24:逝ってしまった君へ

※登場人物は全て仮名です。また一部詳細を変えています。

あさのますみさんという方の著書に【逝ってしまった君へ】という書籍がある。

2021年6月に出版されたこの本を知る切っ掛けになったのは、あさのさんのnoteであるが、何故か興味を持ったオレは2021年秋頃に購入した。

あさのさんが学生時代に付き合っていた元恋人で、特別な友人だった男性が突然自死を選んでしまった、そんなノンフィクション作品であるが、結局自分の悪い癖で、途中まで読んで投げ出してしまった。

縊死という形で命を投げ出してしまった彼の残された遺書や音声から感じた苦しみや葛藤と、残されたご家族や友人たちの心の移り変わりをリアルに描写した作品だったが、結局はどこまで読んでも想像の世界でしかない他人事だった。

しかし、この本の存在を何故か急に思い出した頃には、それは他人事ではなくなっていた。

今ならひょっとしたら、この本に書かれてる事の意味がわかるのかも知れない、と思い、もう一度頭から読み直してみた。

読了まで随分と時間を要した。
辛くてなかなか読み進められなかった。
書いてある著者の気持ちが、痛いほど胸をえぐる。
この本に書かれた事をなぞるように、自分も似たような道を辿ってる。

著書内に描かれていた「彼」の存在は、友達がとても多く、人の事を悪く言わず、明るくポジティブシンキングで、約束に対して律儀で、興味を持ったことにはどんどん挑戦して、そして周りの皆が知らずのところで鬱持ち…まるでエミちゃんの事を言ってる様だった。

「彼」の遺書には数え切れない数の謝罪の言葉があったそうで、その事から本人はこうするしかなかった事、自死という行為に対して残された側は咎めてしまうが、それは残された側のエゴでしかない事など、自分でも感じた事が書かれていた。

中でも最も堪えた一文がこれ。

-- 私は『君』と密に接しているつもりで、実は『君』の事を見ていなかったのかも知れない。--

オレも似た様な事を感じていた。

昨年一年、あんなに沢山会えてたのに、些細な変化にも気付けていたのに、最後のメッセージを受け取った張本人なのに、結局何も出来なかった。

まさか、何気なく買った本に、ここまで心をえぐられる日が来るとは思っていなかった。

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