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レインの数列

 最近とある方にnoteを始めたという話をした際に「あの数列、いつになったら答え発表するんですか?」と言われて、作成者が完全に忘れかけていた自作パズルクイズの存在を思い出させて貰った。
 過去担当個体の僕達について今の僕より詳しい人が何人もいる謎現状にマーブルな気持ちを抱いたことは一旦置いておいて、折角の機会なので数列謎解きの雑談と解説を公開しようと思う。
 挑戦して下さった皆様、遅くなってしまい申し訳ない。

 まあしかし、公開時期が古の本問題の存在を雑談部屋以前に知っていた方は極少数だと思われるので、何はともあれ問題を貼っておく。
 是非空き時間にでも『常識に囚われず』挑戦してみて欲しい。

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レインの数列


 そもそも本問は、僕が高校生の頃に数学を教えていた子達を楽しませる為に即興で自作した数列謎解きに端を発している。
 彼等彼女等は頭を使う物事や話を楽しいと思ってくれる素晴らしい感性の持ち主であったので、当時教室のホワイトボードに本日の問題という文言と共に問いかけを書いておき、皆が各々の暇な時に解いて次会った際に解説するという方式で色々やっていた。数列パズル回は特に好評だった為、三回実施する運びとなった。
 空き時間の数分程度で作成した本問が意外と気にいった僕は、当時の同級生の友人達に出題したり、問題をコピーしたものを大学中に散らかっているチラシに同化させて撒き散らそうと思ったり、Twitter上でレインの数列というハッシュタグやモーメントを使って発信したり、と様々な行動に打って出た。
 そして今に至る。

 作問背景に関する雑談を軽く捩じ込んだ所で一つ。実は本問は、ホワイトボードに書いて出題した時と、友人に出題した時と、Twitterで出題した時とで、問題に手を加えて難易度を調整している。
 原案は対象年齢が低かった上に、考えて解けた瞬間の喜びや楽しさを経験して欲しいという目的が第一であったので、ふんだんにヒントを用意していた。
 しかし友人に出そうとした段階で、あまりにも優秀な彼等にこのまま出題するとアッサリ解かれ兼ねないと思い、原案から露骨なヒントを排除した。
 そしてTwitterに乗せる段階で、まだ見ぬ謎解きの猛者に瞬時に暴かれる心配が過ぎり、ヒントを改造して難易度が上がるように記述した。紙とは異なりツイートには文字数制限も存在したので、その都合もあった。
 本雑談に掲載した問題は友人用である為、Twitter時代に解けなかった方も新たに何か見えるやもしれぬ。

 本雑談を認めるに際し、記憶が正しければ緑か黄緑かビリジアン系統の色合いのファイルに入っているであろう問題と解説の原本を画像化して掲載しようと試みたが、どうしても発見出来なかった為問題も解答も書き下ろした。わあ、豪華だ。


 歴史の振り返りが少し長くなってしまったが、いよいよ問題の中身に関する雑談に入る。
 本問のテーマは、常識の打破である。
 そこそこの学力を有する受験生ですら、問題や小問を単体の存在と捉えがちである。本問を機に、問題に存在する流れや繋がりを認知してくれたならば、作問者としては嬉しいなあ。
 問題の繋がりに関する具体的な話をすると、本問の場合は問題の『縦』を利用して構成した。数『列』だからと横ばかり意識していると解けないようにしている。Twitter表記だと縦の意識がよりやり辛くなっていた為難しかった。

解説
問1 当初はヒントとして(5)と(6)の間に一本長い線を引いていた。縦ギミックの中では王道とも言える。
(1)フィボナッチ数列の典型例。第一項と第二項はバリエーションがある為その二つはキッチリ定義した上で、以降の項の値が直前の二項の和である数列。従って13と21の和34が答え。
(2)階乗。1からnまでの連続する自然数n個の積を第n項の値とする数列。従って1から5までの積120が答え。
(3)数え上げ。初登場する数字まで数え上げたら再び1から数え上げていく数列。従って3が答え。
(4)フィボナッチ数列の典型例の派生。(1)の各桁を一つ一つの項とした数列。従って13と21の和34の二桁目である4が答え。
(5)円周率の派生。円周率の各桁の値を二倍した値が並んでいる数列。従って9の二倍の18が答え。
(6)『縦』。ヒントの長い棒は本問で筆算をイメージさせる為のもの。(1)から(5)のn項目の合計値をn項目の値とする数列。従って8と120と2と8と10の和148が答え。

問2 本問を作成した日が4月3日であった為、当初はヒントとして4/3であることを強調していた。
また問題文に「疑問に思う所が大切である」という文言を追記していた。
(1)素数。1と自分自身のみを約数に持つ数を小さいものから並べた数列。従って11が答え。
(2)微『縦』。微難。(1)が誘導になっている。(1)をもう少し長く書いておいた方が丁寧だったなあと少し反省。素数を小さいものから二つずつセットにし、その和を各項の値にした数列。従って23と29の和52が答え。
(3)フィボナッチ数列の典型例。問1(1)参照されたし。13が答え。
(4)累乗。第一項を定義し、その値と2の積を次項の値とする数列。従って4の二倍の8が答え。
(5)『縦』。(3)(4)が誘導になっている。作成日が計算式のヒントになっている。(4)のn項目の値を(3)のn項目の値で割った値を帯分数表記したものをn項目の値とする数列。従って1+3/5が答え。誤解が起こらぬように+を書いておく。
(6)『縦』。本問だけ……が書かれておらず有限数列になっていることが最大のヒント。ヒントの文言はダブルミーニング。?の場所、第何項にあるかを(1)から(6)まで順番に書いた数列。従って4が答え。

問3 当初は(2)と(4)に関しては、迷い過ぎている子にはヒントとして助言していた。
(1)素数の派生。n番目と(n+1)番目の素数の積を第n項の値とする数列。従って7と11の積77が答え。
(2)階乗の派生。問1(2)の数列の第n項の値からnを引いた値を第n項の値とする数列。簡潔に書くと、一般項がn!-nである数列。従って5の階乗と5の差115が答え。
(3)数。僕が教えに行っていた場所に、10×10マスの板に1から100までの磁石を並べる子供用ボードがあり、それをモチーフにした問題。数字情報が一つしか無いので、答えられなかったりこねくり回したら別解もありそうだったりと不安であったが、友人(強)が普通に解けたので変更せずに出題。⇨が1の位、⇩が10の位の進行を意味している。従って35が答え。
(4)組み合わせ。難。当時ヒントを書いておけばよかったと後悔した。異なるn個のものからr個を選ぶ組み合わせの総数をnCrと表記すると、一般項が(3n-1)C(2n-1)である数列。従って14C9を計算した2002が答え。
(5)素数の派生。素数を小さいものから並べて、各素数の各桁の和を値とする数列。従って1と3の和4が答え。
(6)『縦』。(3)と同じ変換ルールでは5桁の条件を満たせない。20からスタートしているのはヒント。(2)から(4)を縦に見ると3⇨56と20⇨330の二つの変換が発見出来る。従って20⇨330⇨5630⇨56560と変換した最後の56560が答え。


 如何であったか。中学生や数学の知識が少ない方に文章だけで伝えるのは大変ではあるが、かなり丁寧な解説を添えたつもりであるので、当時の教え子達の如くメゲズに楽しんで取り組んでみて欲しい。
 本問は作問当時の僕の意図を尊重している。本雑談を認めている今の僕が見ると荒さを感じる所もあるが、変更は加えていない。
 もし需要が存在するならば現在の自分の力を尽くして煮詰めた新問を作成しても良いのであるが、
現実世界でもTwitterでも、僕好みのコアな人間は興味を持ってくれた一方で大衆受けは案の定悪かった為、子供達との別れを機に作問から離れてしまった。
 しかし大衆も名の通った人の問題なら御自慢のミーハー模倣魂を発揮して取り組む姿勢を見せることもあるので、天秤が正常に釣り合った稀有な未来も見据えつつ雑談に纏めてみた。

 本問と僕に遥か昔から関わって下さった親愛なる皆様と、本雑談を機に少しでも楽しんで何かを学び取って下さった読者の方々には御礼を申し上げたい。本当に有難うございます。
 作問者冥利に尽きる。


追記(2024 7/28)
 原本を発見した為添付しておく。
 実家に放置していた紙束の隙間から出て来た。全然ビリジアンのファイルに入れとらんがな。

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