新たなスタート
-プロローグ
春の長旅を終えて、新たに刻んだ言葉
「Grab the future beyond yourself in the past.」
この言葉を新たに軸にして様々な行動を始めていた。
試合を勝ち抜き、見事ベスト4に進出した佐渡高校。だが、俺はまだ満足していなかった…
-高校2年生~バレー編~
ベスト4が決まり、北信越へ出ることが確定した。後は全国を決める。みんながそんなことを思っていた。
俺はそんな中でこの思いに加えて、ある思いがあった。
「サービスエースを取りたい。」
大会で得点に繋がるサーブは打てているが、自分の打ったサーブが直接得点になる、サービスエースが取れていなかった。
絶対に宿命の相手から取ってやる。その思いで準決勝までの1週間、サーブを打ち続けた。
前日にある動画が3年生マネージャーから送られた。卒業した偉大な先輩方からのメッセージだった。俺はその言葉を聞いて闘志が震え上がった。また、3年生からLINEで明日にかける思いが送られ、「絶対にサービスエースを取る」という思いは
「サービスエースを取って流れを変える」
個人の目標から、チームに貢献するというものに変わっていた。
翌日、迎えた準決勝。俺たちは赤いユニフォームを身に纏った。マネージャーも含め、全員がリベンジを果たすという思いでいた。
第1セット、序盤からお互いの思いがぶつかるシーソーゲームに。相手からも絶対に勝つという思いが見て取れた。終盤になって、「おし、出てサービスエース取ってやる。」と準備していたが、相手の連続ブレイク。そのまま第1セットを落とした。
貴重な出る機会を奪われた俺は、静かな怒りに満ち溢れていた。
続く第2セット。序盤から相手のペースに。俺は中盤になって投入。
「一点取るぞー!!」
いつもサーブで出た時に言う言葉。いつも以上に思いを込めて言い、サーブを打った。打った感触はやばいと思っていた。
だが、相手が俺の打ったボールに触り、そのままコートの外へ飛んで行った。
サービスエース
ようやく、ようやく取れたサービスエースだった。俺は渾身のガッツポーズ。先輩や後輩。さらに練習試合で仲良くなった仲間達、そして先生も大喜び。とても嬉しかった。やっと努力した甲斐があったと思えた。
2本目、思いを込めすぎてしまいアウトになってしまった。しかし、俺の1点は大きく、徐々に自分達の力を出すようになってきた。
だが、その力以上に相手が力を出してきた。
迎えた相手のマッチポイント。エースに託されたボールはブロックにかかってしまった。
春高から合わせて3度目の負けだった。
とても悔しくて、泣いていた。あそこでミスをしなかったら…と思ってしまった。だが、すぐ切り替えた。「Don't be "if",take action.」を座右の銘にしていたからだ。
次の北信越で自分を超える挑戦をしよう。新たな目標を打ち立てた。
6/18。北信越大会へ出発した。舞台は妙高市、はね馬アリーナ。前日練で「すごい綺麗な体育館」だと思ったと同時に「サーブが打ちやすい体育館だな」と思った。
翌日、北信越大会が幕を開けた。1回戦の相手は富山のチーム。俺たちは青いユニフォームを身に纏った。
第1セット。序盤からエンジン全開。あっという間に相手を引き離した。点数がリードした中で俺はリリーフサーバーとして投入。「最初だし様子を見よう」と弱気に打った。そのサーブはコートを外れ、アウトになった。「やばい」と思った。
明らかに自分に負けていたのだ。機会を与えてくれた先生、全力で戦っている仲間に申し訳ないことをしてしまった。
だが、チームメンバーそんなことを気にせず1セット目を取った。
「何をやっているんだろう。馬鹿だなぁ…」
と思って、俺は吹っ切れた。
「思い切ってやればいいだけか。やってやろう。」
そんなことを思いながら2セット目が始まった。序盤は流れをとるのに苦戦したがすぐに立て直した展開。ある程度点差がついた段階で俺は交代した。
「自分らしくやろう」
そう思って打ったサーブは相手を弾き自分たちのコートのサイドラインの外へ。
サービスエース
これでいいんだ、と思いながらガッツポーズ。そして、思いを強くして2本目のサーブを放った。強く打ったサーブはアウトの感じがした。だが、運良く相手が取ってくれ、崩すことに成功。そのまま自分たちの得点に繋げた。
たまらず相手はタイムアウト。俺のサーブに対してのタイムアウトだったと思う。
「落ち着いて、いつも通りやれば大丈夫」
同期の仲間が俺に言ってくれた。その言葉の通りやろう。そう思って俺は再びサーブを放った。何本も放った。そしてそのまま自分たちのマッチポイント。最後は思っきり攻めたせいでアウトになってしまった。だけど、ベンチにいたリベロの先輩をコートに送り出すことになった。
その後クイックを決め、見事勝利。ベスト16になった。
この試合がきっかけに、自分らしく、強気にやれば結果は出てくると思った。
その後ベスト8をかけて石川のチームと対戦。このチームはインターハイ出場を決めていたチームだった。
「勝ってひと泡吹かせてやる。」
そんなことを思いながら赤いユニフォームを身に纏い、試合が始まった。
第1セットは均衡したシーソーゲームの展開。そんな中で俺は投入された。絶対ブレイク取って流れを引き寄せてやる。思いを乗せて打ったサーブは相手を崩し、ブレイクすることに成功。そのまま第1セットを取りきった
続く第2セットも均衡した流れに。俺も投入され、崩すことには成功したが、ブレイクを取ることができなかった。そのまま流れを持っていかれ、フルセットになった。
迎えた最終セット。流れはお互いが譲らない展開に。そして俺が投入。思いを強くして打ったサーブはエンドラインを越していた。だが、そんなミスは関係なく、思いがぶつかっていた。
1歩及ばず敗戦。ベスト16で北信越が終わった。
俺は嬉しいことも、悔しいことも経験した大会だった。これを力に変えて、さらに強く、そして全国へ行くためのサーブを鍛えようと思った。
-高校2年生~一学期後半~
北信越が幕を閉じ、テスト期間へ入った。
俺はその期間にあるひとつの予定を入れていた。それが佐渡観光交流機構の方からお話を聞くことだった。
事の発端は5月。総合探究の時間である問いを立てたからだ。
「佐渡の魅力・価値を上げるためには??」
この問いを解決すべく、まずは「現状を知る」事から始めた。そして、先生に相談した結果、テスト期間中に話を聞くことが出来た。
最初は電話によるものだった。佐渡の観光客の人数や、佐渡の良い点、悪い点など、様々なことを聞いた。
だいぶ満足していたが、数値を忘れてしまった。なので、思い切って直接行ってみることにした。そしたら、様々な資料や、今後の話など色んな話を聞くことが出来た。
それを踏まえて、俺はアンケートを作成した。島外の高校に「佐渡」についてどう思っているかのアンケートだ。このアンケートを実施すべく、また先生に相談し、協力してもらい、無事アンケートを実施することが出来た。
調査結果が届くまではとても待ち遠しい気持ちでいっぱいだった。やっと佐渡のために活動ができる。そんな熱い想いを持って行動していた。
テストは赤点を取ることなく、無事に終えた。
そして、新たに靴が届いた。前回と同じ青色のシューズ。だけど、色は水色っぽい青色。俺はこの靴をずっと待っていた。ようやく自分らしい色の靴が履けると思っていた
この新しい靴を履いて、俺は淡々とサーブを打ち続け、そして佐渡の観光について考える。そんな日々が続いて行った。
そして夏休みへ。バレー漬けになるのは最後だと思っていながら俺は夏休みになるのを待っていた…
-エピローグ
新たなスタートを切ったバレー生活。
それと同時にスタートした疑問を解決するための活動。
この2つの行動が後に俺が今後やりたいことに響いてくるのはまだ見えない先の話である。
そしてバレー漬けになる夏。俺は自分が進化できることを楽しみにしながら夏休みを待っていた…