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今こそ読むべき消え去りそうな漫画
たまには明るく、マニアックな漫画紹介。
今から紹介する漫画は、現在までどこにもオススメされていないほど埋もれているが、決して面白くないからではなく、本当に単に埋もれているだけの傑作(勝手に思っているだけだが、)だと確信しているので、興味がわけば是非とも読んでみてほしい。
近年の漫画は誰を指すわけでもないが、大衆ウケを狙うがゆえに絵の上手さや設定の詰め込みが多く、読みづらく、そして浅い。言い換えれば漫画がinstagramやtiktok化しているようにも思える。
そして「漫画」が本来持つ読み易さや、それに付随する面白さはほとんど見受けられなくなった。また人間の深い内面を描いた漫画などほとんど消え去ってしまった。
とかく人に迎合しなければ生き残れない時代なのだと思わされる。
【高橋ツトム】ALIVE
(1999年、ヤングジャンプコミックス全1巻)
釈由美子主演ドラマ、「おいきなさい」の名セリフで有名なスカイハイの作者。著者の他の漫画も十分に読み応えのある作品ばかりだが、私はこれを押したい。
著者の作品は全て人の「刹那」、苛烈で過激で愛おしい一瞬を見事なほどに表現している。その中でもひときわ輝いているのが「ALIVE」になるだろう。なんせ「1巻」に全てが詰まっているのだ。
とても1巻とは思えない濃密性、定期的に読みたくなる中毒性、「人とは、他者とは、死ぬとは、生きるとは、愛するとは」、これほど完全な一冊は今まで目にしたことがない。
【画志水アキ×作奥瀬サキ】夜刀の神つかい
(コミックバーズ掲載、幻冬舎コミックス、全12巻)
ヴァンパイアもの。レオナルド・ディカプリオ主演、インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア好きには堪らない作品(多分)。
何故こうも人は吸血鬼ものに引かれるのだろうか。
3巻まではまごうことなき神作品なのだが、4巻目から作者が替わってしまったのではないかと思うほど作品が変化します、悪い方に。(出版元移管のためか?)
それでも最後まで読んでしまうのが人の業。
【山口譲司】BIRTH
『コミックバーズ』、幻冬舎、全9巻
中二病くすぐる漫画といえば幽遊白書だが、それに負けず劣らずというか、最初から最後まで全て中二病。
子供の頃は(子供の頃からこんなの読んでたんかい)、ただただ中二病を深くこじらせるだけの作品だったが、大人になって哲学や宗教の前知識をもって読むと一段と面白い、中二病だけど。
ジャンプの【岩代俊明】PSYREN -サイレン-好きには絶対刺さる一冊。
作者はドラマ「不倫食堂」の人。
エログロ注意。
【玉井雪雄】オメガトライブ
『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)2001年40号 - 2005年24号、全14巻
鳥肌実好きのための作品(嘘)。
引きこもりとヤンキーと政治家と宗教とウイルスがわちゃわちゃするカオスな作品。人類が次のステップに進むため辿る進化の形とは。
コロナ、LBGT、IT社会etc、現代の人類が直面している問題がことごとく描かれている。作者は未来から来たのか?
続編「オメガトライブ キングダム全11巻」もオススメ。
【作末田 雄一郎×画本庄敬】蒼太の包丁
(週刊漫画サンデー連載、実業之日本社刊、全41巻)
一応料理がメインのnoteなので、料理漫画。
主人公北丘蒼太が銀座の老舗料亭で修行する成長物語。
他の料理漫画と決定的に違うのは、万里の頂上からチャーハン転がしたみたいな突飛なものではなく、ひたすらにリアルなものが描かれている点。
またそのリアルな料理よりもさらに、北丘蒼太が料理人として成長する過程、その苦悩や葛藤、喜びの生生しさを余すところなく描き切っている。
時代背景が多少古いので現代とはそぐわない部分もあるが、料理の裏側にある仕事、志し、熱量を知ることができる作品。
紹介者の性格が滲み出るアクの強い作品ばかりですが、
皆さまによきお時間を。