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メタ認知が9割 〜教育者が知っておくべき対話の着地点〜

はじめに

 学校の先生になり、様々な気づきや学びがありました。その中でも、最も痛感したことは「教師が子どもに話すだけではほとんど伝わらない」ということです。伝え方の工夫や話し方のコツをたくさん学びましたが、いくら熱く語りかけても、子どもの行動は変わりませんでした。そして「自律する子の育て方」という一冊の本に出会い、重要なのはそこではないということに気づきました。今回は、子どもの行動が変わる、「メタ認知」について紹介したいと思います。

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メタ認知とは

  結論、メタ認知とは「自分自身を対象化し、もう一人の自分がそれを見ているような感覚で自分を捉えること」です。(青砥、2021)上の図のように、自分の中に沸き起こった感情などを一歩引いて見つめ、自分の思考を俯瞰的に捉えます。子どもの行動が変わるための第一歩として、このメタ認知をすることが必要不可欠になります。自分の学びを日記に書いたり、感想を書いて振り返りをしたりすることで、ある程度のメタ認知を引き起こすことができると言われています。しかし、「自分に関する情報を一つの定点から眺めるだけでは、学びに繋がらない」と、著者は言います。では、どのように自分を捉えることができればいいのでしょうか。次に解説していきます。

学びを得るためには「神経細胞を同時発火させよ」

 子どもが学びを得るために重要なことがあります。それは、自分の行動を複数の視点から同時に捉えることです。なぜかというと、脳には同時発火した神経細胞同士が結びつくという原理があるからです。「ん?何を言っているんだ?」と思っている方がほとんどかと思いますので、具体的な例を使って考えてみましょう。
 逆上がりが苦手な子どもがいるとします。逆上がりを自分一人だけで練習してもなかなか上達しません。そこで自分を客観視するために、動画に撮って観てみます。しかし、そこから学びを得ることは難しいです。そこで、上手な人と自分の動画を比べて観るとどうでしょう。自分の課題と、上達方法を学ぶことができるはずです。このように、複数の視点から同時に捉えることで初めて、学びを得ることができます

劇的変化!ビフォー・アフター

 この「複数の視点を同時に捉えさせること」を意識して子どもと対話することで、子どもの行動が目に見えて変わるようになりました。以前、熱く語りかけているだけの時は、子どもは「分りました」というものの、結局もとに戻っちゃうというようなことが度々ありました。しかし、子どもに複数の視点を与える問いかけをし、自分で行動を決定させることを繰り返すことで、子どもは行動を変えるようになってきました。もちろん一度では変わらなかった場合も、「前回〜って振り返っていたけど、今回はどうだろう?」と、前回の自分と今の自分を比べて考えるように問いかけると、行動変容を起こすようになりました。長期的な目で見る必要はありますが、確かに子どもは変わります。大事なのは、着地点が子どもの自己決定であることです。最後に「〜しなさいよ。」などと言ってしまうと、子どもがせっかくメタ認知したことが台無しになってしまいます。子どものメタ認知と自己決定を大切に、子どもの成長を見守っていきたいですね。 
 

 今回も最後まで読んでいいただき、ありがとうございました。今週は特に子ども達の成長をたくさん感じることができて幸せいっぱいの一週間でした。また、来週もよろしくお願いします。


参考文献 「自律する子の育て方」工藤勇一、青砥瑞人2021

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