三がピタッと決まる感覚があるとハマった感じがあります。
ただし、引き始めに抵抗力があると力の使い方を工夫しないと無駄な力みが起こるので注意です。
ちょっと強いな〜って予想して引き始めると、ふっと抜けたような感覚になります。それが張り合いがないと感じる人もいます。

引き心地その2

大成りの弓は引きが柔らかい

大成りの弓は目付け節が上成りに含まれています。
都城の弓と比べても胴が短めです。
大成りの弓は大三から会にかけて、特に目通りから会までの最後5cmがすっと体に入ってきます。強さに対しての反発力を感じないです。
引き尺が増えるに従って、強さも同じくらい強くなります。このバランスが気持ちいいです。
しかし、残念ながら大成りの弓は極端に数が少ないです。意図して大成りの弓を打つ弓師がいないからです。張り込む過程で大成りになるかもしれないですが、それは弓師の目指した性能を発揮できるとも限らないので、率先して選ぶのも遠慮したく。

引き心地その3

目付けの強い弓は上から押される感覚

目付けの強い弓(胴が真っ直ぐな弓をイメージしてもらえればいいです)は、目通りから会にかけて矢摺籐の辺りから反発力を感じます。
通常であれば弓手が触れてる握り部分から真っ直ぐ反発力を感じます。
しかし、弓の上部から押され返すような力を感じますので、上押しを頑張らないと手首が負けてしまいます。
逆に押し返す力があるほど張り合いがあって頑張れる、という気持ちもなるので、メリットもあるかもしれないです。
弓右衛門は手首に負担がかかるので、あまり好きではないです。

引き心地その4

胴が短い弓は最後がキツイ

大三が柔らかく感じます。引きやすいな〜って思って引いてくると、最後の目通りから会の位置までのラスト5cmで強く感じます。
最後が強くなるって、なに当たり前のこと言ってるんだ、って思いますよね。
弓力の増加曲線はおおよそ一次関数のように増大してくことが研究結果として出ています。5cm引くごとに1キロ強くなっていく、ようなイメージです。
最後が強く感じるというのは、最後の5cmでは1.5キロ強くなります。
引き納めの最後にグッとくるので、負けないように頑張りましょう。

引き心地その5

適正矢尺以上で引くと大変

並寸の適正矢尺は85cmです。物理的には90cm引くことができます。
85cmまでは引き尺ごとの弓力は一定の値で強くなりますが、85cm→90cmでは一層強く感じます。
適正を超えてるのですから、当然ですね。(計測の結果でも出てます。)
破損率が高くなりますので、適正矢尺以上に引くことはオススメしません。(ただし、ニベ弓は別です。)

引き心地その6

ニベ弓、最高

弓が返りきった頃にはピタッと手に収まる感覚、堪りません。合成の竹弓では残心でも弓の余韻を感じる気がします。それがニベ弓だと残心の弓手の感覚に集中できます。
ニベ弓の矢束は合成接着剤の弓よりも余裕があるといいます。奥まで動いてくれる、というのでしょうか。適正矢束を超えても、しっかりと動いてくれます。
適切矢束を超えると、ちょっとだけ強く感じる合成接着剤の竹弓、そこがある意味で弓の性能を最大限に発揮できる引き尺に思えます。それ以上は引けない、という合図としてる人もいるのではないでしょうか?
ではより引けてしまうニベ弓にそういう感覚がないか、というの個体差によるとしか言いようがありません。

ニベ弓、残念

ニベ弓を夏場(というより高温の環境)で引くことは推奨されていません。
弓がガタつくといわれています。弓右衛門は夏場にニベ弓を引いた経験はかなり少ないです。しかし、唯一引いたニベ弓について感想を書いておきます。
ヒゴの数が少ないニベ弓を夏場に引いた時のことです。冬場は強く感じた竹弓も夏場ではフワフワしていたのです。どこまでも引けてしまうような、フワフワした感覚。ピタッと収まる感覚もない、もう退屈な弓となってしまいました。他の合成接着剤の竹弓よりも強さの落ち幅は大きかったです。(体感です。)
この経験以来、夏場にニベ弓は引かないと決めたのです。

以上、独断と偏見で送る引き心地のお話でした。



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