
野生動物出没注意
朝、居間のカーテンを開けると私の目に飛び込んできたのは、2頭の猪。何のことか飲み込めない私の頭の中は、しばらくフリーズ状態だった。それでも だんだん頭が動き出す。まず 2頭の猪は、大・小があるので親子かなと考える。更に 目で追い続けていると、2頭の猪の間に 小さな子供の猪が動いているのに気がついた。なるほど、ちっちゃな子供を挟んで 前が大きな お父さん、後ろが少し小さな お母さん といったところだろう。などと考えていく。
そういえば 最近、近所で見かけるようになった「野生動物出没注意」のがんばんが思い出され、猪のことだったのかと 合点した。
それにしても、こんなところで(東京の田舎とはいえ住宅地で)、こんなにも はっきり、くっきり、ゆっくり、猪を見ることができるなんて、やはり驚きである。私の驚きなどよそに 猪親子一行は、自宅の前の小さな川の向こう岸を 一列に並んで しばらく歩いていくと、悠然と竹林の中に消えていった。
『動物が何匹も一緒に歩く時は、いつも、ちゃんと賢い法則に従って出かけます。つまり、一列縦隊に歩いて、決して 道いっぱいに広がるようなことはしないのです。そんなことをすれば、何かとっさの場合に、お互いに何の助けにも ならないからです。』
これは 児童書の『たのしい川べ』の一節である。
この文章の 証明が、猪によって今、なされた。しかも川べで。たのしい川べ か どうかは私には わからないが、それを知れた私は 、すこぶる楽しい。
さて、動物は何匹も一緒に歩く時は 一列縦隊に歩くとあるが、人間だって何人も一緒に歩く時は やっぱり一列縦隊で歩く。特に自然に近い場所では。
場所は高尾山、幼い頃 父に連れられて、兄と私と3人で よく登山をした。父が先頭、兄が最後尾、私が父と兄に挟まれて真ん中を歩いた。しかも ひもを輪にして 電車ごっこ よろしく、輪の中に3人入って、一列縦隊で登っていく。" 前は熊が出るから危ないんだ " " 後ろはヘビが出るから危ないんだ " と脅かされながら。そして 守られながら。
それにしても 親の愛、家族の愛は ありがたい。
それは猪も人間も変わりはしない。
[900]
いいなと思ったら応援しよう!
