IKI's GIN PROJECT.【旅先案内人 vol.22】海里村上×壱岐の蔵酒造 #2
■第1弾の反響を受けて
「壱岐島の味を全国に届けるクラウドファンディング」で目標金額に対し200%を達成し、その後の一般発売でも1か月で売り切れ、知る人ぞ知る“幻”のクラフトジンとなった壱岐リトリート 海里村上と壱岐の蔵酒造の共同企画で完成した、第1弾の「Japanese Iki Craft Gin KAGURA」(以下「KAGURA」)。
第1弾「KAGURA」の反響について、「いちごの香りがするような他にはないようなクラフトジンなので、『飲みやすいし美味しい、もう在庫はないんですか?』などの声をたくさんいただきましたし、初めてのクラフトジン造り、クラウドファンディングやさまざまなメディア露出の影響もあり多くの方に注目いただいたと感じています。何より、焼酎文化が根付いている壱岐の人がこんなにクラフトジンを飲むというイメージが無かったので僕自身、大変驚きました。」と語ってくれました。
もちろん多くのメディア露出により島外の方に認知され、壱岐の新たな取り組みとして取り上げられた。というのも事実としてありますが、“壱岐の蔵酒造が造るクラフトジンという新たな取り組み”が注目を集めたということは
「何か新しい取り組みをしていかなければならない、島全体をもっと盛り上げたい。」という強い想い。
島民の皆さんの中にあった想い描いていたイメージが、この企画を通して形になったことで、より一層注目を集め反響を呼んだのではないかと思います。
■第2弾「Japanese Iki Craft Gin KAGURA」3月発売
大きな反響を呼んだ第1弾「KAGURA」に続き、2023年3月に第2弾「KAGURA」の販売が決定。
第1弾とは違う、新たな魅力について教えていただきました。
■柑橘と生姜の香るスパイシーな味わい
第1弾の「KAGURA」は、イチゴと壱岐焼酎の原料である米に由来したほんのりとした甘味が優しいフルーティーな味わいが特徴でしたが、「第2弾の「KAGURA」は、生姜と柑橘を使用したことで、飲み始めはフルーティーで柑橘のすっきりとした味わいですが、その後の鼻にぬける生姜のスパイシーさが特徴となっています。第1弾と比べるとすっきりとしてスパイシーな印象を受けるかと思います。」と教えてくれました。
■SDGsに貢献、アスパラの繊維を使用したラベル
第1弾の「KAGURA」と大きく違う点は、ラベルのデザイン。「第1弾は壱岐の青い海をイメージしたブルーボトル、第2弾は透明のボトルにロスになってしまったアスパラガスの繊維を使用した和紙ラベルを巻きました。」
アスパラガスは壱岐の名産品のひとつですが、出荷する際に長さを揃えるためにカットしてしまうため、捨てられてしまう部分が多いのだそう。どうして和紙にするアイデアが生まれたのかについて
「アフリカのザンビアというところと福井県の越前和紙の工場が、バナナの繊維を和紙にしているという話をたまたま耳にして、バナナでできるならアスパラガスでも和紙に出来るかもしれないと思い今回のラベル制作に至りました。」と石橋さんが教えてくれました。偶然の出会いから生まれたアスパラガスの和紙が第2弾の「KAGURA」を飾ってくれています。
■島全体で、フードロス問題に向き合うきっかけ
第2弾のラベルにアスパラ和紙を使用しているとのことで、JA壱岐市の松嶋さん、ご紹介いただいたアスパラガス農家の平野さんからお話を伺いました。
まず、第1弾の「KAGURA」について、松嶋さんは、「飲みました。ただ、クラフトジンというもの自体に馴染みがないので味についてはうまく表現できないのが正直なところです。普段飲まないので…。第2弾も出るということなので、少しづつクラフトジンの味について知っていきたいと思っています。」と話してくれました。
壱岐のアスパラガスは、データとノウハウの蓄積、新技術の搭載によってさらに壱岐産アスパラガスの質と評価が向上し、2011年には日本農業大賞も受賞。旬は、春と夏。旬の時期のアスパラガスはとても柔らかく、松嶋さんによるとバター醤油で食べるのがオススメとのこと。一緒に取材をまわったスタッフも大きく頷いていました。東京にも出荷しているということなので、旬の時期に見つけた際にはぜひオススメの調理法で食べてみようと思います。
そんな壱岐の名産である、アスパラガスの廃棄量は年間30トンにのぼるそう。「KAGURA」の第2弾は、ロスになってしまったアスパラを使用した和紙を作り、ラベルとして使用しているというお伝えすると「確かに、アスパラガスの繊維感を生かして和紙を造るというのはとてもいいアイデアだと思います。アスパラガスのロスの問題は私たちも深刻だと感じていて、さまざまな方法でロスを減らす方法を試してきました。しかし、どうしてもアスパラガス独特の青臭さだったり加工した時の色合いがあまり食欲をそそられなかったり・・・つまづいてしまうことが多く、なかなか難しいと感じている現状です。」と松嶋さん。
「壱岐の蔵酒造の石橋さんや海里村上さんの取り組みがもっと認知を広げて、きっかけとなり島全体でより一層フードロスの問題に取り組んでいけたらと思っています。」松嶋さんの言葉に、平野さんも頷きます。
■島民への認知拡大を考える
「海里村上さんとの共同企画というイメージが、島内だと少し敷居が高く感じてしまい、なかなか「KAGURA」の購入まで踏み出せない方も多いかもしれません。さらにクラフトジンというあまり島民の皆さんに馴染みのないジャンルなので。」と話してくれたのは、壱岐でアスパラ農家を始めて11年の平野さん。クラフトジンというジャンルが、新しく興味を惹かれるのは確かだが焼酎に慣れ親しんできた島民の皆さんにとっては、手が出しづらいという現実もあるのかもしれません。
「確かに、壱岐の蔵酒造の石橋さんの取り組みを知ってほしい、もっと島内の人に認知してほしいと思います。」と松嶋さん。島内にはこのプロジェクト自体を知らない人がまだまだたくさんいるとのこと。SNSで言えば、InstagramよりもFacebook、WEBよりも紙媒体。壱岐新聞に記載の情報はより多くの島民の元に届くそう。「例えばですが、自分で予約して一本買うのは敷居が高いけれど、行ったお店に「KAGURA」が置いてあり、飲み方の紹介などがあれば一杯グラスで飲んでみようかな。と思うかもしれません。」「お店によく貼ってあるPOPとかね」・・・
島民への認知を広げるためにどのようにすれば良いかを、さまざまな観点から議論するお二人の姿をそばで拝見し、IKI's GIN PROJECTへの期待感と農協や農家さんの、島全体でフードロス問題を少しでも解決したいという強い想いを感じました。
■今後について
次回、松嶋さんと平野さんから、壱岐の農業について。石橋さんから壱岐の蔵酒造の焼酎造り、今後の「KAGURA」や新しい取り組みについて。それぞれご紹介いたします。