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暑くてクサくて木洩れ日よ

 すっかりマスクをしないとパンツを穿き忘れたような気持ちになってきて恥ずかしい感情が芽生えはじめた。
 平日のほとんどのイカ子のマスクを集めることが簡単になりそれもすっかりお馴染みになると休日のマスクが欲しくなってきた。
 イカ子というのはあだ名で本名は別にあるが皆んなそう呼んでいるから私もイカ子と呼んでいるのだけれどこうして思えば本名を知らないし年齢も知らないが知ったところでなにかあるわけないことも知っているから気にかけやしないしなにかあるとイカ子との道中この濃密で汗臭い時間を失うかもしれない怖さも含まれるのだった。
 イカ子は可愛いらしい顔でそれに似合う可愛らしい髪型とカジュアル過ぎる服装の女性で可愛らしいとはほとんどの人がそう思ういろいろな人や物や動物の二割減といった可愛らしいでイカ子の言動が思考回路が減少させてた容姿を軽く回収し抜群に飛距離をあげている。イカ子の趣味は運動と言っていたが話を聞くと散歩しかしていないのだけれど、彼女にとっては散歩は運動でありほとんど毎日行くという。雨が降っても傘をさして散歩をしている。コンビニで新発売のデザート(商品名は忘れたがプリンの類いだったとおもう)を買って食べたのだという。それは買い物ではないかと思ったが、趣味を散歩と言う奴に日常的に散歩をしている奴いない。だからイカ子は可愛いのだ。
 

 イカ子を助手席に乗せ時間通りに国道に合流するとイカ子が車が欲しいと言い出した。この車と同じタイプで速いのがいいと言う。音もうるさくして車高も低いものと具体的な要望だった。イカ子はタブレットで描いた理想の車を見せてきたが午前中トラックだらけの狭っ苦しい二車線の国道はよそ見をしながら運転することはできない。後で見るよと言いかけでイカ子は「でもエアコンがあるもの」と付け足した。
目的のポイントに着く頃にはすっかり汗だくになることをイカ子も不便を感じていたのだった。
 軽量化という言い分の裏には修理がめんどくさいという理由があってエアコンは取っ払った。そのかわりにラジエターに水を吹くためのタンクを取り付けた。エンジンは冷えたが運転席と助手席の二人は茹でタコのように赤くなり二人は同時にアスファルトの段差で尻が飛び上がりマンホールの段差で首が左に倒れ信号が変わりけた交差点を左折する重力に負けないように右に傾いた。
 国道を離れて峠道に入る。頂上まで五百メートル程の傾斜のきつい道を進む。三速から二速に落とすとイカ子もその仕草を真似た可愛い。
ルームミラーに二台の車が付いてくるのが見えたのを確認して二つカーブを抜けるともう真後ろに迫っていた。黄色いホンダのビートとシルバーのランエボだった。アクセルを開けようか悩んだが左ウインカーを出して譲ることにした。二台はハザードを点滅させながら抜いていくとイカ子はワオと驚いていた可愛い。
私のマシンとイカ子と二台でツーリングなんてしたらとても楽しいだろうと想像した。

 イカ子に用意した車を一緒に整備した。バンパーが付いてなかったらからオークションで購入して色を塗り直して付けたりシートをレース用に変えて車内を守るようにロールバーを組み込んだりしているうちにイカ子の普段着がつなぎになって可愛い。
 車が車検から戻ってきて一度短いツーリングに行った。それからしばらくイカ子から連絡はなく返信もなかったがラインのアイコンは二人で作り上げた車だった。
 秋の気配を感じた頃イカ子のアイコンが改造したセダンとツーショットのアイコンに変わった。

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