「Essey」祖母といっしょ

2020・7・7に書いたエッセイ

今日のばあちゃん 御年93歳
あいかわら おちゃめな笑顔
いっしょにすごす「じいちゃんの誕生日」
生きていたら98歳

テーブルに並べられた
いつもとおなじバヤリースオレンジ・三ツ矢サイダー
チロルチョコレート
朱色のお盆
未だ健在「ダイヤル電話」

ひとより忘れっぽい ばあちゃん はいつも話してくれる話がある

きょうの「いつものはなし」
「100までいきます」と言ったことを後悔した話
「日中アパートのベランダでハーモニカをひく」話
「ビータッチの絵を町長にあげた」話
「わたしを知らないの!」ナンパな男にはったりをかました話
直前のことを忘れてしまう ばあちゃん この話をくりかえす
きょうは 5回はくりかえした

はじめてのはなしもあった

5円玉でつくった兜をほどけば お金としてつかえるよって話
2階に住んでいるから 洪水になっても大丈夫 ラッキーって話
あんた(祖母から見たらわたし)は おんぶしてやったことがあったかなぁって話

みじかい時間でいろんな話

ちょうど”わたしの兄”からの電話
電話に出た ばあちゃん
「”あにしん”ね ”おにしん”来てる 代わるねー」
って 電話に出て2秒で代わろうとする ばあちゃん
いつも会ってるから 代わらんでいいよー と止める僕

アイスをもってきてくれた
アイスを頬張るわたし
ここにきてやってること 30年前と一緒

時間が経つのは早い
最後にあくしゅ
なんだか泣けるのは 歳をとった証かな

帰り際 30年前から変わらぬ光景
「安全運転で帰ってくださいね」
つぶやきながら手を振る やさしいばあちゃん

小さくなるまで いつまでもいつまでも。

2020.7.7 じいちゃんの誕生日



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