37:夢
※登場人物は全て仮名です。また一部詳細を変えています。
今朝方、夢を見た。
すぐに夢とわかった。そこにいる筈がないエミちゃんがいたから。
長閑な場所にいた。
と言っても、絵画の中や旅行番組に出てくる様な、日常離れした長閑さではなく、観光などで普通に行きそうな、生活感がある長閑さだった。
周りにも人がいて、二人きりという状況ではなかった。
何をする訳でもなく、エミちゃんと喋っていた。
大まかにそれは、オレとエミちゃんの関係が特に濃かった、2022年という1年間を振り返って、思い出しながらお互いに感想を言い合った様な内容だった。
その内容までは覚えていないが、別に何か特別なものがない、そう言えば~…とか、そうそう、とか、思い出話をする人達にありがちな会話をしていた様に思う。
エミちゃんが言った。
「幸せだったよね~」
それは、会話を締めくくる様な言い方ではなく、それを足掛かりに更に思い出した会話を紡ぐ様な感じの言い方だった。
実際、そこから更に会話は繋がった。
オレは、楽しかったエミちゃんとの時間にまだ未練があり、あわよくばこれからも続けたいという気持ちがあるのが透けて見えた。
一方のエミちゃんは、過去の話として喋っているのが伝わって来た。
夢から醒めた。
エミちゃんとした会話の内容が急速に消えて行った。
消えないでほしい…!
最後まで残ったのが、エミちゃんが言った「幸せだったよね~」という言葉、それと「一年間を振り返って思い出しながら感想を言い合う」という構成だった。
現実のエミちゃんからは聞いた事がない「幸せだったよね~」という言葉が印象的だったのかも知れない。
後は綺麗さっぱり消えてしまった。
書き出しに書いている夢の中の風景ですら、なんとなくこんな感じだった、というだけで、本当にそうだったかどうかはわからない。
夢の内容が急速に消えていく、という事を体験したのは初めてではない。
元々、夢はそんなに見ないし、見たとしても"見た"という感覚だけを残して目覚めまでに全て忘れてしまうタイプである。
稀に、夢の消去が目覚めに間に合わず、夢の端っこが見える事がある。
その時に、こうして急速に消えていく感覚を味わうのだ。
今回の夢は正直、残った方だ。
どこで、誰が、何を、なんて覚えてない方がザラだ。
時計を見た。
午前2時25分。
コガくんも、午前2時~4時の間にエミちゃんの夢を見る事が多いと言っていた事がある。
コガくんはそれに何か意味を感じている様だが…スピリチュアルな事はオレにはわからない。
一息ついてもう一度横になった時、しばらく出る事がなかった、涙があふれ出た。
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